なすPのハロプロ楽曲を語りたい! アンジュルム「泳げないMermaid」

今回から「ハロプロ楽曲解説」改め「なすPのハロプロ楽曲を語りたい!」になりました!

始めた時は、インストルメンタルについて語りたい欲がすごくて、そちらの聞き分け解説がメインでしたが、インストルメンタルのみならず音楽的な構成、詞と曲に込められた思いを個人的に紐解いていきたくなり、楽曲を語る方向性でいこうと考えました!

ただ、個人的な意見、分析は今まで通り変わりませんので、そういう考えもあるんだなと温かく見ていただけたらと思います!

掲載回数は通算して載せていきます!

なすPのハロプロ楽曲を語りたい!第15回!

アンジュルム「泳げないMermaid」

出典:ハロプロ公式

15回目にしてついにアンジュルムの登場!
みなさまお待たせしました!笑

さてこちらの楽曲は、
作詞:井筒日美さん、作曲:星部ショウさん、編曲:平田祥一郎さん。

星部さんがご自身で解説されている動画がありますので、こちらもご覧くださいね♪
今回はこちらも参考にしながら書かせていただきます。

個人的に好きな作曲家のお二方が作曲、編曲で作られていて、この曲はアンジュルム楽曲の中でも好きなほうです。
音楽的な面でも、失恋ソングとしての深さも。

まずこの曲の頭サビ〜A’の調号はこちら。


●ホ短調(e-moll、E Minor)
・調号:♯1個(ファ)
・主音:ミ
・イメージ:不安、悲観、民俗的、優美
・色:緑色

この曲でのわたし的の注目ポイントは、ウィンドチャイム。
ところどころで出てくるので都度取り上げていきますね!

早速歌詞ありの頭からウインドチャイム。
ここはダウンで奏でる。
どこか悲しげな情景。
泳げない→すなわち人間?ということだとすれば、水に濡れるという表現になりますよね。水の中を自在に泳げませんからね。
Mermaidであれば水に濡れるという表現は使わないですよね。

2フレーズ目はアップで奏でる。
悲しげな情景はありつつも、過去と向き合う(思い出す?)ために入り込んでいくための入り口といったところでしょうか。
歌詞も「孤独の波が押し寄せた」とあるので、ダウンアップで波を表現しているのでしょうかね!

それにしても頭サビからEmはおしゃれ!
メジャー調であれば馴染み深く、聞いたことがある曲も多いので、すんなり聞ける感じがあるのですが、マイナー調だとちょっと違和感というか頭や耳に引っかかって意外と残りやすい。
ちょっと悲しげな雰囲気を出しつつも、それでいてどこか品がある感じはなくさない。

れらぴの最後の音にエコーがかかっているのですが、エコーの掛け方がまるで雫が水面に落ちて揺れて、エコーが切れると同時にバシャンと水飛沫が上がったように感じます。

直後に一瞬だけ空白(ブレイク)があります。
そこを境に物語のはじまりですね!

Aメロ最初にダウンのウィンドチャイムが入ります。
思い出の最初の部分なので、少し悲しいくらい。

最初はバックも比較的穏やかに。
2フレーズ目から音を足してサビに向けて少しずつ盛り上げていきます。

サビ前にエフェクトで電子音のピロリロがありますが、1回目のサビ前はアップ(音階が上昇する)。
ここではまだちょっと希望があって、望みを捨てていない感じが受け取れます。

ちなみに2回目のサビ前はダウン(音階が下降する)。
ここではもうほとんど諦めた感じに受け取れます。

サビは転調。
●へ短調(f-moll、F minor)
・調号:♭4個(シ、ミ、ラ、レ)
・主音:ファ
・イメージ:哀れ
・色:黄土色に近いオレンジ色

もう歌詞がまんま。
星部さん最初作った時はサビ転調はしていなかったそうなのですが、転調して大正解ですね。ぴったりですもん。

ここで、平田さんの本領発揮!
すでに冒頭から平田さんの凄さは随所に垣間見得ていますが、1番のすごポイントはサビの部分でしょう!
星部さんも同じことおっしゃってますね笑

ベース部分のプログラミングをおそらく施されていると思うのですが、ベースが4分音符ではなく16分音符で細かく刻んでるんですよ!

もはや刻みというより裏メロ…?いい意味で変態です笑
2フレーズ目からは特に!
ぜひサウンド調節できる方は低音に振って聴いてみて下さい!

2番になってEmに戻り、1番Aメロのしっとり雰囲気に。
裏の伴奏は1番と同じっぽいですね。

ここでもダウンのウインドチャイム。
悲しい情景のつづき。
2回目サビ前のピロリロはダウン(音階が下降する)。

ここで、星部さん解説動画で気になる点が…
「「そんなの無理な相談」はちょっと気持ち悪くしてます」
ん?そうなの?どゆこと?

早速鍵盤を叩いてみることに。
出てきた音は、ミ、ファ♯、ソ、ラ♯、シ、ド、レ。
この音階はおそらく、不完全なオリエンタル・スケール。

オリエンタル・スケールとは、中近東でよく用いられる音階で、調性感があり扱いやすい音階。特徴として、1オクターブ内に4つの半音程がある。
今回の音階は、3つしかないので完全なオリエンタル・スケールではない。
1番と変えてくるあたりがさすがですね〜

2番サビは2フレーズ目に突入せず、1フレーズで終わらせてます。
星部さんいわく、聴いてる人を飽きさせないためだそうです。
そこもしっかり考えて楽曲を作られてるんですね!

Dの大サビでタケちゃんが一気に持っていって、かみこへの完璧なリレー!
そしてそのままデュエット。

落ちサビでりかことかわむーがさらっと歌い繋いで、しおんぬの「おねがい〜」の情熱的なのばしへ。
落ちサビでもダウンのウインドチャイム。
前を向く前に最後に今までのことを思い出して、色々思いを巡らせてる。

最後の転調はこちら。
●嬰へ短調(fis-moll、F♯ Minor)
・調号:♯3個(ファ、ド、ソ)
・主音:ファ♯
・イメージ:暗いが情熱的
・色:こげ茶色

過去のことに囚われながらも、必死に前を向いて歩き出そうとするシーンですね。
この部分を情熱的に歌い上げるみなさんも素晴らしいです。
1番最後のりかこソロ「あなたはいない」でかっこよさとしなやかさを持ち合わせてこの曲を締めくくります。

ここにも!最後にダウンのウインドチャイム。
前を向いて歩き出したけれども、ちょっぴりどうしても過去を捨てきれない自分がいるようですね。

あとがき
井筒さん、星部さんの世界観と平田さんのシンセ・アレンジが見事なハーモニーを奏でた一曲。疾走感を最後まで保ち、聴いている人を飽きさせない。アンジュルムの中でも上位に入るくらい好きな曲です。

ちなみに私ごとですが、これを書くのに50回くらい鬼リピして歌ありとインストを交互に聴きまくっていました笑
聴けば聴くほどいろんな音が聴こえるし、深みがわかるようになってきて非常に面白いです。
多分作者の意図やギミックにはほとんど気付けていないのでしょうけれども。

でも、ふとした時に聴くと、今まで聴こえていなかった音がその時に聴こえるようになるのでまた聴き返したくなる。そして新たな発見をしてその曲の良さに気づく。

音楽も突き詰めれば突き詰めるほど楽しい。

おわり

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