『ユングと占星術』 マギーハイド
占星術界でよく名前があがるユング。マギー先生は少し批判的に現代の占星術界に疑問を呈する 。
序章
ユング思想と占星術の間にはどのような関係があるか
ユングの主要な思想を取り上げどのように現在、占星術に取り入れられているか見ていく。
今まで占星術界では以下の2点がよく検討されてきた。
A) 占星術の象徴を神話的に拡充していくこと。
B) ユングの心の構造論とホロスコープを結びつけること。→ (特にこの風潮からホロスコープ は「心の地図」という怪しい考え方も出てきた)
第4章と第5章では
A) ホロスコープの象徴に対するユングの拡充的なアプローチの利用について考察し、また彼の元型の観念についても議論する。
第6章では
B) シャドウ、アニムス、アニマなどの概念がどのようにユングの分析心理学から借用されているか、そしてそれがいかに
"心理学にも占星術にも公正な利用法となっていないか"
を示し、実践に取り組むより効果的な方法を示す。
第8章はシンクロニシティ観について分析する。
現在ユングのシンクロニシティについては占星術界ではユングの思考のコンテクストから外れて議論されている。
野心的な実験である占星術的結婚の実験についての結果があまり言及されていないが、こちらは占星術家に大きな挑戦を突きつけることとなる。
(14)
第1章ではユングのオカルト的な世界観について見ていく
(彼の考えの多くはプトレマイオス的な世界観に基づく)
(15)
第1章 魚座の時代
第2章 ユング、フロイト、そしてオカルト
ユングの師匠であるフロイト
ユングがオカルトに傾倒することでフロイトと決裂する。
第3章 闇の領域
第4章 ユングは歌う 象徴的態度
一言でいうと...象徴に命を吹き込むには観察者の意識が大事
シンボルは記号と違い超越機能を持つ(113)
友人の大変な1日を牡牛座という象徴的なものと結び付けて考えることで、嫌な1日が宇宙と繋がり、幾ばくか心が軽くなっていく(126)
象徴に命を吹き込む観察者の意識、態度が必要となる。(128)
第5章 心理占星術 深層の意味を求めて
一言でいうと... ユングの思想のみで心理占星術をすると今までの伝統占星術の豊かな意味がなくなる
英語圏の占星術においてディーンルディアとリズグリーンの二派がある。
神智学を深く学んだルディアはユングの新プラトン思想と親和性があり人間性占星術を構成していく。ホロスコープは魂のプループリントという言葉が出てくる。
(138)
もう一つのアナロジーは種子。
個人の潜在的な可能性のことを指す。
(139)
月は母親の元型だとすることで多くの他の伝統的な占星術の月の意味を失う。ユングの思想と占星術のシンボルは対応可能なところがたくさんあるが、ユングの思想だけに拘泥すると還元主義的になってしまう。(148)
第6章 心の地図
一言でいうと...ホロスコープ は心の地図っていうのはちょっと乱暴すぎ
ユングの思想を占星術に取り入れようとすると
ホロスコープ=心の地図
という言説が出てくる。 (175)
チャートのどの部分が心のどの部分を指すのかに関して占星術家の間で共通意見が出ていない。(176)
伝統占星術と心理占星術の相違の鍵は前者が本人の行動、この世界での行為全てにこだわること、意識的、無意識的な潜在的な動機などを推測しないで済むということだ。出生図だけでなくトランジットなども考慮にいれると心という不確定なものを知るのに重宝する。(186)
心の性質は不確定に我々に挑戦してくる。占星術の素材の性質もカオス的で予想もしないところから現れる。(197)
客観性という幻想が破れることで占星術家は自分と出会う。(198)
第7章 シンクロニシティ 共時性
シンクロニシティは3つの形をとる
1. ある心的状態が同時に起こっていると見なされる客観的なプロセスに対応する。
例) 友達のことを考えたら友達から電話がくる
2. 幻視(夢やヴィジョン)を伴う主観的な心的状態が後になって共時的だったと分かる
例) 悪夢を見たら、友達が事故にあっていた
3. 知覚されたものが未来のこと
例) 水晶占いや予知夢
精神分析的解釈ではシンクロニシティは何かの説明を求める単なる人間的な願望にすぎないと考える「意味」は万能感を求める欲望の表現 ()
ユングは最初、生まれたホロスコープには時間的な何かの意味があると言っていたが、最終的にその意見を曲げた。
「質的時間とは事物の流れに他ならずそれは空間と同じようにそれ自体では何者でもないからです。この仮説はトートロジー以上のものではありません」(210)
結婚のホロスコープの実験の内容(216)
共時的な実験は観測者を取り込んでいき、共犯者にする(219)
第8章 実際の占星術 偶然の一致の解釈
第9章 天空を引き伸ばす
土星の強いユングは1なる世界との出会いをシンクロニシティと名付けた。「同じ時にいること」を意識していた(256)
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