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グルになろう。

《屋上の給水タンクから繋がるパイプから水が漏れている。僕らはそれを粘土かなにかで塞いで水漏れを食い止めた。》
《僕らの遊び場は決まって屋上で、友だちの洋平と部活帰りにはここでただただ広がる空を寝っ転がって眺めることがある。恋の話、ゲームの話、色々話した。》

茂木洋平とはたまたま後ろの席で小学校に入学して1番最初にできた友だちだった。一緒に、サッカーをはじめたり、なにをするでも一緒だった。俺のおばあちゃん家と洋平の家が近くてよく家にも行って遊んだ。
新しく買ってもらった新発売のおもちゃを持って洋平の家に行ったときがあった。洋平も同じものを欲しがり駄々をこねて、家をはちゃめちゃにし親を困らせてるのを見たことがある。僕はその光景にビックリしながらそれをただただ眺めていた。
俺はみんなの先頭に立って引っ張っていける洋平を羨ましく思っているんだけど、ふたりでいるときはどこか寂しそうな顔をするときがある。

《中学生になった僕らは、ふたりして音楽に熱中する。いつものように洋平の家で音楽を聴いて騒いでいると、ふと洋平が机の中からホンモノの拳銃を取り出して「いざというときに使うんだ」と言った。なぜか僕はニセモノと疑わなかった。》

《何日経っただろうか、あの日以降、その話をする事もなく、僕らは相変わらず勉強そっちのけで遊び続けた。》

中学生のくせにお互い彼女が出来たりした。学校帰りに俺と洋平、ふたりで学校近くの公園で待っていると、部活帰りの彼女たちもその公園にやってきて、カップル同士で歩きだす。埼玉のど田舎だから買い物をしたりだとか、プリクラを撮るとかそんなこともしないただ散歩して会話するだけのデート。今思えば洋平は学校と家が近かったから家に連れ込んでたのかもなぁと。不思議と聞いたりはしなかったなぁ。と、まぁ洋平とはグルになって色々してた。

《ある日いつもと同じように、屋上でふたり寝っ転がっていると、普段僕ら以外来ない屋上に見かけたことのない知らないおばさんが僕らの屋上にやってきて、給水タンクへ向かっていく。洋平は眠っているのか、それに気づいていない。おばさんをずっと見ていると、給水タンクのパイプにカッターとハサミで切り口を入れている!》

《僕らがせっかく直したパイプにまた傷をつけている。無性に腹が立って立ち上がって、おばさんに向かって行った。》

《「なにやってるんですか」と僕。》

《「指が痛くてねぇ」ポタポタ漏れる水に傷口を当てながらおばさんは言う。》

《「バンドエイドなら保健室に行った方がいい。ずっと前にも漏れてたから、僕たちで直したんだよ!今すぐやめろ」と言うとおばさんが顔色を変えカッターとハサミで僕を何も言わずに脅してきた。僕にせまる刃物。》

《洋平が揉め事に気づいた。》

《嫌な予感がした瞬間あの拳銃の銃口を洋平がおばさんに向けている。》

《「今じゃない」と思ったとき、上空からヘリコプターがおばさんと洋平のあいだに着陸して、降りてきた男にマシンガンで洋平が打たれ、倒れ込んだ。その後おばさんは何事もなかったかのようにヘリコプターに乗り込みヘリコプターはどこかへ飛んで行った。》

へんだなぁと思ったらやっぱり夢だった。

翌日、洋平から「会社のUSENでローズマリーが流れたよ!マヤーンズ!」と連絡がきた。洋平はもちろん2020年の今も生きている。高校時代は一緒にバンドもやったこともあったけど、とっくに結婚して家庭も持っているはずだ。変わってなければ。
このあいだ神戸に行ったときなんか、雄介と入ったお店で一緒にローズマリーを聴いたよ。ローズマリーが色々なところで流れていて嬉しい。雄介と不意に聴いたローズマリーはなんか泣けたね。
久しぶりに神戸にも行けたし、東京少年倶楽部とThe Dragersとは大阪、名古屋でさらにグルになった。似たスピリットを持ったロックンロール・グルってやつだ。先輩でも後輩でもそういうなかまはこの時代には貴重な存在なんだ。あっというまだったけど楽しかった。
西日本のツアーに来てくれた皆さんどうもありがとう!毎回、次回行くのが楽しみになるよ。そのときまで元気でね。
リリースツアーも残すところ、ツアーファイナル、11/1(金)下北沢SHELTERワンマンのみ!マスト!君ともロックンロール・グルになりたい!
USENで聴くより生のほうがいいはずだ。そう思わないかい?
アキト結婚おめでとう!!!
長島アキトはベーシスト。そういえば洋平もベーシストだった。
いつかアキトの話でもしようか。続きはまたの機会に。
いつでもキミを歓迎するだろう!

Oct 29, 2019

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