あたらしいリアル○◯をかんがえよう

この記事は体験型イベントアドベントカレンダーの記事の一つとして書かれたものです。 http://www.adventar.org/calendars/1048

 世の中にはリアルが氾濫していると思うんですよ。
 おそらく一時期のWEBバブルといいますか、ユビキタスやらWeb2.0やらそういうところでデジタルに振り切っちゃった揺り戻しでアナログのものが注目され始めたっていうのが始まりだと思うんですが、そろそろ思いますよね。

「リアル、飽きた」って。

 いや、リアル増えましたよねリアル。リアル脱出ゲームとかはそうなんですが、本来はデジタルの世界のものを現実に持ってくるときに使われるだけだったのが、なんだかだんだん「なんか普通じゃないやつ」っていう意味が付与されはじめました。つまりある意味「プレミアム」という意味がほんのり乗っかってるんですよね。そこに目をつけたマーケッターたちがこぞってリアルを使い出し、この世はリアルの氾濫する世の中になってしまいました。これでは需要と共有のバランスが崩れて、リアルの大バーゲンセールになってしまうことは間違いありません。リアルひとやま300円とかそんな感じになってしまうんです。リアルですね。

 そんな世間の評価なんかどうでもいい?自分が楽しければいい?そんなかんじのひともいると思いますが、いったんメジャーになってしまったものが衰退していくときにはそれすなわち死を意味します。元には戻ってきません。くりぃむナントカの悲劇をもう忘れたんですか!ごはんは冷凍したらもう二度と炊きたてのあのほかほか感は戻ってこないのです!

 というわけで今回の記事はこのリアルという界隈にいる時間だけが経ち、向こうのほうから勝手に「◯◯さんですよね!?」とか言われることが多くなってしまい、なんとも抜け出しづらくなっているあなたに送ります。抜け出しづらくなったと言うのならば、じぶんが新しいリアルのパイオニアになればいいのです。それではまいりましょう教祖様。「あたらしいリアル◯◯を考えよう」

■リアルすごろく
 たぶんコマが人間で、電車とか使うんじゃないでしょうか。たぶんサイコロはでかいけどごきげんようのサイコロよりは大きくないと思います。

■リアルおはじき
 見えます。これたぶんスケート場を使います。コマはまちがいなくカーリングのあれです。これはオリンピック競技を狙えますね。カーリングはもうなってるって?いや、そんなこといったらスピードスケートとフィギュアスケートだって同じスケート場を使うから一緒じゃないですかっておもいますねぼくは。

■リアルかくれんぼ
 アイテムとか出てくるんでしょうね。あとハンターとか。

■リアルお化け屋敷
 お化け屋敷がリアルになる方向は2つあると思っていて、ひとつは現実の幽霊屋敷を買い取る方向のリアル。あとは実際の死体や幽霊をあつめてお化け屋敷を作る方向。たぶん後者のほうがやったことがないので受けるでしょう。大儲けです。あなたは幸せな家庭を築き、可愛い子供が生まれます。そして河口湖あたりでボートに乗るとその子がおしっこをしたいと言い出すのです。大丈夫かなとおもって心配して見ているとその子はくるっと振り返ってこういうのです。「私の顔、きれい?」って。

■リアル綿棒
 ものがリアルになっていくのは巨大化か繊細化のどちらかでして、おそらくリアル綿棒は繊細化の歴史をたどっていくのではないかと思います。耳にさすだけでセットされた触手が動きまわり、耳垢を絡めとるのです。触手は耳垢が栄養源なのでお手入れも簡単。1日に1度、糞のお手入れをしてあげてください。人間にはよくなつきます。

■リアルホテルの清掃の人
 仕事柄、地方のイベントの際はビジネスホテルに止まることが多いんですが、チェックアウト時に清掃の人と会うことって多いじゃないですか。あの時って向こうから挨拶してくるんですけど、どう返すのが正解なんですかね?いや、挨拶を返すのが正解なのはわかってるんですけどどんなテンションで言えばいいのかとか。正解がわかりません。
 あとエレベーターでふたりきりになったりするじゃないですか。あれってなんかそわそわしますよね。なんかわかんないんですけど。

■リアルがんもどき
おいしくはないでしょうね。

■リアル突撃隣の晩ごはん
 突撃隣の晩ごはんにリアルが付いたってことは、たぶん一回これって西暦2100年ぐらいにデジタル化されてるんですよ。毎回、ロボットヨネスケが民家に突入するんです。取材に応じてくれない場合はあの大きなしゃもじがロケットになってて、民家もろとも爆破するんです。
 毎週新たな武器で民家を破壊するので、一部の好事家には大人気だったと思うんですが、さすがにエンディングで「次に行くのはあなたの街かもしれません」っていうのが脅迫に当たるとかなんとかで警察が動き出しちゃったのがまずかった。わずか3ヶ月で打ち切りになってしまったのです。
 次の週からは僕らが知っているいつものやつに変わったんですが、突撃してるのがどう見てもヨネスケじゃないんですよ。ただヨネスケの顔なんですよね。そう、ヨネスケの死体の皮を被ってやってるんです。まあ2100年ですしね。そりゃ死んでるわ。よく残してあったなと思います。

■リアルメリーゴーランド
 もちろんリアルになってるのは馬だと思うんです。馬が串刺しになってぐるぐると回ってるんです。もちろん生きてます。危ないんで脚は固定してあるんですが、機嫌が悪いと鼻息がすごく荒くてデートの雰囲気がすごい悪くなっちゃいます。馬には優しく乗りましょう。
 え、さすがに馬を串刺しにしたら死んじゃうって?いやまあ2100年ですからたぶん大丈夫です。

■リアル三丁目
 三丁目ってちょっとお高く止まってるじゃないですか。おそらく丁目選手権があったらぜったいに1位になってるわけですよ。それはもちろん「三丁目の夕日」とか、「三丁目のタマ」とか、そういうあれが影響してきてると思うんですけど、とはいえ三丁目って日本の中でたくさんあるわけで、三丁目の中でも落ちぶれた三丁目も絶対にあるじゃないですか。その中でこの個人商店絶滅期の時代にあってなんとかしなきゃいけないってことで、商店街の人達が半年ぐらい会議を重ねて出てきたのがこれ、リアル三丁目。
 とくになんかあるわけじゃないんですよ。人のつながりとか、いかにも三丁目っぽいとか、そういうふんわりとした中身になるに決まってるんです。あとご当地グルメ。だしを丁寧にとった味噌汁が売り物のリアル三丁目定食とかが売りだされたり、リアル三丁目まんじゅうとか、そういうものが適当に作られ始めます。ただこれがいまのロハス的な風潮にピタリとハマって、NHKが取材に来たことをきっかけに大繁盛するわけなんですよね。その成功を見た他の三丁目の人達が「元祖リアル三丁目」とか「三丁目本店」とか名乗りだしたり、別の場所の土地開発会社の人たちが「リアル三丁目」の商標をとってしまって使用差し止め請求を食らったりとかいろいろ一悶着あるんですけど、それは映画「リアル三丁目の夕日」で御覧ください。

■リアル知恵袋
 なんで袋なんでしょうね。袋ってやぶれるじゃないですか。僕のイメージだと知恵袋って巾着みたいな袋を想像してるんですけど、これってたぶん知恵の前にはこんぺいとうが入ってたと思うんですよ。こんぺいとう入れ。こんぺいとうって小口のものってけっこう量が少ないからすぐ食べちゃうじゃないですか。でも入れ物は見た目が多少綺麗だから捨てづらくて、ふとしたときに引き出しから出てきちゃったりするんだと思うんです。おばあちゃんはそういうのを捨てるのって嫌だから「じゃあ知恵でも入れておくかねえ」ってなって、知恵袋になったんじゃないかなっておもうんです。
 つまりこんぺいとうを買って、食べて、袋を家においておくだけでおばあちゃんがかってに知恵を入れてくれるってことなので、賢くなりたい人はレッツこんぺいとう!

■リアルもぎりの人
 すっごい感情をこめてもぎってくれるんじゃないでしょうか。でもチケットの気持ちになってもぎられるといやですよね。絶対痛いもん。

■リアル賞味期限切れ
 賞味期限切れってけっこう微妙な表現なんですよね。「美味しさを損ないます」っていってるけどそもそもお前そこまで単体で美味かったっけ?とか思うわけです。賞味期限っていうのは「美味しさを損なう期間」なので、賞味期限を超えてもおいしく食べられている人たちを馬鹿にしているんじゃないかなって思うんです。いいんですか貧乏舌のみなさん!みなさんはメーカーに馬鹿にされているんです!
 消費期限も安心してはいられません。消費期限越えてても食えるもんは食えますし。それはお前らが決めることじゃなくて俺の体が決めることなんじゃないかなって思うんです。そういう意味でのリアル賞味期限切れ。その時の状況や体調によって常に変動する。いかにギリギリを攻めていくことができるか、かなりスリリングなスポーツになるに違いありません。

■リアルチャツネ
 なんか日常に入りきらない言葉ってあるじゃないですか。ズンドコベロンチョとまではいかないんですが、「ニョッキ」とか、そういう用途にしか使えないようなやつ。チャツネもそうなんですよね。ああなんかインド方面の・・・で終わっちゃう。これで検索するとわかっちゃうので今は検索しないで印象だけで書いていくのですが、そういう本メニューじゃない、なんかおまけ程度のものの名称って検索しても忘れちゃうし、チャツネ王国のチャツネ国民にでもならなきゃ一生自分のものにできないんじゃないかって思いますよね。わかんないものにリアルって付いても「なんかつやつやしてそう」っていう感想しか浮かばないなあと思いますね。たぶんつやつやしてるんじゃないかな。それはたぶん玉ねぎがつやつやしてるんじゃないかと思います。すごくいい玉ねぎを使ってるんじゃないでしょうか。

■リアル森田一義アワー
 リアル◯◯という表現において、非常に矛盾するんですけど、これって「かなりリアルに寄ってるフェイク」っていう意味があると思うんです。「うわーリアルだねこれー」って本物に対して言わないじゃないですか。そういう意味だとこれも多分にせものなんですよ。とはいえすごくリアルに寄せてくる。場が混乱した時にタモリさんがとりあえず注目をあつめるためにやる、誰も意味がわからない一発ギャグとか、ウキウキウォッチングの歌を歌わなくなる瞬間とか、そういうなんか全体は偽物っぽいんだけどそういう細かいところはとてもリアルに寄せてくるものなんだとおもいます。
 司会は誰なんでしょう。森田一義なんでしょうか。でもすごく似てる森田一義なんだとおもいます。コージー富田よりも。たぶん。

■リアル詐欺
 警察に行きましょう。

■リアルTwitter
 これはね、伝書鳩なんでしょうね。Twitterも鳥ですし。同じ内容をフォロワーの人数分だけ紙に書いて伝書鳩に託すんです。そうするとどっかの砂漠の上空ぐらいで鳩がその紙をわーってばらまくんですよ。そうするとフォロワーさんが一斉にダッシュしてあなたのツイートを取りに行くわけです。司会者ののもとにそのツイートを持って行くと読み上げてくれます。「これをなんと読む!『ハズレ』!」ハズレを引いたらもう一度取りに行かなくてはいけません。3ポイント先取で勝ち抜きです。このつぎはたぶんトマト祭りあたりで大声クイズをやらされるんでしょうね。罰ゲームは自分が鳩になって上空からスカイダイビング。日本に帰った後はあるていどのクイズフリークとして名を馳せてライブハウスとかでイベントをやればそこそこはお小遣いになるのではないでしょうか。

■リアル脱出ゲーム
 これはたぶん模範囚にならないといけないんですよ。そこの刑務所は、態度に応じてメニューがちょっと変わるんです。ちょっとランクが上がると食事に味噌汁がついてくる。その味噌汁の塩分で鉄格子を錆びさせると脱出できるんです。とはいえ味噌汁を鉄格子にかけると自分の味噌汁がそのぶん無くなってしまうんで、味噌汁大好きなあなたとしてはさすがに踏み切れない。しかしあなたは気づくんです。同じ牢屋のみんなが模範囚になればみんなに味噌汁がつくからみんなで鉄格子に味噌汁をかければ、一人あたりの味噌汁の消費量を減らすことができるって。でもそのなかにはすごい味噌を神格化してるマニアがいて、味噌汁を鉄格子にかけるなんてとんでもない!もしそんなことをしたら看守に告発する!とか言い出すんです。その後、その人とすさまじい戦いを繰り広げなきゃいけないんですよ。彼が寝ている間に少しずつスポイトで味噌汁を鉄格子にかけなきゃいけない。しかしその味噌マニアも牢屋内にスパイを作り始めて、誰が味方で誰が敵かわからなくなってしまう。そのうち、その牢屋の中では味噌は貨幣と同等の扱いを受けるようにわけです。ここに味噌至上主義が完成します。
 あなたとしては早く味噌汁を鉄格子にかけて脱獄したいのですが、味噌マニアの彼はなかなか手ごわい。戦いにはとても長い年月がかかりました。しかし、その戦いは突然終わります。あなたの懲役期間が終わってしまったのです。普通に出れた。
 シャバに出たものの、身寄りの無いあなたは町をあてども無くさまよいます。日が暮れる頃、ふとあなたは街の看板に気づきます。「『リアル三丁目』・・・?」そこに住む人達は快くあなたを受け入れてくれました。あなたはそれに感激し、この地域に恩返しがしたいと思うようになりました。
 考えた結果、あなたはリアル三丁目で定食屋を営むことになりました。名物はだしを丁寧にとった味噌汁が売り物の「リアル三丁目定食」です。この続きは映画「リアル三丁目の夕日」で御覧ください。


というわけで「新しいリアル◯◯を考えよう」でした。

そんじゃーね。

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