新米班長いとう君 第八話 「工程管理とかプロジェクト管理とかの入門」

あらすじ

ガントチャートやパートチャートの本質とか、工程管理やプロジェクト管理とExcelで書いた線表の違いを教えてもらいます。

#8  「工程管理とかプロジェクト管理とかの入門」

彼女の講義は、続きます。

齊藤さん
見栄えのいい帳票とシステム化は全く別物でしょ。

いとう
まあ、そうだよね。

齊藤さん
取り敢えず、Excelは忘れてもらって、目的を整理しよ!

いとう
そうだね。

齊藤さん
では、目的は?

いとう
はい、工程管理をしたいかな。

齊藤さん
ちょっと違うかな。

いとう
え~。分からないよ。

齊藤さん
目的だからね。
工程管理が何かも分からないのに、工程管理が目的なんて、おかしいでしょ。
まあ、わざと嫌な言い方したけど。
これは、私のお客様にもこう言うの。

いとう
まあ、そうだね。
じゃあ、目的は、計画変更時の再計画をタイムリーに行いたい。
そのために、作業が、どこまで進んでいるのかもタイムリーに把握したい。
かな。

齊藤さん
だいたいいいね。
ねぇ、そうすると、さっきのExcelのガントチャートなんてどうでも良くなったでしょ。

いとう
うん、だまされたみたいだけど。確かにその通りだね。

齊藤さん
でしょ。
では、先ずは、作業がどこまで進んでいるかをタイムリーに把握したい。
が最初の課題だね。
ポイントは、出来ることからやっていくのよ。
その出来ることが、煩わしかったり、ミスや誤記が多いとか、
十分にタイムリーじゃない場合に、その問題を一つずつ潰していくの。
これが、カイゼンね。
その行く付く先にあるのが、いま流行のDXとかのシステムに置き換わっていくのよ!

お~!なんかここ何日かの講義で、一番ひびいたぞ!

齊藤さん
この手順をすっぽかして、見える化だとかシステム化だとか言っているから失敗したり、効果が得られなかったり。
本屋さんで買える本も、怪しい本ばっかりで、じゃあどうすんの?
ってことが書いてないでしょ。

いとう
確かにね。
工程管理のシステムで出来る機能が記載されていたり、ガントチャートがこんなに見やすいとか書いてあったけど。
具体的にどうしていけば良いのかは、書いてないよね。

齊藤さん
でしょ。
そんな大事なことが本屋さんで買えれば、コンサルタントとか、システム屋さん達の仕事がなくなるでしょ。

いとう
そうだよね。
いや、なんか酒が進むね。

齊藤さん
はあ、話を聞いているの?

いとう
いや、感動したので、ということで。
賞賛です!

齊藤さん
ありがと。
では、私も飲みながらなんで、調子が乗ってきたけど。
こんなに、私の話を聞いてくれる人が側にいたなんてね。
さて、作業が、どこまで進んでいるのかもタイムリーに把握したい。
を解決するために、進捗管理って、言ってたよね。
進捗って、物事が捗る(はかどる)事だから、進捗してます。ということは、順調ということなんだけど、順調に捗らないから管理するって、変な日本語なんだけど。
生産管理や工程管理など「管理」という日本語だと意味が通じない言葉がたくさんあることを最近知ったんだけどね。
まあ、先ずは「見える化」でしょ。
「見える化」ってトヨタ自動車さんが発明した言葉だけど。
そう言えば、この前名古屋でトヨタ博物館に行ったのよ。そこで、とっても良い本を買ってきたの。もう読んだから今度貸してあげるね。
「英語でkaizen!トヨタ生産方式」って本なんだけどね。たぶん、海外の工場でなぜ、カイゼンが必要なのか?なにをコントロールしたいのかが英語と日本語でやさしく説明してある隠れた名著なんだって。
見える化は、何が問題かを把握して、無理、ムダとかの解決しなければならない問題を明確にして行くんだけれど。
進捗状態を「見える化」するということは、問題を明確にすると言うことなのよ。
前に言ったと思うけど、
昔の価値観で、設備稼働率とか意識すると、設備が空いていると、計画と違う作業を実施したりね。
計画通りにやってもらわないと、後工程も影響するし、
なにが正常で、なにが異常かも分からなくなるでしょ。
その結果で計画の差し替え、いわゆる再計画も発生するしね。
つまり、何が正常であるかの基準がいるのよ。
それで、順序計画が必須なの。順序計画っていう言い方は、とても大事な側面があって、計画した作業順番を守って欲しいのね。

いとう
話の途中から、進捗管理なんて言ってちょっと失敗したな。と思ってたんだよ。
やっぱり、計画が必要と言うことだよね。

齊藤さん
当たり前でしょ!
遅れた、進んだは、基準があるから分かることで、基準がなければ、遅れたか進んだかなんて判断出来ないでしょ?
だからまずは、計画表を作るのよ。
さっきのExcelで作ったガントチャートなんていらないから、あれは、オーダー別ガントチャートなので製造現場の人には不要なの。
製造現場では、今日は、朝から、どういう順番でなんの作業をするのかが分かれば良いんでしょ?
それは、現場単位なのか職場単位なのか、いわゆるリソース毎のリストの様な一覧で良いのよ。
ガントチャート、特にオーダー別ガントチャートは、オーダー毎の進捗状況や納期余裕とか優先順を把握し、調整するために必要なもので、製造現場にはいらないと思うけどね。

いとう
ごめん、オーダー毎のガントチャートが見たいって言われたんだよね。

齊藤さん
なんで、
なんで、必要なの?
って、ちゃんと聞いた?

いとう
ごめん、聞いてない。
たぶん、そのガントチャートを見ながら、今日やる作業を決めていたんだと思う。

齊藤さん
よく有る話だね。
いや、私が会社で良く聞く話だなあと思ってね。
つまり、製造現場で、作業順番を決めているんでしょ。
つまり、だれもコントロールしていない状態。管理とか以前の問題。
まあ、工場での言い方は、現場に任せてあります。って言うんだけどね。

いとう
そうだね。
そのために、工程管理しますって言ったので。

齊藤さん
では、先ずは、パートチャートを作りましょう!
さっき見せて貰ったガントチャートだけど、1オーダーが1本の行というかバーだったけど、部品が多くて現場で探すのが大変とか、
組立時には、その部品が揃ってないといけないんでしょう。
ということは、全ての子部品を含むパートチャートが必要だよ。
作業の手順やこの作業とこの作業が出来たら、この組立が開始できるとかの作業順番の制約を表現するの。
そして、そこに必要となる作業時間と必要となるリソース情報を記載して、
パート(PERT)図っていってね。
パートには、アローダイアグラム図やネットワーク図とか色々あってね、ネットでもいい加減なことが書いているので、あまりあてにしないでね。
アローダイアグラム図は、難しいので、先ずはネットワーク図で、矩形のマスを左から右へ横に並べて作業と作業の間に矢印を引いて、マスに工数つまり作業時間を記載すればOKかな。
で、ネットワーク図を書くためには、部品構成や作業を分解する必要があるんだけど。
WBSって言ってね、作業を分解して、いわゆるツリー構造で表現していくんだけど。
ポイントがあって、作業を詳細に分割するんだけど、ワークというか、部品とかのリソース、作業者や設備が変わる単位で作業として記載しないと、段取りして、本作業して、また段取りして、とかね。作業が細分化されすぎても困るでしょ。
あと、逆もあって、組立5日とかで一つの作業にしてしまうと、着手してからの進み具合、進捗が分かりずらいでしょ。
作業の途中の状態も重要なの。数時間で完了する仕事なら問題無いけど、何日もかかる仕事が、終了予定日になってから急にまだ半分しか終わってません。って言われてもね。

いとう
結構、難しそうだね。

齊藤さん
大丈夫よ。
週末に勉強会開いてあげるよ。

いとう
え、ほんと!

齊藤さん
さっきの本とか、資料を持って、家に行ってあげる!

いとう
あ、有り難う。

あれ、急にドキドキしてきた。
あー、掃除しなきゃ!洗濯も。

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