「閘門」

 この記事は、とりあえず「日本語の破壊についての簡潔な報告」に投稿しましたが、趣旨が違います。日本語教育問題プロパーの関心で来られた方は、どうぞご勘弁ください。いずれ、「フレーミング」も引き連れて、別の主題のマガジンをこさえて引っ越したいと思います。
 というわけで、もちろんお読みになるのは自由ですが、「趣旨が違う」件に関しては、免責でお願いします。
 というか、かなり酔っ払いのまま書いたので、醒めて読み直したら、この記事、下げるかもしれない。

 さて、表題は英語では「lock gate」などと言うようです。

 なんの話かというと、先日(2021年3月23日)来、スエズ運河をふさいでしまったコンテナ船の事件がきっかけです。

 わたしは東京の下町で、カヤックで遊んだりするのですが、荒川ロックゲートや扇橋ロックゲートを通ることがあります。そのロックゲートを閘門とも言うんです。

 荒川ロックゲートと扇橋ロックゲートは、荒川と隅田川、そして両河川をつないで住宅密集地を流れる小名木川という運河のほぼ両端にあります。小名木川が流れる一帯はいわゆる江東ゼロメートル地帯で、海抜より低い土地です。しかし、小名木川付近の両河川は海までまだ数キロ残しており、海抜よりやや高い水面ですから、小名木川は水門で閉じられています。そうしないと、小名木川両岸は、いや江東区は水浸しです。しかし、両河川を行き来したい船もあるでしょう。というわけで、水門は「閘門」となっています。

 その閘門を説明するときに、よく使うのが、パナマ運河とスエズ運河。「水面の高さの違う両側に扉を設けた水門を閘門と言います。片方から船を入れたら両方の扉を閉じた上で、片方側だけ通水させて水のエレベーターにして高さを同じにして、反対側の扉を開けます」

 水のエレベーター。わかってもらえたでしょうか。欧州では北海・バルト海から運河を使ってアルプスを越え、地中海まで船で行くこともできるようなルートもあります。「ナローボート」という幅の狭い運河に合わせた細長いキャンピングカーならぬキャンピングボートを使います。


 荒川ロックゲートや扇橋閘門の場合は、水門上のゲートキーパーのおじさんいに手を振るなりして通行の意志を示します。まあ、そのまえに拡声器で呼びかけられたりしますが。
 対向船がなく、両扉内の水位がこちら側と同じなら、こちらの扉が開きます(上がります)。内部の水位が向こう側なら、こちらと同じに水位調節をしてから、こちらの扉が開きます。水位調節は、扉をわずかに開くのか、別の排水設備があるのか、確認してません。酔っ払いですから、調べるのが面倒でした。

 ボートを中まで進めると、入ってきた扉が閉じ、向こう側の水位に合わせるまでゴボゴボと音をたてて水が上がったり下がったりします。それから、向こう側の扉が開き(上がり)、まだ水がしたたっている扉の下を濡れながら通って、通過完了です。

 それと同じ、でも大陸規模の地峡を横断する運河・閘門がパナマとスエズというわけです。


 パナマ運河を利用しなければ、南米大陸の南端のホーン岬やマゼラン海峡を回らなければ大西洋と太平洋を行き来できない。スエズ運河がなければ、インド洋と大西洋はアフリカ大陸の南端の喜望峰回りしかない。

 けっこう日数がかかるんです。つまり、人件費や燃料代も余分にかかる。それを考えて、ペイできれば、パナマやスエズを使ったほうがお得です。

 というわけで、両運河の通行料は、船のサイズにもよりますが、貨物船で2000万円とか3000万円というオーダーです。羽田空港の着陸料金がたしか100万円ぐらいだったはずで、それと比べると、安い? 高い?

 スエズをふさいでしまって、400隻以上をフン詰まりの待機にしてしまった台湾・エバーグリーン(長栄海運)のエバーギブン号は、実はわがふるさと今治市にある「正栄汽船」からのリースでした。日本の造船最大手「今治造船」のグループ会社です。興味がある向きは、わたしのマガジン「陸酔いのヘリクツ」の#40『眩想』にも、関連の話題があるのでどうぞ。有料ですが(笑)。


 スエズではなく、パナマの話ですが、史上最安値の通行料は36セントだそうです。ほぼ100年前の話ですが。通行船のサイズが小さかったんです。いや、船じゃないんです。人が泳いで通過したんです。この話に興味がある向きは、わたしのわたしのマガジン「陸酔いのヘリクツ」の#39『海龍』にも、関連の話題があるのでどうぞ。有料ですが(笑)。
 この泳いだ人「リチャード・ハリバートン」については、新連載「浪漫特急」が執筆快調、今春公開!

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?