トップが方針を示し、ボトムが決める

健康マネジメントスクール水野雅浩です。

健康経営の導入と定着を支援する中で、多くの企業での社内研修を担当します。またその過程で、先陣を切っている企業様にも多くインタビューに伺ってきました。その中でも印象的だったのがロートのジュネジャ社長。日本で初めて、CHO(チーフ・ヘルスケア・オフィサー)の肩書を持ち健康経営を推進してこられた方です。

大阪のロート本社に伺った際には、健康経営推進室のご担当者様、社員の皆様にもご同席頂きお話を伺いました。

その際に感じたのは、トップが言っているからやっているではなく、あくまでもトップは方針を示し、何をやるかは、社員がアイディアを出し合いながら、意思決定をして、実行に移している点でした。そこに費用が発生する場合は優先順位やコストなどを総合的に考え会社が支援する、という仕組みです。

例えば、禁煙。

現在、日本でも今年の4月から「マナーからルールへ」というスローガンのもと、禁煙対策が進められています。

ロート製薬では、ただ単に会社命令で禁煙を指示するのではなく、その大方針はありながらも、社員が「卒煙ダービー」というイベント化して、各部署の煙草を吸っている部長を部下の力で「卒煙」させるよう支援し、その実行度合いを競うなど一つのエンターテインメントにしてしまいました。これがまさに、健康が企業文化になっている事例の一つですね。

この5年間で300社以上の健康経営の導入と支援を担当させて頂きました。その中で、うまく行っている企業、行っていない企業の両極端のモデルケースを目の当たりにしてきました。

上手くいっていない企業の特徴は、いくつか挙げられます。

① TOPが説得力がないパターン

経営者や人事が煙草を吸っている。そのために、トップから方針が出ない。人事も健康経営の重要性が分かっているのに、自ら経営陣に提案しない。

② ポーズとしてやっているケース

経営者や、健康推進室の担当者がポーズとしての健康経営をやっている企業。多いのが、「健康診断の受診率を5%改善しました」「『エスカレーターではなく、階段を使おう』というポスターを掲示しています」などで、健康経営をやっている、と勘違いしているケースです。実際に、社員に「健康経営をどんなときに実感していますか?」とインタビューしてみると、「名刺などには『健康経営』のシールを貼るように言われていますが、何をしてるのかは、私達もよく分かりません」というのがほとんど。

③ 空回りしているケース

経営者や健康経営推進室が様々な施策を打ち出すものの、社員が白けているケースです。このケースはコミュニケーションメッセージがうまく位置出せていないのが原因です。組織論では組織の中には3パターンの社員がいることが分かっています。①前向きな社員 ②前向きではないが、指示をされたら行動する社員 ③批判的な受け止め方をする社員の③パターンです。一つの施策を打ち出す際には、この3パターンのメッセージ設計が必要です。

まだまだ、課題満載の健康経営ですが、「健康を企業文化」にしていくためにも健康経営の「導入」と「定着」を丁寧に行っていく必要があります。

2019年は、企業内での健康マネジメント(食事、睡眠、運動、ストレスケア)の研修を中心に行っていましたが、2020年は、健康経営の導入と定着を7つのステップのノウハウに分けて行政や企業に提案していく予定です。

今まで日本は、健康を後回しにしてきたため、時間はかかりますが、一本一本、木を植えるように活動して行きたいと思います。


健康マネジメントスクール

水野雅浩




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?