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五月三十一日。『マイレボと東京とセーラー服通りと』

見渡す限り田んぼしかない。
春の田植えにはまだ遠い、土が剥き出しの茶色い田んぼ。
空気は乾いて張りつめ、吐く息は白い。
中1の冬。ウォークマンも持たない学校の帰り道は頭の中で好きな音楽を流す。
そんな時必ずイントロから流れるのが渡辺美里さんの「My Revolution」だ。

今もはっきり思い出すことが出来るドラマ「セーラー服通り」のオープニング。

「My Revolution」のイントロと同時に満員電車からホームに人が流れ出す。
わぁぁぁ、東京だぁーー!
東京の朝だー!東京の日常だー!

そうなんです。東京への異様な憧れがあった私は東京の日常に目がなかった。今思えば、ドラマだ。作りごとには変わりない。ただ当時の私は東京の高校生を等身大で描いていると思えた「セーラー服通り」が大好きだった。原作が連載されていたちゃおを買い始めるほどの熱量だった。
3人の女子高生がつづき春というペンネームで素性を隠してマンガを描いているというストーリー。女子校での学園生活、恋愛模様、マンガ家だということがバレそうになるスリリング設定、面白かったなぁ。今見たら懐かしくて泣いちゃうな、きっと。
ラッキーチャチャチャウッ!

主人公3人の中でも私の最推しは藤原理恵さん。
この少し前にドラマ「サーティーン・ボーイ」でその可愛さに驚いてから大好きだった。後にC.C.ガールズの一人として登場したときはあまりの色っぽさに同一人物と思えなかったほど、このときはゴリゴリの清純派だった。

そして、主題歌の「My Revolution」。
このイントロの万能感というか、未来が開けていく感じというか、無敵な気分で空を見上げたくなる感じというか、13歳の私は遠く遠くの大人の私の背中に手が届くような心強い気持ちで聞いていた。今もこのイントロを聞くと早く大人になりたくて、小さな田舎で未来にぐーんと手を伸ばしていたあの頃の自分が見えるようだ。
美里ちゃんの伸びやかな歌声が気持ちいいサビで気分はMAX、どこまでもどこまでも明るい未来に向かって泳いでいける気分になる。

そして、もうひとつ。
この歌で小室哲哉という天才を私は知る。
TMに夢中になるのは、この少しあとの話。

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