見出し画像

育休よりキツいコロナ隔離

もうタイトル以上でも以下でもなくそのままの話です。
言いたいことは全部タイトルで言えた。
けどせっかくなので詳細を記録として残します。
小さな子どもをかかえて罹患した人へ何かしらのヒントになるかもしれないことも期待して。

0日目

娘3歳、家族でお出かけ中にどうにも元気が無い。食欲も無い。
おでこ触るとあったかい気がする。
もう少し遊んでいたかったけど早めに帰るかね、という感じで危機感も深刻さもなかった。
先々週も風邪で熱出たし、またどこかでもらったのかね。

1日目

念のため妻が小児科に連れて行くことにし、私は出社。
息子5歳は元気だが、家族が風邪症状の場合は保育園はいっしょに休ませるルール。
妻が1人で子ども2人を病院に連れて行くのは大変だから、夕方会社終わってからみんなで行くでもいいけどね、とか話して私は家を出た。今日は早めに帰ってこなきゃな。
すると昼前に妻から連絡。
娘の熱や咳が辛そうだったから病院に連れて行ったところ、コロナ陽性判定。本人は7日間の隔離が必要。濃厚接触者である家族は5日間の隔離が必要。
上司の机にメモを残し、会社から飛んで帰った。
喉の痛みなど症状が出始めていた妻が娘と共に2階に籠もり、
症状の無い私と息子5歳が1階で生活することに決定した。
過酷な隔離生活の幕開けである。

2日目

妻、発熱
2階に籠もる妻とはLINEでやりとり。
食事や必要なものを都度運ぶ。私と息子にうつさないため、行き来するたびに念入りに手を消毒。
息子は甘えモード全開。つきまとい、果てはすがりつきが止まらない。
会社には、状況次第では在宅で仕事できるかも、と実は昨日伝えてあったのだがとても無理。朝早々に、やはり無理です休みにします、と伝える。
さてここからが育休感満載。
ほとんど動けない妻に、かろうじて食べられそうなものを作って、飲み物や必要な物資なども届ける。
同時に息子にも食事を作るのだけど、離れると甘えが激化した大泣きおよびつきまといが始まるものだから、なんとか一人で観てくれそうなDVDや録画してあった子ども番組を必死でピックアップし、それを見せている所に常に声をかけながら作る。2階にものを運ぶ時にも安心感を与えるため息子に声をかけ続ける。
息子は健康体なのでそのまま免疫力を維持してもらうため通常の食事を作る。娘は食べたいものしか食べてくれず有力なのは、おにぎり。いっぽう妻は消化の良い物しか食べられなくなっているため第一希望は、おかゆ。
この普通の食事と、おにぎりと、おかゆを同時に作るバタバタ感。これ、育休でやったやつだ!となつかしく思いながらも感慨にふける余裕など無くてんてこ舞い。常に何かしら声をかけながら1階と2階を行き交う。
そうこうしているうちに、2日目の冒頭に書いたように、妻が発熱。まあ感染なんだろうな、と思いながらも、どうやって病院に連れて行くのかという難題に突き当たる。
パターン1:妻が1人で病院に行き、娘3歳は1人で二階に待機
      →無理。3歳児にそれは無理。
       それに熱のある妻が車を運転するのも好ましくない。
パターン2:妻が1人で病院に行き、娘3歳は一階に降りて3人で過ごす。
      →息子と私への感染の可能性が上がり、リスキー。
       それに熱のある妻が車を以下略
パターン3:私が運転し4人全員で病院に行く
      →息子と私への感染の可能性が以下略
       しかしこの案が堅実か
それでも明日の朝には妻の熱も下がっていることを淡く期待し、病院の予約だけして翌日を迎えることとした。
ところで喉が痛い気がするなあ。

3日目

妻、熱下がらず。
妻の下した決断は、「解熱剤を飲んで熱の下がった隙に娘3歳を連れて病院に行く」
娘がぐずったらそれはしんどいぞ、と思いながらも他に良案なし。その案に甘えることにする。
息子と2人でパズルやトランプやオセロをやりながら妻の帰宅を待っている昼前、最悪の事態に。私が発熱。38.6℃。まあ感染するわな。こうなると息子に感染するのも時間の問題だわな。妻にLINEで連絡。
いっぽう案の定、妻も陽性。娘と妻が2階に籠もるのはもはや無意味か、との話も出たが、息子はまだ元気、私も女子チームほど高熱にはなっていない、ということから息子の非感染をキープする希望を捨てきらず家庭内隔離を続行することに決定。
そしてそこから私の検査を今日の今日でしてもらえる病院を探したが、なかなかに難航。なにせその病院がコロナ検査をやっているか、かつ今日診てもらえるかは電話しないと分からない。それに電話がつながるのは夕方の診療時間になってから。15時半を待っていくつか電話かけて、4つ目くらいでようやく検査してもらえる病院が見つかった。電話のあいだにぐずりかけた息子にはさらに申し訳ないのだが同行してもらい、換気のため車の窓を開けて病院へ。寒いけど駐車場でも窓は開けておく。院内には入らず駐車場に看護師さんや医師に来てもらって検査。案の定、私も陽性。まあそうだわな。
ところで病院の駐車場は混んでいた。問診票は検査キットとおぼしき物を持った看護師さんや医師がひっきりなしに行き来。あ、来てくれた。こっちでーす。と思ったら別の車の方だった、というのも何度も。第8波の片鱗を見た気がした。
そんなわけでトータル2時間かかり帰宅。息子に感染させないことが第一任務となった私はマスクを片時も外せない。そして息子には免疫力を保ってもらうため私は熱がありながらも食事作りはおざなりにできない。お風呂にも入れた。付けっぱなしのマスクが息苦しい。疲れ果てて寝た。

4日目

熱37.1℃。下がっとる。
妻と同様に38度から39度を上がったり下がったりすることを覚悟していたけど、私は下がっている。神様はいた。家族の面倒をみれる。甘え全開の息子を真っ向から受け止められる。
しかし陽性だった旨は会社に連絡。昨日が発症0日目となり、出社できるのは8日目です。ここから体温と諸症状を毎日会社に連絡するのだが、私は諸症状のひとつに「眠気」を欠かさず連絡していた。これがもう耐えきれないくらい眠いからなのだが、コロナにかかった人は普通こんなとき迷わず寝るんだろうなあ、ウトウトすると息子に怒られて眠気と闘いながら神経衰弱なんてしないんだろうなあ、と思いながらも、そもそもこの眠気はコロナの症状なのか、薬の副作用なのか、ただの疲れによるものなのか分からない。それと「息苦しさ」も毎日報告していたが、これも家の中で常にマスクをしたまま家事や育児や神経衰弱をしていたせいだっただけかもしれない。しかし原因不明でも事実を報告するのが勤め人の使命。愚直に「眠気、息苦しさあり」と報告し続けたのである。
人生初でネットスーパーを利用。食材が届いた。ありがたい。

5日目

息子5歳が一人で過ごしてくれるための鉄板アイテムが、トムとジェリーのDVDだった。適当な本屋でラック売りしている280円くらいで8話くらい入ったものだ。いないいないばあ、みいつけた、おかあさんといっしょは早い段階で飽き、しまじろうもドラえもんもアンパンマンにいたっては初めから全く見てくれないが、このDVDだけは声を出して笑いながら何度も見てくれた。が5日目ともなればさすがにもう限界。まあそうだわな。よく頑張った方だ。コスパ良すぎるくらい。トムとジェリーよありがとう。これをもって別のアイテムがないか、手探りがはじまる。レゴ、トミカ、プラレール、パズル、絵本、トランプ、オセロなどひと通り総なめにしたが、一人で夢中で遊んでくれるものは見つからない。つきっきりで遊ばないと息子は納得してくれない。きつい。何がきついって、私自信もそれらにすでに飽きているのである。息子が5歳に至るこれまでにいっしょに遊び倒してきたものばかりなのである。せめて新アイテムでもあれば。しかしその新アイテムが、すでに挙げたトランプとオセロなのである。5歳児を相手にしてのトランプとオセロ。きつい。普通にやれば必ず勝つのである。何度やっても。幸い息子は負けて怒ることは無かったが、それでもある時から、パパがまけるふうにやって、との要望から、必ず負けるようにやった。これもまたきつい。出来レースである。八百長である。茶番であるのだ。茶番が延々続くのだ。何か新規性のあるものを。何か新規性があり、かつ息子が受け入れてくれるものを。と渇望し模索した結果、ぎりぎり引っかかったのがカーズのDVD。3年くらい前の息子のお気に入り。繰り返し見た必殺アイテム。私としても当時の家事育児に追われながら目の端に入ってきてはいたもののストーリーを追えるほど余裕をもって見れていなかったが、でも面白そうで気になっていたカーズ。ついに見れる。これは渡りに船。と意気揚々と再生したが、15ふんね。とまさかの息子発信の時間制限。それでもよい。新規性がある。息子との1対1からしばらくだけでも解放される。ありがとうカーズ。と見始めたが、15分もせずに息子が限界。目をシパシパさせて、甘え全開の泣きかけですがりついてくる。あ、飽きていらっしゃるのか。3年くらい前のあの時に、卒業していらっしゃるのか。ということで撃沈。絶望。かと思いきや、ここで一陣の風が吹いたのである。とけいのよみかた、おぼえたい。と。よし、いくらでも教えてやろう。すぐさま目覚まし時計の電池を外して後ろのつまみを回して時計の読み方教室を始めたのです。これがしばらく定番になって、息子にも1日の楽しみができてほんの少し張りのある日々になったのです。ありがとう時計。ありがとう時間。
ちなみにカーズは15分刻みではあるけど少しずつ、4日かけて見終えたのでした。あと3分で終わるというところで、15ふんたった、と主張する息子を制したのが個人的なクライマックスでした。

6日目

私の熱は昨日で36.4℃、今日で35.5℃。完全に下がっている。解熱後24時間経って呼吸系に異常が無ければ日用品の買い出し程度の最低限の外出は可、との案内があった。持ち前の性格から、それでもまだ買い出しに行くのは憚られたが、庭に出るくらいは良いだろうと気分転換のため息子と落ち葉かきをした。掃除の好きな息子、落ち葉かきなんて遊びととらえて大好きのはずだったのだが、ちょっと様子が違った。まったく楽しい様子も無く、いちど集めきってゴミ袋に入れたものを、あそびたい、といってすべてひっくり返す。それを楽し気もなく宙に投げてまき散らす。手でもみつぶしたり足で踏みにじったりして落ち葉を細かく砕きながら。これはストレスたまってたんだな、思う存分やらせてやるか、と心を広く持つことを決意して見守ることに。しかしそのうち、細かく砕かれた落ち葉を蹴散らすだけになってきて、庭も悲惨な様相になってきたため、そろそろ潮時かなと「また葉っぱ集めておうち入ろうか」と提言するも受け入れてくれず、まあでも集めるだけ集めねばと隙をついて一人で集めたりしたのだがそれも邪魔してきて再度散らかす始末。いたずらが楽しくて、というわけでもなく、真顔で。そうだわな。君が一番たまっているわな。元気いっぱいの5歳児が、家族の感染により自分は健康体なのにこんなに長いあいだ家から出してもらえずに、マンツーマンで同じような遊びの繰り返しで。ましてや今日は、保育園の発表会だ。何事も無ければ今頃はステージの上でグリーンマントをまとってピーマンマンのはずだった。などなどあって、この日のこの出来事は、隔離期間中で最も思い入るところが大きかった。

7日目

前述の通り、昨日から必要最低限の外出は可能。今日こそは思い立って息子と二人で近所のスーパーへ行き、必要最低限の果物と飲料を買った。久々のシャバの空気だぞ息子よ。
妻と娘は熱は下がっているが咳はまだ出る。妻は腹痛あり。しかし昼にチャーハン、夜にハンバーグを食べてくれた。どちらもかなりのヘルシー仕様だけど。2日後に迫った登園に向けて、市販の抗原検査キットで念のため息子を検査。陰性。感涙。よくぞ乗り切ってくれた。なぜ感染しなかったか不思議だけど、これは嬉しかった。いよいよ終わりが見えてきた。

8日目

息子は毎朝グズグズなのだが、今朝は一人で着替えてくれた。おお、隔離を通して成長してくれたのか。
そして、ついに妻と娘が一階へ降り立った。家族4人がそろった。無敵感を感じる。良い眺めだ。日常が戻った。まだ妻は体調は戻りきっていないのだけど、それでも嬉しい。
さらには今日で娘の隔離は解除。それも相まって、日常が戻った感がなおさらだ。昼食なんて、みんなでスパゲティだ。
今日も息子と二人でスーパーへ。今回はおやつを買った。
一般の二階建て住宅でそうであるようにわが家のお風呂は一階にある。そのためこの隔離期間中は、私と息子が二人で先に入浴し、寝る準備を全て済ませて別室の布団に入った後に、妻と娘が階下に降りて来て入る、それにより息子への感染リスクを減らす、という段取りだった。本日からそれはもうおしまい。私が息子と娘を順にお風呂に入れた。ああ日常だ。

9日目

本日で妻の隔離も解除。妻が子ども二人を保育園に連れて行けるのである。私は子どもの面倒をみなくてよいのである。今日の日が来ることを心の支えにして踏ん張ってきた。終わったのだ。乗り切ったのだ。私自身の隔離期間はまだ終わっていないけど、やるべきことは終わったのだ。今日と明日は私が療養するだけでよいのだ。ついに私が療養できるのだ。
今日やることは前から決めていた。マクドナルドのハンバーガーを食べて、映画を見て、ギターを弾いて、noteを書くのだ。
マクドナルドは、ドライブスルー。日用品の買い出し程度の最低限の外出は可能なのだ。
映画は、さすがに映画館は無理。ずっと見たくて録画してあったボヘミアンラプソディを見た。映画を1本見るなんて何年ぶりだ。妻が息子を宿してからは見れていないはずなので、6年くらいか。かみしめて鑑賞しました。
ギター、は久々にエフェクターをつないで、ハムバッカーの1本とシングルコイルの1本を弾き比べたりなど。シングルコイルは使いこなせんなあとか思いながらゴネゴネと遊んだ。
noteは、この隔離期間中の出来事を書くと決めていた。タイトルも決めていた。「育休よりキツいコロナ隔離」。そのままだ。でも本当のことだ。キツかったんだもん。しかし、ダラダラして一文字たりとも書けず。でも明日一気に書ききるから大丈夫。

10日目

隔離最終日。今日も子ども二人の登園後にやることは決めていた。映画を見て、お寿司を食べて、ギターを片付けて、noteを書くのだ。
そしてここはもう、以下略だ。この日もダラダラしてnoteは一文字たりとも書けなかったことだけ明記しておく。

かくして我が家は隔離生活を切り抜けました。息子の非感染もどういうわけか守り切った。
まるで育休中みたいだなと何度か思いながら、でも自分も体調崩しているからか、子どもが当時より手間がかかる年齢だからか、私が2歳ほど老いたからか、当時のように精神的にフレッシュさがなかくなったからか、ずっとキツかった。
そして大きな反省なのだが、私のキャパをオーバーしてしまい優しさの足りない態度を家族にとってしまったことが何度かあった。すまぬとしか言い様がない。すまぬ、妻よ息子よ娘よ。
最後に、何度か助けられたアイテムは、トースターで作る焼き芋でした。息子も手伝えることで楽しんでくれたし、簡単だし、おいしいし。ありがとう焼き芋。
こちらがhellshitさんの簡単焼き芋レシピです。
 1. 芋を洗う
 2. キッチンペーーパーで水気を拭く
 3. アルミホイルでつつむ
 4. トースターの「強」で15分焼く
 5. 10分とか20分とか放置する
 6. 上下180°ひっくり返してまた「強」で15分焼く 

あとあって良かったものは、車と、2階。
家族が新型コロナにかかったら心配だなという人は、車と2階建ての家を買っておくといいと思います。

おしまい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?