2018年に関わった謎解きを振り返る

今なぜこんなことを書き始めているかというとなんかやらなきゃいけないことがあるんだけど気が向かないままぼーっと数時間経ってしまっているのですがやる気というのは永遠に出てこないと言うかやり始めないとやる気というのは出てこないという話がまことしやかに囁かれている昨今なのでアイドリング的に書き始めて見ようかと思った次第なのです。

というわけで2018年振り返りです。

■陰陽師「邪神封印」
https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?id=43
 世界2億ダウンロードの超人気アプリ陰陽師の謎解き。東京・大阪では3月4月だったんですけど、これ実は1月頭〜2月で台湾で初演を行っているので、実際の原稿入稿は2017年の12月ぐらい。さらに東京終了後も5月頭に上海公演というのが急遽設定され、結局半年以上もこのコンテンツに費やしておりました。
 もちろん言語が違うので印刷原稿自体は3種類(日本語・中国語繁体字・中国語簡体字)存在していて、地域によって入稿ファイルが変わっていたりします(繁体字と簡体字は文字が簡略化したり言い回しがちょっと変わったりしている)ただ最初から2カ国語を作ることは分かっていたので、イベントのつくり自体が言語依存しない内容になっています。謎の内容もほぼ完全に同じものになっていますが、それを知っているのは数名だけなのでここに書いておきます。

■ポプテピピック「竹書房壊すべし」
https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?id=45
 制作時期は1月からスタート日直前まで。2回に渡る開始日延期を経て3月にやっとリリースされました。これは過去最高に作るのが大変でして、なぜかというと、いつものコラボは履修範囲がだいたいアニメ全部原作全部ぐらいなのですが、こいつの履修範囲は「90年〜今年までのテレビアニメゲームサブカルすべて」という途方もないものでして、とにかく小ネタを入れまくったのでした。結果入れた小ネタだけで100は超えていたりして逆にオリジナリティの塊みたいになったのが面白かったです。
 こいつについては語れることが無限にあるんですけど、LINEで特定のワードを送信するとその内容を説明してくれるようになってまして、例えばストーリーにほんのちょっとピザ屋が出てきて必要なアイテムを配達してくれるのですが、「ピザ屋」と送信すると、そのピザ屋のバックヤード(「今回の前にも少年たちにゾンビとりもちを配達させられたり散々な目にあっているらしい」みたいなそこそこ長いスリーク的な一文)を読めたりしたんですが結局誰も見てなかったりしてもったいないなあと思ったりしました。
 また、謎解きのパロディも死ぬほど入っており、せっかく書泉グランデさんを周遊エリアとして使っているので2012年にやった某周遊をオマージュしようとやる気を出し、当時の写真やキットをかきあつめて手がかりを貼る場所をまったく同じにしてみたり、地下で行った某行動とまったく同じ行動を取らせてみたり、唐突に指輪型探知機が出てきたり、まあ謎解き歴6年以上の人に馬鹿みたいに響く内容になっていました。
 でもこれだけ小ネタが入ってると怖いもので、内容について生半可に語ると「何を知っていて何を知らないか」というのが如実にバレるというサブカル&謎解きクラスタリトマス試験紙みたいな機能を有しはじめ、これは大変なものを作ってしまったと当時は感じていました。
 あとあれだ、SCRAPさんの謎解きクリアファイルとなぜかリリース日が重なったりとか、実はパーカー坊やは6つ子なのでそれぞれ違う色のパーカーを着た6体のデータを納品してもらったもののボリューム的にそれを入れるとさらに分量が増えちゃうのでカットしたとかいろいろありましたが、いつか続編でも作れたらいいですねと思っています。

■名探偵もろもろ
 なんかたくさんやりました。今年もちょくちょくやるのでしょう。
1月から3月はこいつのためにあけてあります。

■東武動物公園に隠された謎を解け
 これは4月ぐらい。あまりなにもしていない気がするのですが、デザインや謎、動物園や遊園地も含めた内容としてはとても良いと思うのでもっとたくさんの人にやってほしいなと思っています。現時点では3月末までです。

 ちなみに弊社の規定では、東武動物公園は出張扱いになります

■エキキタ謎解き小旅行 
 これは5月ぐらい。初めて広島に行きました。
現地に行って使えるオブジェがあまりなく、画期的というかすごくゲームっぽい構造を取り入れてみたり、ナゾ自体はそんなに難しくないのですが、デザインもあいまって個人的には好きです。
 コーディネーターとして出したキャラ「なぞこ」はまたいつか出したいですね。

■ヒロアカ謎2「ヒーローズデストロイプロジェクト」
https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?id=50
 8月スタート。これも制作期間は長かった。タイトル自体は第1弾の企画の頃から決まってまして、略称が「HDP」で統一されるようになっています(意味は特にない)。
 じつは某巨大ライブハウスで公演をやろうとして電話したらけんもほろろ、なしのつぶてというかんじでして、なんとなく調査をしたところ、だいたい1回公演をやれば次の予約ができるという、まるで肉山やヒロミヤのようなシステムで動いているようで(肉山は今はだめらしいけど)、お得意様にならないと門戸すら開けてくれないんだなあという会場枯渇の現状が身にしみます。 
 ヒロアカ謎は原作自体が群像劇なので、ストーリーに寄り添おうとすると登場人物が大量に出てきて論理で制御できない(いう事聞かないやつも居るし)という問題を抱えていまして「なぜか謎が出てくる」という設定を基本採用しないわれわれとしては死ぬほどブレストをする必要があるという大変なコンテンツであります。そもそも謎を出題してくる人がいないので必然的に状況打破謎になりやすいわけで、そこが謎解きらしい謎解きが好きな人には合わなかったりすることがあるのですが、そろそろ「なぜか謎が出てくる」でもいいのかなあと思ったりします。
 いつか100チーム参加で100チームを成功させて成功者発表のときにイロナくんに全チーム読み上げさせて彼の喉を潰すのが夢の一つであります。

■ヒロアカ謎ファイル7種
https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?id=51
 8月発売だったのですが企画自体は3月ぐらいから。5ヶ月かかりました。もうこれは大変。7種いっぺんに作ってはいけない。デザイナーは1人しかいないんだ(イベントのデザインも並行してやってる)ということを痛切に思い知らされたものでした。
 謎ファイルについてはキャラの人気はあるものの、結局みんな売れたいという気持ちがあるようで、そのままにするとどうしても全体的に難易度が下がりがちなんですが、それをかき回すために難易度10の敵<ヴィラン>を投入してみたのですが、非常に良い感じにバラバラになってくれました。
 ただその次の謎ファイルでは敵<ヴィラン>に引きづられたのか5種中3種は難易度が手に負えないという状況になっており世界は点ではなく波で構成されているんだなあと感慨深いです。(その次の謎ファイルはもうすぐ出せるはず)

■逆転裁判2「逆転のパズル」
https://www.yte.co.jp/asobi/event/detail.php?id=53
 2年前に行った前作公演「リドル」の2年後を描いたストーリーになりました(知らなくてもまったく問題ない)が、リアル2年前の公演を覚えている人などほとんどいるわけもなかったのでした。
 ナゾとしての話をすると、コンセプトは「謎解きでやるとアンフェアだけど逆転裁判ならアリ」という内容を目指して作っていまして、逆転裁判の醍醐味でもある「総当たり」がルール的に許容されるつくりになっていたりします。おれたちはこのあとの話を読みたいんだ、読むためにはとりあえず先に進めばいいんだ、左から順にひとつずつ異議あり!をしていくんだ、あーっとゲージが無くなった、コンティニューコンティニュー…あああああ途中でセーブしてなかっためっちゃ話戻るわ…みたいなゲーム体験をまさにリアルに体験してほしいなという気持ちでいたため、謎解きゲーム至上主義的な見方をするとけっこう座り心地の悪いシーンがあったかもしれないですね。
 そして、話の部分に関しても逆転裁判ぽさを出したいなあというところがあり「勝手にみんな待った!をしてきてわけわかんなくなる」とか「ヘンテコなキャラが出てくる」とか、前作ではできなかったヘンテコ成分を織り込むことができたので個人的には満足です。
  ちなみに制作中、ストーリー上のムジュンした点を潰そうとやっきになって制作が止まっていた部分がいくつかあったのですが、テキスト上でそのムジュンした点をミツルギに突っ込ませてみると勝手にナルホドがテキトーな解釈をして煙に巻いてくれて話が進んだうえにムジュンがムジュンでなくなったりして一気に進むことが多々あったので、謎解き制作者の方はこの二人を脳内に住まわせるのをすごくおすすめします。
 また、逆転裁判の世界はいままさにリアル現実の時間とシンクロしています。今週の日曜でもある1月6日には「逆転裁判3」の3話「逆転のレシピ」の事件が起こりますので各位よろしくおねがいします。

ということで2019年の予定はまだあまり決まっていないですが、
本年もよろしくお願い致しますー


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