#毎日新米人事日記 3日目：そりゃスタートアップで働くのは怖いよ当たり前でしょ

#毎日新米人事日記 とは？
　スタートアップの新米人事として奮闘する23才女子が、毎日の学び、考えたこと、反省、会社への愛、たまに家族や恋人や友達への感謝、読んだ本の感想などを1日の終わりにうだうだ書く連載。新米人事の成長と学びを優しい読者の皆様に見守ってもらうことが目的です。

　両親のおかげさま、恩師のおかげさまもあり、結構偏差値の高い高校を出て、結構偏差値の高い大学に進み、中退しました。周りの友人たちは、結構な高校から結構な大学をにいき、卒業し、安定した大手企業でバリバリやっています。目がベンチャーに就職した友人は知っていますが、ごりごりのスタートアップにいるのは私の知る限り本当に片手で収まるほど。

　ベンチャー、スタートアップで働いていると必ず言われます。「すごいね、勇気あるね〜！」「私だったら怖くて無理だよー」。

　じゃあ私が怖いもの知らずの恐れ知らずなのかというと全くそうではなく、むしろ性格的には臆病で慎重でネガティブです。だからいつも喉まででかかります。

いや、スタートアップで働くのは怖いよ、当たり前でしょ。

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　スタートアップになんとなく恐れをなしている同年代の子達になんで怖いと思うのか尋ねると、「安定していないから」と必ず答えられます。確かに大企業よりは、ヒトモノカネ情報全て少ないので立ち行かなくリスクは大きいです。ただ、私は正直この「安定していないから」というのは、さほど気にしなくていいのではないかと思っています。

　今のご時世、あの銀行が、あの大手企業が、あのメガベンチャーが突然潰れることだって多々あります。いつどこで自分の安定が崩れるかなんて誰もわからないし、そこはある意味人類皆平等。

　私は、スタートアップで働く本当の怖さとは、自分のバリューを発揮し続けなければ居場所がなくなること、だと思っています。

　お金も情報も少ないスタートアップ、1番の固定費は人件費です。つまり、給料として支払うものは会社にとって支出。一旦その視点を持つと、もう怖いんですよね、「私給料もらえるほどのバリュー出したっけ？」って。

　もう一個踏み込んだことを言うと、人事・バックオフィスは非収益部門です。稼ぎ頭のマーケティングチームや営業をはじめとした収益部門より、自分が発揮したバリューをお金に換算しにくい。つまり収益部門からの満足度（＝この人事がいるから仕事ができてるおかげで収益が上がっている！という気持ち）が低ければお払い箱です。

　そう言う意味で、スタートアップで働くのはとてつもなく怖いことだと私は思っています。じゃあなんでスタートアップで働いてるのか？と聞かれたら、これはもう……性癖ですね。

やっぱり「スタートアップジャンキー」みたいな人たちって一定数いる。私もそう。ゼロから位置を生み出すことへの興奮とか、その興奮から生まれる会社メンバーとの連帯感、お腹が痛くなるくらいの不安を抱えて、それを跳ね返すくらいの努力を重ねて、1%の成功に病みつきになっている人たち。最高！

— Ayana | 人事広報・SNS運用 (@a_lo_vult) January 14, 2020

　私がスタートアップに価値を見出す瞬間は、やっぱり「仲間と全力で働くこと」にあります。文化祭前夜の「ああああもう絶対装飾間に合わねえええでもあともうちょっとで夜が明けるううう！」って時に発生する謎の連帯感と高揚。で、間に合った時の「やりきったああああ私たち/俺たち頑張ったあああ」。そしてお客さんが満足してくれた時に、なんかわかんないけどみんなで泣きそうになる感じ。さらに言うと、後日文化祭実行委員や先生の皆さんからクラスでMVPもらう感じ。あれをやりたいんです、人生で何回も何回も。そういう癖、としか言いようがありません。

　事実スタートアップにはそう言うひとたちが集まりがちです。限りなく主人公っぽい人、全力でやることが大好きなジャンキー、みんな集まって何かを成し遂げようと躍起になります。バリューが出せなければ椅子がないからこそ、そう言う人たちだけが生き残って、純度の高い「文化祭前夜」が毎日毎日狂ったように続くわけです。楽しい。

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　人事をしていると、そういうジャンキーにしょっちゅう出会います。冒頭でも触れましたが、私は基本、「臆病・慎重・ネガティブ」。でも、出会うスタートアップジャンキーたちは結構みんな、だいたい「大胆かつポジティブ」。

　人事としてそういう人たちに原体験や自分の全力のエピソードを聞くと、わかってくることがあります。そう、実はみんなスタートアップで働くの怖いんです（一部本当に恐れ知らずもいますが、だいたいは）。それでもなんとか考えて、小さな成功体験を積み重ねていくうちに自分に自信がついてくる。そうしてだんだんポジティブになって、さらにスタートアップに病みつきになる。

　ジャンキーたちと出会って、彼らのキラキラしたまなざしを見るたびに、私はまだまだ修行が足りないなあ……と痛感させられます。

　まずは一歩一歩成功体験を重ねて、今自分が発揮できる最大のバリューがなんなのか、頭をひねって考えること。逃げないこと。そうやって毎日を積み重ねていると、いつかポジティブサイクルに乗れる時が来ると信じています。仕事うまくいった→仕事楽しい→明日も頑張る→私はできる！→自分を裏切らないように仕事しよう！→仕事うまくいった！→仕事楽しい……（永遠に続く）

　今でも怖いです、私バリュー発揮できるのかな？と。そんなの誰も教えてくれません、大人ですから。「偉いね〜！今日はバリュー発揮したね〜！」なんて、褒めてはくれないんです。大人ですから。

　明日も仕事がんばろ。すっかりスタートアップに病みつきです。