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退屈で虚しい日々より

「愛しておくれ」バンド結成5周年おめでとうございます。

そしてグッバイフジヤマラストライブから5年。「BOYS IN THE BAND」を最後に歌った日。その場にいることはできなかったし、活動終了したことも後から知った勢なので死ぬほど悲しいけれど、歌うことを辞めないでくださって、どう感謝して良いか分かりません。ありがとうございます。

生きがい、今日を頑張れる種。

私にとって愛しておくれはそんなバンドです。欠けてる心賭けてるので。中山さんの曲たちに!

今回は愛しておくれのアルバム「夢みる頃がおわっても」について綴ろうかな〜と。来年新しいアルバムも出ることですし、「文章を書くことで脳内が整理される」って中山さんが教えてくれたので、この5周年という節目の機会に。トンデモ自語りですがー。

辛いときも、泣きたいときも、苦しいときも、うれしいときも、どれだけ助けられたか分かりません。人生において大好きで大切なアルバムの1つです。思春期に出逢えて良かった。語れば死ぬほど長くなるけれど、自己満足だしだらだらかこ。

1.「ユー・アー・ノット・アローン」

爆音で聴くことで、得体の知れない胸の苦しみを洗っていました。

初めて愛しておくれのライブに行った時の1曲目がこの曲でした。初めてのライブハウスでも合ったので死ぬほど緊張したー。イントロが流れ出した瞬間に糸がほろっと途切れた、爆音でもみくちゃなのに何故か安心できて何もかも初めての感覚すぎて気づいたら叫んでいました。

''ひとりでは おさえきれない 悲しみも きみとなら''という歌詞で拳を突き上げれば、ひたすらしんどかった夜も、耳元で中山さんの声が鳴ってないと食べれない学校でのお昼ご飯の時間も、全て流れていく。てぺさんの歪みまくってるギターと共に。感情が衝動に変わってどこにいても全て放り投げて走り出したくなってしまう。

その後の''だからぼくの そばにいて''は、(何にもできないけれど)私からお返ししたい言葉です。お願いだから、偽善者でもいいから、いつもぼくのそばにいてと。

2.「VS大人」

''めんどくさいを乗り越えて 立派な大人になりたいなんて 全然まったく思えない''

中山さんがルンペンフジヤマの頃からずっと言ってたであろう''めんどくさいを乗り越えて''という歌詞が印象的なこの曲。

まだ選挙権もないクソガキなのですが大人になりたくない、というより社会にいる常識や人の目や評価ばかり気にする人になりたくないという気持ちが強くて。

周りの大人に「10代に聴いてる曲なんてあっという間に忘れて消費してしまう」と言われてから大人になることが怖くなりました。
将来、私もこんなふうになっちゃうのかな〜と思うと悲しいけれど、今救われてきた音楽を絶対忘れたくないし忘れない。否定なんて絶対、しない。「VS大人」は、今の私が未来の私を肯定してくれる、(であろう)曲。

だけれど中山さんが銀杏BOYZ聴いたら14歳に戻れちゃうように、愛しておくれを聴いたら何時でも幸せになれちゃうような''大人''になりたいです。

そして''かわいいあの子とエロいことして〜''の部分で目がバッキバキにキマってるなかやまさん見るとライブ来た〜って感じがするので大好きです。笑 あの表情やめないでほしいな。

3.「キャッチャー・イン・ザ・ヘル」

前も呟いたけど、この曲を落ち着いて聴けたことが無い。いつも走り出したくなってしまい、しまいには叫んでいる。例え道端だとしても←!。

''きみのことばかり 考えちゃって おかしくなるのさ''の''君''の部分に誰を当てはめるのかは自由。私は誰の事を想っているのかなあとふと考えた。

絶対、愛しておくれのことだ。

中山さんはライブで「あんたらが居ないと生きていけないっすよ」って絶対言ってくださるけど、それ以上に、その何倍もこっちは愛しておくれの音楽に救われてる訳で。おかしくなるどころではないんです、ほんとに。

やな事があればこの歌詞のように''世界がおわってしまえばいいのに''って心の底から思う。私がいなくなればこの感情も消えるのかなーと考えたりもする。どうしていいか分からないから、「キャッチャー・イン・ザ・ヘル」を聴いてぐちゃぐちゃになる。

この瞬間が至福で、生きている意味で、やっぱり死にたくないなとか、思ってしまう。

4.「思春期のすべて」

ここで歌われてる''窮屈な街 退屈な日々''とは中山さんが育った山梨の事なんだろうな。
錆びれた街で、閉鎖的で息のしずらいところにいつまでも縛られている とどこかでおっしゃっていた。呪いのような言葉をずっと吐き出している、とも。

東京で学生生活を送っているけれど、閉鎖的だし退屈。贅沢な悩み。今は早くこの日々が過ぎ去って欲しいし、好きな人の横顔なんてみることはないし、泣いてばっかりのこの毎日もなくなったら輝かしいものに美化してしまうのかな。思春期特有の逆張りなのかな、怖い。

前、5時を知らすチャイムと共に「思春期のすべて」がタイミングよく流れた時があった。その日の夕焼けはやけに、澱んでいたこと、制服が転んで血まみれでびっくりしたこと。綺麗なけしきだったなあ。遠い未来でふと思い出した時に、甘くせつない思い出として消化できるのだろうか。帰りたいと思うのだろうか。その時にならないと分からないけれど、きっと無理だな。

5.「セブンティーン」

この曲はグッバイフジヤマの「スイートセブンティーン」と繋がっている曲なのかな。「スイートセブンティーン」はルンペンフジヤマ時代の「赤い自転車」という曲とも繋がっている。

インタビューかなんかで中山さんは「何年経っても17歳の曲を歌ってるんすよー。ダメだな俺!」と笑っていた。いつまでも17歳の曲、青春パンク、奏でていて欲しいや。一生思春期ど真ん中。

セブンティーンが始まる前のてぺさんのギターソロ、どんどん心臓の鼓動が早くなって「くるよーくるよーくるよ・・」と気分がだんだん高揚してくる。そして爆音の星美さんのドラム。けんすけさんの駆け出すような安定感のあるベース。叫んで何言ってんのかよく分からない(最高!)の中山さんの歌。

''明日にはきっと世界が 変わるはずと信じてたね''という歌詞が大好き。銀杏BOYZの、「僕達は世界を変えることができない」に通じてる気がして、愛しておくれの通ったルーツを垣間見ることができる。(てぺさんも星美さんもけんすけさんもゴイステや銀杏を聴いてらした)峯田も中山さんも世界は変えられない。でも私の人生を変えてくれた。

世界なんてそうそう変わらないし、明日なんて今日とほぼ一緒の日常だからこそ信じてしまう。つまらないし、退屈だし、時間割があっても「今日何曜日だっけ」って分かんなくなっちゃう。でも愛しておくれのライブがそのサイクルをぶっ壊してくれるんだ。セブンティーンを聴く度に、この高揚を思い出す。

6.「山口美甘子に騙された」

※山口美甘子とは、往年の名作でありサブカル男女御用達の 大槻ケンヂ作「グミ・チョコレート・パイン」に出てくるヒロインの名前である

グッバイフジヤマ時代の名曲(迷曲?)の「やまぐちみかこにだまされた」のアレンジ曲、だと思ったら大間違いだった。全く違う。歌詞こそ一緒のものの、元のポップでみんな踊れちゃう、ハッピー♩な雰囲気がぶち壊されている。

向こうは「やまぐちみかこにだまされたー★グミチョコ遊びじゃなかったよ〜★★」ってポップで軽薄な感じだとしたら、こっちは「山口美甘子に騙されたーーーーみんな死んでしまえばいいのにーーークソがクソがクソがーー」って重厚な感じ。とにかく歪みまくっている。心もだんだん逆だってくる。叫びたくなる。街中でとにかく暴れたくなる時、つい再生しちょっと後悔する。

愛しておくれは優しいパンクと形容される事が多いけれど、こちらはガチパンク。歌詞は別としてメロディにやさしさの欠片もない。全てを破壊する勢いの音割れはとにかくとにかく気持ちよい。このアルバムの中でいちばん、歪んでいる逸品。

でもこの曲のこと、ほんとはよく分かんない。だからいいんだ。

7.「redo」

この曲は、一人称が変わる。

ぼくから俺になっている。なかやまさん曰く、「普段の一人称は俺らしいけどなよなよしてるときは僕になる」んだって。私は外面で強がっている時が俺 だと考えた。AメロやBメロでは普段の感じで、サビになると「僕」に変わる。メロディはお得意のパンク。音が割れれば割れるほど、よい。

''俺に教えてくれよ あんたらの言う 上手な生き方ってやつを''

の所では言葉やメロディの強さの中に、助けてくれーと求めている弱さをみた気がした。心の底からのメッセージ、的なかんじの。

逆に、俺と歌ってる方が弱さを見せてると思った。(歌の中で)普段と違う自分をみせているわけで、外見を取り繕って強がっている感じがした。

それと、一貫して投げやりな歌詞だ。楽しいことも悲しいこともやりたいこともなんにも無いけど、本当はなにかやらかしてみたい。そんな矛盾した心情を歌ってくれている1曲。まあ全部想像だけどね。

''愛で僕殺して もう一度やり直して''

redo=やり直し という意味。もう1回人生やり直すとしても、愛しておくれの音楽と出逢いたいなあ。

8.「退屈はぶっとばせ」

\銀杏BOYZ!!!!!/と叫んで始まるのが印象的なこの曲。中山さんの、愛しておくれのルーツであるバンドですね。redoと流れで聴けば鼓膜が破壊されます。ライブでしぬほど盛りあがる。飛ぶ、飛ぶ、飛ぶ。叫ぶ、叫ぶ、叫ぶ。ぐっちゃぐちゃで何かよく分からないよ。

サビではバンド名の「愛しておくれ」とC&R方式で叫ぶ所がある。ここ、めっちゃくちゃ気持ちいいんだよほんとに。生きてるって感じがする。前のバレンタインのライブの時に、ここで気絶しました。快感すぎて。なんでだよ。

この曲のなんと言っても良いのが、てぺさん筆頭に、「愛しておくれ」のリズム隊のコーラス。普段物静かなけんすけさんもバリバリ声出してて全員で飛べる。ほしみさんはドラム叩きながらでのコーラスだから大変なんだろうけど、しっかり声が聴こえる。

''大人になれない僕だけど 大人になるまで愛しておくれ''
の部分はてぺさんがコーラスなのだけれど、ほんとに何言ってるか分からないんだよ。

ギターも引かず客席に乗り出して、頭抱えて「**#&@。☆~!!!」って。パンクロックが大好きな理由が詰まってる。それが最高、感情がむき出しになってる姿をみて、叫ぶより先に泣き出したくなってしまう。

「退屈はぶっとばせ」聴いて、意味わかんなくなってサンダルも履かずに飛び出して(でも親起こしたらめんどくさいしなーって言ってドアは慎重に閉めるの、情けないねー。)なんとかいきがすえる夜がある。うわーーーーってなって、自分の中のモヤモヤを整理する。他の曲とは違う、破裂したメロディが優しく、脆く包んでくれるんだ。

9.「お別れのチャイム」

夕焼け空が良く似合うこの曲。言葉選びがとっても綺麗だ。放課後の日が欠けて世界がオレンジに染まる時間帯での出来事、そんな情景が何となく思い浮かんで、胸がきゅっと締め付けられる。

''遠くで聴こえる下手くそなピアノ''のところでは、音楽室でピアノを弾いてるあの子のことをふんわり思い出すのかな、そう言えば教室に馴染めないクラスメイトは音楽室に逃げてた。でも下手くそでは無かったなあ。とっても上手だった。弾き終わったあとに、ふにゃふにゃしながら「ありがと〜〜」って言うのが可愛かった。なんてことを思い出したりした。

人の(なかやまさんの、これが事実かどうかは知らないけど。)青春を覗き見している感じがなんとも甘酸っぱくて良い。そして、やっぱり苦しい。その日々は戻らないけど、こうして歌の中に閉じ込めてさせて、美しくなっていくんだね。その時は地獄なのにね。

''寂しくなるけど 大丈夫 きっとすべてうまくいくから'' に感情を全て委ねています。中山さんが「大丈夫」って語りかけてくださる歌は号泣確定なのです。

まだ生で聴いたことがないから、弾き語りとかでいつか聴きたい。

10.「愛しておくれ」

バンド名の入った、大切な大切な1曲。ずっとずっと、歌い続けて欲しい1曲。

絶対こんなこと考えちゃダメだけれど、グッバイフジヤマの「BOYS IN THE BAND」はバンドが終わってしまったからもう聴けなくなってしまった。愛しておくれの「愛しておくれ」も中山さん、てぺさん、星美さん、けんすけさんの4人が揃わない限り歌われない曲だ(と思う)。

何年もこのバンドが続きますようにって聴きながら願いを込めている。

''世界でひとりだけのきみを 強く強く抱きしめたくて ほかのことなんてどうでもよくて 僕だけ死ぬまで愛してね''

ひとりぼっち暗い部屋の中で、満員電車の中で、四角い教室の真ん中で、何度この曲を耳元で鳴らしたか。何度救われたか。

アウトロで中山さんがGOING STEADYの''愛しておくれ〜 ラララ〜''と歌う。この時が永遠に続けばいいのに、と心から思う。中山さんが救われたゴイステと、私たちが救われてる愛しておくれが交差しているのがなんて素晴らしい瞬間なんだろうと思うと、涙が出てくる。冗談抜きで全力で泣いてる。

周りの言う、普通っていったいどんなんだっけな。愛しておくれがいない日々はしあわせだったけれど、思い出したくないよ。''今''がいちばん、しあわせです。

これからも変わらず傍にいてくれる音楽だなあと。心の底から思っています。

愛しておくれと過ごした日々のことを、ずっとずっと忘れませんように。

11.「わたしを夢からつれだして」

「愛しておくれ」→「私を夢からつれだして」の曲順、泣かせにきてるとしか思えない。涙腺崩壊不可避。

題名から勘のいい方は想像できるように、銀杏BOYZの「夢で逢えたら」からインスピレーションを受けた曲だ。サビの''夢で逢えたら''と''夢が醒めたら〜''の歌詞の後、全員で''あえたら〜''、''さめたら〜''と歌う。

愛しておくれのライブは、とにかく歌う、歌う歌う歌う。たまにTwitterとかで「隣の人の歌ってる声が大きすぎてボーカルの声聞こえなかった」みたいなツイートよく見かけるけど、逆にこちらは中山さんの声が聴こえなくなればなるほど、良いなあと思う。

「わたしを夢からつれだして」のコーラス部分が特にそうだ。

中山さんがフロアのことを信用してマイクを向けてくれて、そのぶんだけ大声で歌う。隣の人が大声で''逢えたら〜''と歌っていた時、私すっごく幸せで泣きそうだった。てか泣いた。普段人が叫びながら歌ってることなんてないし、ひとりぼっちで聴いてた音楽を一緒に熱唱できるなんてこんな幸せないなあって。

そして、サビ後、''どんなきみでも大丈夫だよ''に何度救われただろうか。

ここの歌詞をライブで歌う時、''大丈夫''が''だいっじょうぶ''(文字で表すとこんなかんじ、実際に聴きにいってみてほしい)''大丈夫''という歌詞を力強く歌ってくれるんだ。それに応えるように(といったら烏滸がましいけど。)こっちも拳を力強く突き上げる。たまらなく、楽しい。この一突きですべてが報われる、気がする。ひとつになれた、気がする。ひとつになる気、なんてないけど。ちょっといいなー。って思ったりする。何かを成し遂げた、気がする。

「永遠」なんて見つけたことないし、信じてないし、探そうとも思わない。なかやまさんはいつも「今」が1番だってずっと仰り続けているから。だけど、「永遠」っていうものがあればいいなーとは思う。それが愛しておくれの存在かどうか分からないし大人になったら音楽の趣味も変わってるかもしれない。でも「今」は愛しておくれの存在が、私の中で、いちばん、「永遠」に近い。あまり使いたくない言葉だけれど。

中山さんがこの歌を歌ってくださる限り、私はうまくねむれるよ。だってだって、中山さんが「今夜もきみが上手く夜を 超えれますように おやすみ」って歌ってくれているから。

12.「メランコリーベイビー」

こんなド直球なラブソング、久しぶりじゃないですか。いつも歪んでるか誰かに取られてるか付き合えなくてひねくれて、死ね死ね団♪って状態だったし。

この曲の共同作者で名前を連ねてる方はルンペンフジヤマの時に対バンしてて、愛しておくれと長い付き合いらしい。

元々この方のバンド(解散しちゃってるけど!)が好きで。なかやまさんのブログからみつけて、速攻mixi登録した(笑)。「リストカッターあおいちゃん」っていうバンドで、パンクだった。あまり曲もなく、でもこの曲が大好きでわーーーー!ってなりたい時に聴いてた。

この曲は急遽アルバムに入った曲らしい。大切な一曲が友だちとできて歌えるって言葉に表せないぐらい素敵な事だと思った。
十何年も、音楽で繋がっている友だちがいらっしゃっていいなあって感激、した。

''きみがのぞむ すべてのこと きっと叶いますように''
ここの歌詞は、「GOD SAVE THE わーるど」の''すべてのことがおこりますように''にちょっと似てるなって思った。きっときみがのぞむことも、そうでないことも起こりますようにって(歌詞には書いていないけど)想って、呪っている気がして。これからさき、バラバラになってしまう未来へ、最大限の花向け。

メロディに、このアルバムでは珍しくアコギが使われてるのもよいなあと思った。歌詞では過去や後悔や祈りや呪いをこめ、メロディは優しく、未来を取り戻すような温かみがある。星めぐり的な要素もすこし、あると思った。あと叫んでないてぺさんのハモリもとっても好き。

そして、おざなりになってしまってるけどMV作るって情報見つけた時結構楽しみにしてた。もう作られないと思うけど(次回作のアルバム、近づいてきてるし。)万が一できる可能性に賭けて、ワクワクしている。

13.「真夜中のなやみごと」

このタイトル聞いてちょっと思い出したのが、イノマーさんと峯田さんが昔にやってたラジオの題名、「真夜中のふたりごと」。少しは意識してる、はず。違ったら恥ずかしい(笑)。

まず''真夜中すぎて 月も眠り きみはひとり部屋で泣いてる''っていう歌詞。「月」って孤独を肯定する存在として使われていることが多いと思っていて、それももういないってことは本当に、誰もいない、ひとりぼっち。皆をあたたかく見守っている月にも見放されたんだ、という虚しさも少し感じた。

しかくい部屋の隅っこで体育座りになり、膝抱えて泣いてしまう夜も生きていればあるわけで、こんな時に愛しておくれがいるんですけど。「真夜中のひとりごと」は語りかけてくれるような、夜王子と月の姫のような「情けなく、でもあなたのそばにいるよ」というメッセージをひしひしと感じざるを得ない歌詞、そしてメロディーの節々に力強いアコギが聴こえて安心する。弾き語りライブを彷彿とさせつい綻ぶ。

「優しいパンクロック」愛しておくれの代名詞的な表現で、この言葉が使われているのをよく見る。真夜中のひとりごとは弾けて爆発して発散するパンクとは少し違った、弱ってる時に寄り添ってくれる曲だなあって思う。5分45秒ある、聴いてる間に落ち着ける長さも好きだ。


14.「アイ・スタンド・ヒア」

最後。終わってしまうグッバイフジヤマに向けて、バンドを辞めてしまうルーさんに向けて中山さんがかいた曲。前2曲の流れをひっくり返してしまうような、爆発したサウンドで音もバキバキ割れてて「愛しておくれ」らしさが全面に出ていて最高。

前奏が無くて、中山さんの''ぼくはここにいるよ ずっとそばにいるよ 時が流れて 悲しいぐらい きみが大人になっても''という歌詞から始まる。

ここの歌詞が今回のアルバムでの、最大のメッセージだろう。

1回バンドが終わってしまって、歌うことを辞めるという選択肢もあったのに、こうして「愛しておくれ」としてもう一度バンドを、音楽を続けてくれた中山さんが歌う''ぼくはここにいるよ ずっとそばにいるよ''という歌詞は、段違いの説得力がある。てぺさんも星美さんもけんすけさんもそうだ。リズム隊の御三方が居なければバンドは成立しないし、てぺさんはほぼボーカルだし。笑

ここの部分のコーラス、てぺさんの声しか聴こえない時があって、やったー!と思う。絶対そばにいてくれるんだな、と嬉しくなるから。

''ずっとそばにいる''って数多のバンドマンが歌ってきてる定番のフレーズで、元々この言葉が大嫌いだった。「だっていずれ消えちゃうじゃーん。音楽辞めちゃうじゃーん。離れてっちゃうじゃーん。」って飽きてた。愛しておくれを初めて聴いた時も正直また''ずっと''だよ、って思ったけれど、これまでの経緯を知って考えが改まった。中山さんの、このバンド言う「ずっと」なら心置きなく信じられると。(おこがましいけれどね。)

そしてこの曲がひかるのは、もちろんライブの時。

「アイ・スタンド・ヒア」では、全員の拳の強さが圧倒的に違う。「この曲を歌うために、聴くために来たぞ」っていうひとりひとりの思いがひとつになっちゃって、その小さな、くすぶったエネルギーが重なって膨張している。そんな気持ちはこの曲で、発散される。

音楽は、何も語らずそばに居てくれる。なかやまさんはそれを痛いほど知ってるからこういう歌詞が歌えるのだと思う。彼のことをなんにも知らないけれど、こころの痛みに優しく情けなく寄り添ってくれるひと。私にとっては。これだけは、分かりたい、のかな。

入りのギターがぐちゃぐちゃとか、そんなものどーでもいいからはやく「アイ・スタンド・ヒア」が聴きたい!ってなる。この衝動は、いつも胸の核にある。

改めて、「夢みる頃がおわっても」があって心の底からしあわせだなあとおもった。14曲つらつらと。果てしなく自己満足。

これからもずっとずっといつまでも愛しておくれが続きますように。

そしていつか、「BOYS IN THE BAND」をでっかい声で歌えますように。私のささやかなゆめだ。生きてるうちは諦めたくないよー。

''こんな地獄のような世界で何度きみに救われただろうかきっと君に分かるはずはないだろう''

私のことを何度も救ってくれてありがとうございます。これからも、ね。

末永くバンドが続きますように。

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