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今、コロナ報道で判らないこと(その1~2)

 将来のために、今、自分が判らないこと、疑問が解消できないことをメモしておきます。(すでにどこかに回答が書かれているかも知れません、その際はお教えください。)コロナに関しては判らないことだらけですが、自分が何が判らないかを整理しておけば、いつかは疑問解消できそうな気がしています。

1.前提となる今をまとめると

 新型コロナウィルスの新規陽性者(9月7日10,589人)はピークアウトしているようです。(ピークは8月20日25,852人)どうしてピークアウトが起こるのか、判らないことの1つです。テレビで専門家と称する人は仮説でもいいから持論を展開してもらいたいものです。

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 ニュース番組では若年層の新規陽性者の増大と重症者数(9月7日現在全国で2,211名)の増大が懸念される等コロナ関連の報道が多くなされています。しかし、どれも同じ内容で上記のような本当の疑問点にワイドショー番組が向き合っているとは思えません。感染症の専門家と称する先生とコメンテーターと称する芸人さんも同じようにすでに判っていることを繰り返す毎日になってます。

2.ワクチン接種者と未接種者に対するコロナ陽性者の割合

(1)ワクチン接種は、当初、感染予防が目的と言われてましたが、今は重症化の防止目的ということになってます。つまり、ワクチンを打っていてもPCR陽性になることがあることはいつのまにか共通認識になっているようですが、実際には正式な政府コメントもマスコミ解説はないと思います。(また、重症化防止に役立っているというエビデンスこそ公開して欲しいというのが今回のテーマです)

 2021年8月31日発表の国立感染症研究所の報告(新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告 第1報)によれば、ワクチン接種者の方が明らかにPCR陽性者が少ないことが示され、ワクチン有効との結論がなされています。

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https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2484-idsc/10614-covid19-55.html

 上記は7月段階のアンケートデータによる分析とのことで、研究対象のワクチン2回接種者は1096名中41名と少なく、年齢構成も不明です。この報告においても、2回目接種の41名の中からコロナ陽性者が3名は出ているということが示されています。

3.判らないことその1(政府に公開して欲しいデータ)

 年代別の「重症者」の内ワクチン接種者数(もしくはワクチン接種歴別の陽性者・重症者数)の数値

4.3のデータの公開が望まれる理由

 政府はワクチンは重症化を防止する効果があると言っています。今、ワクチン接種率の低い若年層に陽性者の割合が増えている事実からも、推定できる結論で、私も多分そうだろうと思います。(注)それ故、コロナ重症者(9月7日現在2,211名)の内訳のデータで、2回目ワクチン接種完了者の人数を見れば、ワクチンの有効性の説明を強化することになるはずです。そのデータによって、若者の接種率を引き上げるという政策目標に資することになると考えられます。

(注)政府は首相官邸サイトで、ワクチン接種増加とコロナ死亡者数の減少の相関によって、ワクチンの効果を説明しようとしています。以下がリンクです。https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000830082.pdf

 公開されている年代別重症者のデータは以下です。(余談ですが、男性の方が女性に比べ圧倒的に重症者が多いことが判りました。)やはり、50代以後が圧倒的に重症者が多いです。この50代以上の重症者の方たちは、ワクチン未接種だったのでしょうか?これが、上記の官邸サイトでも、判らないことです。

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5.今、判らないことその2

 現在のコロナ対策として、人流の抑制、ワクチンの接種率向上を実現するためには、政府への信頼感を醸成するための情報公開・国民とのコミュニケーションが必要であるということは多くの方が感じられていることかと思います。この観点で言えば、上記3のようなデータは、上記4に記載の理由で真っ先に公開されるべき情報と思われます。重症者がワクチン接種済みかどうかは入院時に当然に調査済みのデータのはずです。しかしながら、本日現在、公開されていません。この公開されない理由がなにか?、これが「今、判らないこと」の2番目です。

 このような基本的なデータが公開されていないということはそこに何か公開できないという不都合な真実が隠れているのではないかと、疑いたくなるのは人情です。隠すメリットはないはずで、こんなことで政府の信頼感が薄れるとすれば、政府にとってもったいないことだと思います。

ここで、上記の重症者中のワクチン接種者のデータが公表されない理由を考察してみました。前置きが長くなりました。ここからが本論です。

結論を先に言えば、「説明が面倒になる」からだと思われます。以下はその推測に至ったプロセスです。

6.コロナ陽性者に対するワクチン接種者・未接種者割合のデータは首相官邸サイトで公開

 首相官邸のサイトで以下のデータ(ワクチン接種歴別の新規感染者数)が、1週間ごと定期的?に3日分のデータを公開しているようです。(リンク先と貼り付けの画像が異なっているのは、データが更新されているためです)https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html

 上記により、ワクチン未接種の方が10万人いるとコロナ新規陽性者になる人が42.9人、ワクチン2回接種の方が10万人いるとコロナ陽性者になる人は3.5人程度で、ワクチンを打った方が良いという結論が示されています。

 この数字はどのようにして計算されたのでしょう。データ元の厚生労働省新型コロナウィルスアドバイザリーボード資料のリンク先を見ると2ページ目に3段目に上記と同じデータがありました。以下の表に数字の根拠がありました。リンク先 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000823684.pdf

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計算プロセス

①上記の3つの表の1段目の表で、8月18日~20日までに、コロナの新規陽性者は、全年齢で69,926人、65歳以上の人では3,205人した。(確かに少ない印象です。65歳以上のワクチンの接種率が高いから少なくて当然かなと思いましたが、変異株が若い人への感染力が高いということも言えそうです。)

②それはともかく、この65歳以上の陽性者3,205人のうち、ワクチン未接種の方は1,693人、2回接種済みの方は1,061名です。単純に比率にすると65歳以上の陽性者3,205人のうち、1,061人(33.1%)の方が2回目接種済みだったことになります。ワクチンを打っても33%がコロナ新規陽性者になるのかと思ってしまいますが、結論はそうではありません。首相官邸の公表数字(3段目の表)で、ワクチン接種の未接種者と接種者の感染確率として10万人当りの人数(42.9人対3.5人)が示されています。この3段目の表の数値の意味を検討してみました。最上段の表の数字を2段目の表の各人口の数字で割り算してます。以下の通りです。

65歳以上陽性者のうち未接種の方(1,693人)÷65歳以上未接種者の人口(3,947,106人)=0.0004289人  ×100,000=42.89人(10万人当りに補正)

65歳以上陽性者のうち2回接種の方(1,061人)÷65歳以上2回接種者の人口(30,428,001人)=3.48人    ×100,000=3.48人(10万人当りに補正)

③上記の計算の根本の考え方を整理すると、65歳以上の人は85%(約30百万人)もの人が2回目接種済みです。65歳以上の未接種者は4百万人弱です。

 確率的に両者が平等に陽性者になるとすれば、30対4の比率で陽性者の85%が2回目接種者になるはずです。しかし、実際は1061:1693で、2回目接種者の陽性者の方が少ない人数になっています。すなわち、ワクチン効果ありということになります。この点を補正するため、上記計算式のようにそれぞれの母集団の大きさで割ることの意味はあるように思われます。

 この考え方を65歳未満の若者世代で見ると、未接種者61,102,478人対2回目接種者18,365,289人で、発生率が両者同じなら、陽性者(未接種)が2回目接種者の3倍強になるところ、実際の陽性者は未接種者55,867人に対し、2回目接種者が1,553人で、55:1ですから、65歳未満の若い人のほうがワクチンの有効性がさらに高いということが言えるのかも知れません。余談ですが、65歳以上(高齢者)のほうが自然に獲得した免疫によりウィルスを防御しているのでワクチンの効果は小さいかも知れないと素人ながら考えてしまいます。

7.結論:説明の面倒なデータでも公開されるべき

 2回目接種済みの方が30百万人いるとはいえ、その中で65歳以上の陽性者が3日間で1,061人いたということは、さらに、その中から重症者が生まれる可能性があるのではないか?これは当然の疑問です。今、重症者のほとんどは65歳以上(=ワクチン2回目接種済み群)ですから、母集団が大きいので陽性者データと同じように、重症者の中の一定数はワクチン接種者済み者がいたとしても不思議ではありません。9月7日現在で重症者は2,211名で、ワクチン接種済者が2桁はいるかもしれません。いたとしても6ような理屈で説明は可能であるはずです。

 逆に言えば、数字によっては上記6の陽性者の計算のような説明が必要になります。公表をためらうような誤解を受けそうなデータが存在するのかも知れません。データを公開した場合、数字の意味を誤解する人も出そうです。当然に存在すると思われるデータが公開されない理由はこの辺にありそうです。

 このような憶測で恐縮ですが、政府としてはワクチンの効果に疑いを持たれてしまうという意味で不都合だと考えると、公表したくないというのも理解できるところではあります。同時にPCR検査の問題(陽性者を感染者とする表現の問題やそもそもの有効性の問題)に派生しかねない部分もあるかも知れません。しかし、本当は面倒でも公表し、上記の確率論で詳しく説明すれば良いと思います。

 今回、上記6の3日間のデータの公開により、ワクチンを2回接種すれば陽性になる確率は私の想像以上に低いということが判りました。65歳以上で、10万人中3.5人の確率です。2回接種してもPCR陽性反応が起こってしまう理由は政府側の意見として公表されてませんが、極めて低いということのようです。

 上記2の国立感染症研究所の報告データ(7月のデータ)では、2回目接種41名中陽性反応は3名いたとのことですから、これに比較すると著しく低い数字が気になりますので、この辺の説明も欲しいところではあります。

 情報不足が小さな疑問が邪推を産み、その積み重ねが国民の政府の信頼を失わせ、今のコロナ政策に悪影響を及ぼしていると感じるのです。 

注)上記の主張はワクチン接種を推奨するものではありません。ワクチンによる重症化防止効果に関する情報公開のあり方を問うものです。念のため、以下が情報公開されていることも記載しておきます。第 68 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第 17 回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和3年9月10日開催)資料によれば、ワクチン接種後の死亡として令和3年2月 17 日から令和3年8月 22 日までに報告された死亡事例は計 1,076 件(医療機関、製造販売業者からの報告を加えると1,142件)あるとされています。(詳細は以下のリンク)https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000830623.pdf

8.9月11日追記

上記3の重症者に関するデータではありませんが、厚生労働省で説明が面倒と思われるデータ(コロナ死亡者の中のワクチン接種者のデータ)が公開されていることが判明しました。

 上記1~7は9月10日に記載し、11日加筆修正したものです。その後、厚生労働省のサイトの第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月1日)の資料の中に「資料2-6 年齢区分別の新型コロナウイルス感染陽性者数と死亡者数(2021年7月)」が公表されており、そこに「陽性者の中の死亡者とワクチン接種者済み者の関係」を示すデータ(下記添付)が公表されていましたのでご紹介させていただきます。厚生労働省にデータをオープンにする姿勢があることが判りました。


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 上記については、死亡数のデータの入力数が7割であることを前提ですが、コロナ陽性で死亡された方について、全年齢で、ワクチン未接種者の死亡率が、2回接種者の死亡率より、低いという結果が示されています。上記表の注)の記載に意味があるように思われます。データの問題があるなら、現在の重症者の中でのワクチン接種者の割合がますます知りたくなりました。(これで7に記載の予想通り、重症者の中にワクチン接種者が存在することはほぼ明らかになりました。現在の重症者の人数は限られていますので、データの問題も生じないと思われます。)

 上記のアドバイザリーボード資料に関する説明は、以下のYoutube「日本の人口増加を目指す男、藤江です!」で詳しく説明されています。分かり易い説明で、是非、ご覧いただきたいと思います。



                           





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