見出し画像

Heart Cocktail @ Amano Bar5/4 2022

この花の名前がヒトリシズカというのを植物アプリで確認して、いい得て妙とひとり思いながら今朝の散歩に出かけました。

山荘を冬養生してから、閑散期にもここを訪れるようになり、夏のみしか知らなかった軽井沢の風景が、季節ごとにこんなに違うのだと感心しています。

軽井沢は朝が素敵だと常々思っていましたが、夜もまた素敵です。

夜は、考えればあたりまえですが、ここでは真っ暗なのです。

夜自転車で走ると、無灯火では本当に真っ暗闇であぶないくらいです。

東京の街中には、夜の闇というものがありません。
365日煌々としたイルミネーションの中で生活しているというのは傲慢なことなのだと気がつきます。
軽井沢へ来ると、車も運転しない私は、徒歩と自転車が主な移動手段となり、その日の天候が一日の行動を決める、重要な指標になります。
加えて山の中には、いろいろな生き物が棲んでいますから、夜の山道を歩いて帰る時用心するのは妖怪変化ではなく、夜行性の動物との鉢合わせです。
自分がいつもより、つつましい存在として生活していることに気がつかされるのが、山荘での生活です。

いつか夕暮れの薄闇の中、星野温泉からの帰り道に山道を自転車を押して娘と歩いていると、私たちと並行して山の藪道を、乾燥した枯れ木を踏み進みながら動く動物の物音がします。
まさか熊ではと、慌てて自転車を立ちこぎして進むと、その藪道の音もそれと並行するスピードで進んでゆきます。
娘の前を、やがて小動物が素早いスピードで横切ってゆきました。
そのサイズから、それはきっと猪か何かだったようです。

軽井沢の夜の闇には、ひとに灯りを懐かしく思わせる効果があります。
その闇はかえって、集まったひとたちを親密にさせる力があるように思います。

たまにひとりぼっちに山荘生活もわるくないなと思っていたおりに、ひとりしずかとは言い得たりと思ったものの、その名は植物の姿を静御前にたとえての命名ということでした。

本日もまた、軽井沢の夜をHeart Cocktail @ Amano Bar 営業中です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?