見出し画像

芝の違いってどんな感じなの?

こんちゃ、むらさめです

ドバイワールドカップデーは広尾ファミリーにとって残念な結果に終わってしまいましたが・・・

 UAEダービーはデルマソトガケ
ドバイシーマクラシックはイクイノックス
そしてメインのドバイワールドカップはウシュバテソーロが勝ちましたね!

日本馬がドバイでも輝きを放っていましたね!! 

そんなドバイワールドカップを勝ったウシュバテソーロが今年の凱旋門賞に挑むという事でTwitter上では

「ダート馬が芝のGⅠに出るのはどうなの?」

 という声がちらほらと聞こえていました・・・ 

皆さんご存知の通り、ドバイワールドカップというのは「ダート」2000mのGⅠなのに対し、凱旋門賞はフランスで行われる「」2500mのレースです 

まるっきり正反対のレースに出走するという事で疑問が起こるのは仕方の無い事なのですが・・・ 

一方で「凱旋門賞はダート馬を連れて行った方が良い」と言人も多くいます 
という訳で今回は「芝の違いって何なの?」です!
芝については以前イエルバブエナの動画でちょっとお話したのですが
今回は詳しくお話ししようと思います!

芝にはどのような種類があるのか

まずは「芝の種類」についてですね
これは先ほどお伝えした動画の中でお話しした内容と同じ部分もありますが、再度解説いたします

日本の競馬場には2種類の芝が使われております

中山や東京、中京や阪神と言った本州にある競馬場と、小倉の九州にある競馬場では「野芝」という芝を

函館・札幌の北海道にある競馬場では「洋芝」という芝が使われております!

同じ芝だから特徴なんて一緒だろ?と思われるかもですが、実は全く異なる種類なんですよね

クッション値

それでは芝についてお話・・・・をする前に一つ
馬場関連の知識で「クッション値」というのがあるのはご存知ですか?

クッション値とは競走馬が走行時に馬場に着地した際の反発力を数値化したもので、この数値が高いと馬場の反発力が高いといえます。

JRA 芝のクッション値に関する基礎知識より

JRAのサイトによれば上記のように書かれているクッション値ですが、馬場の反発力が強いとどうなるのかと言いますと「馬場の地面を踏んだ馬の脚力に対して、馬場の押し返す力が非常に強い」という事です

ちなみに水が含むとクッション値が低くなる傾向があるとのことです
この場合ですと散水を行うか、雨が降り不良馬場になったりするとクッション値が低くなるという事です!

クッション値から見る馬場状態(JRAホームページより参照)

ちなみにクッション値によって馬場の状態や水分状態が分かるらしいです!

詳しくは下記のJRAホームページより参照の方お願いします!

野芝について

野芝は日本に古くから存在している「在来種」です!

特徴としては・・・
・草の長さ(草丈)が短いので足が取られにくい
・水を含みにくい

といった特徴が挙げられます!

野芝の作り

野芝の断面図

野芝の断面図を分かりやすくPowerPointで作ってみました

野芝は「ほふく茎」と呼ばれる太い茎が地中で広がっており、競走馬の足を支えるのに重要な役割を担っております!

画像で言うと途中に広がっている横に広がっている太い線がほふく茎ですね!

ほふく茎ってどんな感じかと言いますと・・・たまに家の雑草を引っこ抜いている時に、抜いた場所からだけでなく周りから太い茎が地中から出てくる事がありますが・・・まさしくそんな感じだと思っていただければ幸いです!

そして「ほふく茎」のほふくは「ほふく前進」から取られているのかは分かりませんが・・ほふく茎は断面図から見て横側に広がる傾向があり、下側(地下方向)にはあまり伸びません

そして太い茎が広がっている関係か芝生同士の密度が低いので、水が地下方向に流れていきやすい構造をしている点も水を含みにくいと言われる所以だと思います

ただ茎のみならず蔓にも言える事ですが、密集した茎や蔓と言うのは大人でも引っこ抜いたり、ちぎるのに一苦労です

そういった点から非常に生命力が強いというのも野芝の特徴です

野芝のクッション値は高いと言われておりますので、簡単に言えば反発力が高いので馬の脚力を最大限使う事ができる馬場というのが野芝なんですよね

極端な話、地面にバネが仕込まれているような感じです

あの有名なディープインパクトが「まるで飛んでいるかのようだ」と言われておりましたが・・・感覚としてはまさに飛ぶというのがぴったりとあてはまりますね

それに加えて草の長さが短いので馬が足を取られる可能性が低いという事もあり、結果早い時計が出やすい馬場となっております

ファストフォースや今村聖菜騎手が乗ったテイエムスパーダのレースで知られる小倉の北九州記念で「1:05.8」とロードカナロアもびっくりのどえらい時計を叩き出していることが良くあると思いますが

・夏と冬のスポット開催なので芝の状態が良い
・スプリント戦なのでペースがめちゃくちゃ早い
・上記の野芝の特徴

以上の要因が重なって、あれほどのタイムを叩き出したのかな・・・と素人意見ながらに感じました

野芝のまとめ

野芝と言うのは

①草の長さが短い事で馬の脚が比較的取られにくい
②ほふく茎の存在がある事で、クッション値が比較的高くなり馬の脚力を最大限使うことが出来るようになる
③②の事もあり、レースで早い時計が出やすくなる
④一方で早い時計が出る為、ケガの危険性が高くなる可能性がある

以上が野芝についてのまとめです
ほふく茎が与える影響というのが非常に大きく、この存在もあって日本の芝は独自の変化を遂げたとも言われます
ただ一方で、時計が早くなるので怪我のリスクも高くなります

その為、ここ数年になってゴールドシップキタサンブラックディープボンドと言った大型の馬体を持った長距離馬というのも増えてきています

この問題点は何人かは懸念点として取り上げられていますが、在来種を用いているだけにこの状態が続くと思いますね・・・

洋芝について

続いて洋芝についてですね!
洋芝は明治時代に海外から輸入された品種で、特徴としては

・成長が早いのもあり、草の長さが長く足がとられやすい
・競馬場で使用されている洋芝の品種は寒さには強いが暑さに弱い
・特殊な構造のため非常に水を含みやすい

といった特徴が挙げられます!
寒冷地を好む品種なので暑さに弱いということもあり、競馬においては北海道の2つの競馬場(函館・札幌)でこの芝が採用されております!

あの格式が高い凱旋門賞を始めとした海外のGⅠは基本的にこの芝のため、海外レースに挑戦する前に札幌記念函館記念といった北海道の競馬場で行われる重賞レースをステップに海外レースに挑戦するケースも少なくありません!

あの国立競技場に使用されている芝も実は洋芝なんですよね!
あれ?東京は都心部なので暑いはず・・・と思った貴方、正解です!

実は洋芝には「暖地型」と「寒地型」の2種類があり、国立競技場に使用されている芝はいわゆる「暖地型」の洋芝が使われております!

暖地型の特徴

暖地型の特徴は日本の芝とほぼ同じで、高温・乾燥に強く冬は冬眠し、関東より南に向いている芝となっております!

野芝も「暖地型芝」とも表記する記事が多くあります

この暖地型洋芝は主に国立競技場やゴルフ場に使用されている芝となっております

デメリットとしては日陰に弱いという弱点を持っております

ドバイメイダン競馬場香港沙田競馬場・ハッピーバレー競馬場では暖暖地型洋芝である「バミューダグラス」をベースにしているとのことです

広尾ファミリーで言えばパンサラッサ、そして日本の名馬で言えばアーモンドアイラヴズオンリーユーエイシンプレストンがここの競馬場でのレースに勝利しておりますね

つまるところ、「日本と同じ気候を持っている国」「暖かく、乾燥している気候を持つ国」の競馬場ではこの芝が使われている可能性が高く、今後の日本馬が進出するカギを握っている可能性がありますね

・・・初心者が言わなくとも既に分かっているわ、って怒られる可能性があるかもですが(笑)

寒地型の特徴

こちらのタイプが北海道にある函館・札幌競馬場で使用されている洋芝の品種で、先述した洋芝の特徴の中にも書かせていただきましたが「暑さに弱く、寒さに強い特徴」を持っております!

その為比較的寒い北海道・東北地方の施設や家庭で用いられている種類となっております

ちなみに北海道の2つの競馬場で使用されている洋芝は「ケンタッキーブルーグラス」「ペレニアルライグラス」「トールフェスク」の混合3種の芝となっております!

これらすべて寒地型の洋芝で形成されておりますが、実は「暖地型の洋芝」内で記載したドバイメイダン競馬場香港沙田競馬場・ハッピーバレー競馬場でも寒地型の洋芝である「ペレニアルライグラス」が「オーバーシード」されております!

オーバーシードと言うのは「冬場に枯れてしまう夏芝の芝生に、冬季でも生長する冬芝の種子を蒔き、一年中緑の芝生を維持する管理方法」のことで、競馬場の芝を維持する為に、暖地型の洋芝「バミューダグラス」の中に、寒地型の洋芝「ペレニアルライグラス」を植えている状況です!

海外の季節はよく分かっていないのであれなのですが・・・季節によって生えている芝の種類が違う可能性が・・・どうなんでしょうか・・・

ちなみに先述した「ペレニアルライグラス」というのは凱旋門賞が行われるロンシャン競馬場や北海道の2つの競馬場に用いられている品種と同じです!

洋芝の作り

洋芝の断面図

野芝の時同様、PowerPointで洋芝の断面図を作ってみました!

野芝と異なる点として、野芝は「ほふく茎」が地中で形成するのですが、洋芝の場合は「マット層」と呼ばれる細い茎が何重にも重なって重なって出来た層が形成されております!

洋芝の特徴でもある「水を含みやすい」というのはこのマット層が影響しております
密度が低く隙間があったため水を含みにくかった野芝とは違い、密集している為マット層の密度が高く、そのマット層に水が含むことで下に流れにくい構造になっているんですよね

分かりやすい例えとしてマット層は「スポンジ」と捉えて頂ければ幸いです
そんな層が洋芝の競馬場の地中に広がっているという事になります

太い茎」が特徴の野芝、「細い茎」が特徴の洋芝と茎の違いも出ていることもここまでの違いを生み出している要因でもありますね・・・

水が流れにくい構造をしているのもあり、洋芝はクッション値が低く出る傾向にあります

クッション値が低いという事は「地面を踏んだ馬の脚に対して反発力が低い」という事になりますので・・・極端な表現として踏んだらかなりめり込む感じになるという事で、パワーが要求される形になります

札幌で行われる芝2000mの札幌記念が東京で行われる同じコース条件の天皇賞秋と違い、時計が遅く出るのもこの芝の違いが大きな要因です

そんな中で雨が降って不良馬場になった時には・・・とてもじゃないですが競馬を行う環境ではなくなります

そんな中行ったのが去年の凱旋門賞でなんですよね

洋芝のまとめ

洋芝と言うのは・・・

①暖地型と寒地型で種類が違う
②日本やイギリスで使用されているのは寒地型、ドバイや香港で使用されているのは暖地型
③草の長さが非常に長く、茎が非常に細い
④「マット層」と呼ばれるスポンジみたいな層があるので水が含みやすい
⑤その為、野芝と違い時計がかかりやすい

以上のような感じになっております!
なので雨が降ると競走馬にとって命の危険があるともいえる極悪馬場になります・・・

ただし注意事項があります

注意事項(暖地型洋芝について)

さて、こんな感じで非常にめり込みやすい芝という事をお話しして参りましたが、これは「寒地型洋芝」についてのお話となります

国立競技場やドバイ・香港の競馬場で使用される暖地型洋芝はどうなのかという事については話が変わってきます
先述したとおり、暖地型洋芝は草が伸びるスピードこそ「寒地型と同じで早い」のですが気候面や育成に適している地域などは「野芝とほぼ同じ特徴」をもつ洋芝となっております

踏む力に対しても非常に強いと言われておりますので、クッション値も高く出る可能性がありますので、作りも多少は野芝に近い形になっている可能性があります

JRAが2019年にイギリス・フランス・香港・オーストラリア・アメリカの主要競馬場を測定した結果、クッション値は概ね「7から10」の範囲内でした。

JRAホームページ クッション値についての中に記載されていた参考

また、JRAのホームページ内にはこのような参考コメントが書かれており、最初の方に載せたクッション値についての画像を下に再掲いたしますので見て頂けると分かりますが、7~10というのは「やや柔らかいが標準に近い」という事にもなります


クッション値から見る馬場状態(再掲)

ですが説明してきたようにクッション値が野芝と洋芝ともに同じとは言っても構造が全然違います

そこに野芝と似た構造を持つ暖地型洋芝の存在が入ってきますので・・・

あくまでも参考として見て頂けると幸いです・・・すみません

洋芝とダートの類似性

さて、最後の項目が本題とも言いますかね(笑)
競馬には芝の他に「ダート」と呼ばれる砂の馬場で行われるレースも盛んにおこなわれております!

このダートも国によって全然違うのですが・・・それはまた別の機会に

日本のダートと言うのは「ダート(泥)じゃなくてサンド(砂)や」と言われている方がいらっしゃるように、非常にさらさらとした砂を使用しております

ダートと言えるのは馬場状態で言う「稍重」の時と言われております(笑)
それくらい良馬場の時の日本のダートはサラッサラなんですよね

そうなると皆さんも海岸のサラサラの砂で走った事があると思いますが・・・反発力が無いのでめちゃくちゃ足が取られます・・・
なので競走馬に対してパワーが要求されるんですよね!

・・・あれ?日本のダートの特徴が洋芝の時と同じじゃない?

そうなんです、日本のダートと洋芝は非常に似ているんですよね
時たまに凱旋門賞でも高速決着になる時もありますが、基本的に洋芝の特徴もあってタイムが遅くなる傾向があります

後は運頼みになりますが凱旋門賞の馬場状態が「稍重」になってくれたら・・・なんて思ったり()

後は国内ダート競走の最長距離がグレード競走ですと2000m前後になりますので、凱旋門賞の距離である2500メートルを走れるスタミナが要求されますね・・・

また、過去に2着になった経験があるエルコンドルパサー・オルフェーヴルの2頭は自身がダートでも良い成績が残せる可能性があったという話があるくらいに適性がありました

またこの2頭は産駒にダートで活躍した競走馬を輩出しており、今年の凱旋門賞に出走を表明しているウシュバテソーロもオルフェーヴル産駒です

ちなみにですがエルコンドルパサー、オルフェーヴルと共に日本馬最先着の2着に入っているナカヤマフェスタは芝適性が高く、産駒がダートで勝っている子もいますが、どちらかというと産駒も芝メインな感じがあるので・・・そんな中で重馬場だった凱旋門賞でハナ差まで迫ったナカヤマフェスタの凄さを感じますね・・・!!!

そういった感じで洋芝の特徴や過去の好走馬の特徴から見て、凱旋門賞に出走する子はダートを走っている子が好ましいとも言われているんですよね!

まとめ

長くなりましたが、以上で芝についての説明と洋芝とダートとの類似性について説明して参りました

「野芝」と「洋芝」・・・同じ芝とは言いましてもこれだけの差がある為、海外のレースで芝のレースだから芝で活躍している子を走らせれば勝てるという訳ではない時もあります

ちなみに洋芝=日本のダートと言いましたが、同様に日本の野芝に似ているコースはあるのかという事についてですが、酷似しているという点では「暖地型洋芝」と「アメリカのダート」と言った所ですかね?

アメリカのダートは「クレー(土)」とも言われており、赤土で固められた馬場を走る為、日本の野芝並みのタイムが出る事が多くあるそうです

国ごとに芝やダートが全く異なるので、そういった事を調べてみるのも良いかもしれませんね!

それではここで筆を置こうと思います・・・

良かったよと言う方はグッドボタンを、コメント等があればこの記事のリンクをTwitterに載せるので、その際に返信して頂けると幸いです!

それではまた次回お会いしましょう、ありがとうございました!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?