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(耳)読書の秋 〜おすすめオーディブル小説〜

#書くチャレ2
26日という終盤から投稿開始したものの、これで5記事め、
指定テーマでの投稿でビンゴ3列達成なるか?

読書の秋、ということで本を紹介したいのだが
ここ数年小説やフィクションは専ら耳読書。
耳で聴くとどっぷり異世界に入り込めて、分厚い本でも一気に読めて(聴けて)しまうから不思議。

というわけでこれまで聴いて面白かった小説のうち
特に長編だったり壮大な話だったりして、目で読んでいたら挫折していたかもしれないもの、
つまり耳読書だからこそ読了できた/楽しめたと感じる作品を5つ紹介したい。

西 加奈子「サラバ! 」

これはもう。文句なしに面白いでしょう。
主人公の歩が幼児から大人になるまでの長い時間軸の話だけど、グイグイ読める。父の転勤で小学校時代に一家で住むことになったエジプト風景とか結構リアルで行ってみたくなる(筆者が実際幼少期住んでいたとか、割と筆者の実体験と重なる設定あり)
姉や母がちょっと強烈なキャラで、自分はまともな人間のつもりなんだけど、だんだんモテから遠ざかってるところとか、そういう描写が味があって良い。
そしてこればっか言ってるけど松坂桃李のナレーションがいい。声がエロい。エセ関西弁なのにそこがいい。



ミン・ジン・リー「パチンコ」


私が初めてオーディブルで読んだ長編小説だったと思う。
筆者は韓国系アメリカ人。
いやあこれも面白い。舞台は第二次大戦前後の朝鮮。日本に移り住むとある家族の3代(4代か?)に渡った物語。
フィクションだけどモデルがいるのかな、というくらい詳細に書かれていて時代考証もしっかりしてある。韓国サイドから見た昭和の日本がわかる。
なんというか、出てくる人のほとんどが、親・祖父母から受け継いだカルマみたいなものに苦しめられ、それを乗り越えていこうとするんだけど結局翻弄される。みたいな部分があるなと思った。



澤田 瞳子「星落ちて、なお」

直木賞受賞作。
語彙力ないけどこれもとっても面白い!
江戸末期〜明治時代に実在した日本画家・河鍋暁斎の弟子で娘の河鍋暁翠の話。
これはパチンコと逆で、登場する人がほぼ全て実在する人物なのに、ここまでドラマチックに、まるで本人が思ったことや言ったことのように生き生きと描かれている。なおかつ史実と異なっていない(たぶん)ところがすごい。
鬼才と言われた父の亡き後、不真面目だが父の才能を受け継いだ兄、ろくでなしの弟、病弱な妹に対し色々思うことがありながらも、流派を守り弟子を育てながら自らの絵のスタイルを模索する姿は、ある意味企業のブランドを守りつつ発展させようとする2代目経営者の奮闘記のようでもあり、芸術で食べていくことの難しさも描いていて、聴いているうちにどんどん応援したくなる。

浅倉 秋成 「六人の嘘つきな大学生」

職場の新入社員で読書好きな人がいて、お勧めされて聴いてみためっちゃ面白かった。人物描写がすごくリアル。うわーいるいる、こういう大学生!って感じ。
とにかく真相が知りたくてどんどん聴き進めちゃって、数日で一気聴き。
日本の新卒一括採用や就活の「気持ち悪さ」みたいなものを非常にうまく表現しているなーと。



タラ・ウェストーバー「エデュケーション 大学は私の人生を変えた」

小説ちゃうやん!というツッコミが飛んできそうだが、
まさに「小説より奇なり」な自伝。
モルモン教原理主義の親の元、世間から隔絶された環境で育った少女が、やがて家族から離れて大学に行き、最終的にケンブリッジを出て学者になる。
小中学校にも通わずずっとホームスクーリング、
怪我をしても病院に連れて行ってもらえず、母親の民間療法を施されるだけ。カルト宗教の家族で育った人が、どのように社会と触れ、社会に出ていくのかがわかって面白い。
筆者は現在30代半ばくらい?だから書かれているのはそんな昔の話でもないし、登場する家族も皆生きているし本も読んでいたりするわけで。
日本によくありがちな、カルト宗教や毒親から逃げた人の話、ではない。
実際今でも家族と交流はあるらしいし。

家族はどんなふうに思ってるんだろう、とか暴力的な兄や、その妻の現在は?とか野次馬根性で色々調べてしまった。
なんと、両親は、この本で話題になったことをある意味利用してビジネス(ちょっと怪しげな民間療法の商品とか)を拡大していたw

読み(聴き)進めているうちにイライラして、「こんなひどい家族、早く縁切れよ!」とか思ってしまうんだけど、そんな単純なもんじゃない、ということがわかる。
あと、日本では家族がヤバかったら縁切って引っ越すのが正解、みたいな考えがまかり通っているが、アメリカ人とは家族に対する価値観が違うのだろう。そういうことも知れて学びがある。




皆さんの趣味と合うかわかりませんが・・・
もし気になるものがあったら聴いてみてほしいです。


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