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LOVE SONG

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愛のうたっぽいうたをまとめていきます。
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#エッセイ

肌色の範囲

あなたの肌色の範囲に 興奮している私は あなたの布切れの範囲を 消し去ろうと試みる あなたの闇雲の範囲を 知る術もないけれど わたしの肌色の範囲で 包みこんでも良いですか ガムを包みこむ銀紙みたいに ギラつき散らばる光を背中に

サンキュードラッグ

薬を悪く言うなとあなたが泣くものだから 私たちは二度と会わなくたっていい 薬を悪く言うなとあなたが泣くものだから 私たちは二度と会わなくたっていい そんな物語はきっと誰も興味がないから 私たちは温泉旅行の計画を立てる

一回の愛

時間軸を超えることで 魔法は終わらせる、終わらせられる 不老不変な幻想などないよ ちゃんと気を付けて速度保て ひとつの塊となる前に ちゃんと分離できるよう粉を撒く 記憶と記録のちょうど境目に 塩揉み込むそれぐらいに痛いが

ブルーストーン

ひからびたポップ食い散らかして夜 サーセンなんかゴメンなーって 突き指するのはもう何度目? 至近距離から食らうくしゃみ エトセトラで磨耗する思い出 なーんちゃっては不義理 叱られたってへっちゃらな人は モグラみたいに地の底で暮らせ 審美眼ないけど辛気臭い顔で カップ麺食ってるあなたが好き スクラッチ当たらない12月 スクラッチ当たらない1月 ドライブスルー屈んでくぐる 雲の模様、連想ゲーム… 減らず口で立ち回るさまこそ アイデンティティなどと言う チャクラ開いて頭がパー 最低

リリー

全部同じレベルで消える 悲しみも美しさも どこかで足並み揃えて 全部同じレベルで 同じレベルで消えることを とても楽しみにしている 体のどこかできっと 脳の裏側、とか 知らない限りは幸せ、でも 全部同じレベルで消える 底抜けに尊い、その反動が いつか恐ろしさに変わる

for the moment

いつか私も忘れてあげると 口約束みたいにセリフを捨てる いつかあなたも思い出すわと 大口叩いてマウントしてる 今なお続く、民話のように 時を経て意味をなお強くするもの 炊いたままにしてたご飯のお焦げ 楽して金を得る途方のない過ち 浮かしたベル状の宇宙船たちが もう少しだけ先の未来を教える 寝首を搔くように明日明後日と 途絶えることなく私は続くの いつか私も忘れてあげると 繰り返したセリフは一度きりで いつかあなたも思い出すわと 思い出した日に思い出になるような

3度目の正直

止まる方がラクよ 背筋をピンと伸ばして 入れ替え式の電池 プラスマイナス間違えて 天日干しも雨や バターの匂いが移し変えて 目に物を言えど あなたの写真は暗い 泥の中に手を突っ込んで 波紋を見ていた 目の前溶けてうねる 昼を覆いつくしていく 闇を見ていた ビルの赤はもう冷めて

めぐられた

めぐられた あなたにからだのなか わくせいをいききするほど きょりがある はずだったわたしのきどう うめつくすように

日曜日、晴れ

キリンのすらりと伸びた首 図太い質感、抱きしめたい 当たり前にいて逆に怖い えぐる傷口、もぐる面影

ラブリー

太ももから ふくらはぎの つけ根まで どこもかしこも いとしみが たゆたうの 食べてしまいたい 噛んでちぎりたい ほとぼり冷める その日まで ずっと 首もとから 飛び出してる まよい毛が ふわりと風に 遊ばれて たぎらせる もいでしまいたい 猫にじゃらせたい  お墓でねむる その日まで 一生 ラブリーラブリー 目の中入れても平気だわ ラブリーラブリー 吐いて捨てるほど幸せね ラブリーラブリー 欠伸やくしゃみもたいらげたい ラブリーラブリー 煮え切らないままほとばしる ラブ

CITY POP

愛しすぎてしまったことは 後悔してもしきれないし しすぎることはいいことなのかも なんて哲学も生まれてしまうかも なんてことはずっと先の話かも そんなこととは今は無縁 楽しかったことは意味のないこと だから最後はせめて 汚いものを見るような目で 「さようなら」

無二の

1つであることよりも 2つでないことをよしとして 離れた隙間のいびつなラインを こじつけるように浴びせ付ける 綻びというかもともと 結びついてなんてなかったとか

connect to you

何も知らない方がずっと好き そんなことをしれっと言いながら 四方山話は尽きることなく あなたをどんどん取り込んでいく うるさいBGMはジャズばかりで 私たちの会話を止める気がない さらなる深みにハマりこめども 晴れない霧の正体は掴めず 多くなる欠伸と失速する笑みたちが 早すぎる始発の連結部分を揺らす