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2024/08/12『永遠に変わらないものなんて何一つ』

あぁ、この時間が好きだ…

実家の畳の上にゴロンと横になり、網戸越しに空を眺める。本を読むには暗いけど電気はつけたくない。短い夏休みがまた1日が終わっていく。

見慣れた箪笥やガラスケースの中のフランス人形、子どもの頃から動き続けている壁掛け時計も何一つ変わってないのに、隣の部屋にいる両親はいつ何があってもおかしくないほど年老いている。そして私もすっかり中年の女になってしまった。

昨日妹は自分の夫に恵まれた家庭でうらやましい、感謝しなければダメだと言っていた。
たまたま生まれた家のことについて感謝しろと言われて義弟も大変だと思いながらやり取りを聞く。
自分が持っていなかったものを手に入れた時、無くしたものを取り戻した時、そんなきっかけがないと環境に感謝するなんてなかなか出来ることではないと思う。
病気が回復して健康に感謝する。
孤独の中、愛する人に出会えて感謝する。
仕事を得て安定した生活を送れることに感謝する。
大病をしたことがない人は、多くの友達に囲まれている人は、お金に困ったことがない人は、どれも当たり前のことでさして感謝することではない。
そしてきっと感謝の感覚がない人の方がこれからも当たり前に幸せのまま生きていく。感謝している時点でいつか無くなるかもしれないものだと考えているのだから。

永遠に変わらないような部屋の中で、永遠に変わらないものなんて何一つないんだと考える。

あぁ、もうすぐ晩ごはんだ。

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