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暴行注意⚠️海外に行く(滞在する)日本人(アジアの方々)は注意して下さい🟡役に立つ記事を紹介します🔴 「アジア人はウイルスじゃない!」日本人も被害に 米国で広がる“ヘイト”の連鎖をどう止める‼️

【毎日新聞】米、アジア系へのヘイトクライム再燃 暴力性増し、殺人事件まで

アジア系住民へのヘイトクライムに抗議する集会で「私たちの痛みがわかりますか」と手書きしたボードを抱える女性ら=米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで2021年3月13日、福永方人撮影
 米国でアジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)がまた多発している。いきなり暴力を振るわれる悪質な事件が少なくなく、死者も出たほか、日本の寺も放火などの被害を受けた。日系だけでなく、アジア系社会に不安と怒りが広がっている。【ロサンゼルス福永方人】


【東洋経済HP:全文紹介】殺気立つ英語圏の人がアジア人に浴びせる罵声
「あぶない英語」が放たれたらとにかく逃げよ
2020年04月25日
岩田 雅彦 : 大阪府立大学非常勤講師、近畿大学非常勤講師


差別に走るのは少数派ですがアメリカなどにいる日本人は特に注意が必要です(写真:PeopleImages/iStock)
世界中がコロナウイルスの猛威にさらされる今、急速に「あぶない英語」が広まっています。英語には、使い方を間違えると酷い誤解や怒りを招き、たったひと言で人生を棒に振りかねない表現、セクハラ、パワハラ、差別と認識され大問題になる表現がありますが、それに加え、感染リスクに関するあぶない英語が飛び交っているのです。『あぶない英語』の著者、岩田雅彦さんが新型コロナウイルスで交わされる「あぶない英語」を解説します。
なぜChina virusと言い続けるのか

アメリカのトランプ大統領がコロナウイルスのことを "Chinese virus" とツイートし、炎上した(2020年3月)のは記憶に新しいところです。最初の発言は、

“The United States will be powerfully supporting those industries, like airlines and others, that are particularly affected by the Chinese virus.”
(わが国は中国のウイルスによって、特に影響を受けた航空会社などの産業を大々的に支援します)
とされています。

そして後日、再び、

I'd like to begin by providing an update on what we are doing to minimize the impact of the Chinese virus on our nation's students...
(中国のウイルスがわが国の学生に与える影響を最小限にするために取り組んでいる最新情報からお伝えします)
と発言しました。

会見で記者から、「なぜChina virusと言い続けるのか」と詰問されると、Because it comes from China.と答えました。トランプ大統領は人種差別ではなく、中国から来たからそう呼んだだけだと、"Chinese virus"を撤回しませんでした。

確かに、歴史的に見れば、病気には地名をつけるのが一般的でした(水俣病は熊本県水俣市、西ナイルウイルスはナイル地域、ジカ熱はウガンダのジカ森、スペインかぜはスペイン〔一番ひどかっただけで発生は他の地域ですが〕)。しかし、WHOはコロナウイルスの正式名称を"Chinese virus"ではなく、COVID-19としています。

それは、特定の国や地域と結びつけ、差別や偏見が生じないように配慮した結果です。テドロス事務局長と「ウイルスの発生場所にいまだ定説はない」と反撃した中国との蜜月関係を指摘する人もいますが、WHOは、名称について以前からそのような方針をとっています。事実、SARSにもエボラ出血熱にも特定の国名や地域名は入っていません。

ただし、今回のコロナウイルスパンデミックで、中国寄りのスタンスで感染を助長したWHOは、無用の長物であることが露呈されました。日本の行政も同様で、役に立たないと思っている人は多いことでしょう。では、こんなときに信頼できる情報筋はどこでしょう。

正確な情報は疾病予防センターで

それはCDC(Centers for Disease Control and Preventionの略)です。アメリカ保健福祉省に属する疾病予防センターです。ここの情報は正確、かつ包括的で非常に役立ちます。特にこんな状況ですとデマも飛び交いますが、CDCを見ていればそんな心配は無用です。CDCはSaving Lives、 Protecting Peopleを商標登録しているくらいですから、目的がはっきりしています。

そのCDCのウェブサイトには、コロナ対策だけではなく、ロックダウンされた場合のストレス対処法、ホームケアの方法、そして差別に関することまで、誰にでもわかりやすい表現で包括的に書かれています。アプリもありますので皆さんもぜひ目を通してみてください。

さて、CDCは差別を受けているかもしれない人として、アジア人、旅行者、医療関係者を挙げています。どのような差別を受けるかについても列挙されているのですが、多くの日本人にとって、Physical violence(暴力)と書かれているのは少し驚きかもしれません。私の知人に"Go back to the corona country!" と罵声を浴びせられた人がいますが、これは驚くことではありません。

なぜなら、海外で暮らしたことがある人ならわかりますが、アジア人への差別はよくあることだからです。場所によっては、中指を立てられたり、いきなり耳元で罵声を浴びせられたり、唾を吐きかけられることは珍しいことではありません。ニューヨーク州の状況は日本で報じられているよりも悲惨な状況ですから、人々が殺気立つのも無理はありません。

大手メディアから流れる海外のニュースは、取捨選択されています。為政者に配慮した、都合のいいものが多く流れてきます。ですから、自分で情報を取りに行く必要があります。現状を知り、身を守るため、新型コロナウイルスで交わされる「あぶない英語」を理解しましょう。

表現としては、xenophobia(xeno=外国人, phobia=恐怖):外国人嫌い、racism:人種差別、racist attack:人種差別の暴行、physical assault:暴行、bigot:偏見を持つ偏屈な人、harassment:いやがらせ、fear:恐れ、spit:唾を吐く、などです。

コロナウイルスの感染拡大により、世界各地で黄色人種への差別がさらに激しくなりました。わが国でも、#ChineseDontComeToJapanがツイッターのトレンド入りしました。中国共産党は言わずもがなですが、日本政府も適切な情報開示と水際対策を取らなかったことがこんなことにつながったのだと思います。

世界にはアメリカに同調し、中国(政府)に対し訴訟も辞さない構えの国があります。ここで注意してほしいのは、政府と一般市民を同一視する人が多いことです。政府は国民の代表と言われたらそうかもしれませんが、そう単純な話でないのは、みなさんご存じのはず。また、政府の不手際で一般市民が大きなダメージを受けるのは、どこの国でも同じです。

Chinese virusと言っていたトランプ大統領も、最終的には It is very important that we totally protect our Asian American community".(わが国のアジア系アメリカ人コミュニティーをしっかりと保護することはとても重要である)と述べています。

トランプ大統領のすごいところは、改めるべきところは改め、ダメなものにははっきりとNOを突きつけるところです。中国寄りのスタンスだったWHOを非難し、拠出金を出さないとも言っています。

この英語を聞いたら、その場から離れろ

USA TODAYでは"They looked at me and think I'm some kind of virus"(彼ら[アメリカ人]は私をじっと見て、私がなんらかのウイルスであるかのように思っています)と見出しをうって、ウイルス扱いされたアジア系アメリカ人が差別を受けた例を掲載しています。

CNNは "What's spreading faster than coronavirus in the US?(アメリカでコロナウイルスよりも急速に広がっているものは何か?)と見出しをうって、その答えがracismと述べています。

言い返したくても悔しくても関わってはいけない

また、マスクをしている女性が、diseased bitch(病気の雌犬)とののしられた例を挙げています。本文では伏字(diseased b****)でしたが、私が補足しました。男性でしたらdiseased bastard(病気野郎)と言われたかもしれません。続けて、各メディアで報道されているタイ系アメリカ人がののしられた言葉を2つ挙げましょう。

"Everything comes from China because they're f****** disgusting," (なんでも中国から入ってきやがる。だからムカつくんだよ)この伏字の部分にはもちろんfuckingが入ります。

"They can be so smart and be like, 'Oh yeah, I developed this, I developed that.' But like yeah, you can't even wipe your a**."(やつらは頭がいいかも知れねえ、「そうだよ、私がこれを作ったんだ、あれも」って感じで。でもな、てめえのケツさえも拭けねえんだよ)この伏字の部分にはassが入ります。「てめえのケツも拭けねえくせに」という意味ですが、要はコロナの後始末もできねえくせにと言いたいのでしょう。

このような英語を聞いたら、その場を離れるのがいいです。たとえ言われた側が言い返したくても、悔しくても、関わってはいけません。このような言葉の次に来るのは暴力の可能性が高いからです。日本では、まさかこのタイミングで殴ることはないだろうというタイミングで殴ってきますから、距離を置かなければならないのです。

もう1つ付け加えると、こういう場合は間違っても"I'm Japanese".と言ってはいけません。このタイプの日本人は多いと思いますが、場違いです。相手からしてみれば、中国人だろうが韓国人だろうが日本人だろうが関係がありませんし、見分けもつきません。「お前らアジア人のせいで病気になってんだよ!」と怒っているのですから、国籍は関係ありません。

アジア諸国で日本人だからと優遇された経験のある日本人はつい、日本人であることを主張しがちですが、通用しません。君子危うきに近寄らず、です。証拠をとるために、スマホで撮影しても火に油を注ぐ可能性が高いですし、スマホそのものを盗まれる可能性があります。

ホームレスにアジア人が襲撃される

アメリカではニューヨークがホットスポットになっています。私の友人のニューヨーク州で弁護士をしているアメリカ人に、ロックダウン生活を聞いてみたところ、「極めて退屈だし、自分の専門分野の仕事をリモートワークでこなすのは難しい」「でも、買い物も行けるし、食材の配達もできるし、至って平穏だ」と言っていました。

『New York Daily News』によると、コロナウイルスによるロックダウン後、3月後半だけで1年前の同時期に比べ、犯罪が20%増加したそうです。アジア人が襲撃される事件も頻発しています。

3月27日付の『New York Daily News』によると、過去1週間で、アメリカ全土においてアジア系アメリカ人がコロナ関連で受けた差別は700件にも及ぶそうです。インターネット上の誹謗中傷から、街中や公共交通機関での暴言、暴力まで、差別は多岐にわたります。

このニュースについても聞いてみましたが、「ホームレスにアジア人が襲撃されることはよくあること。アジア人が差別を受けることも、コロナ以前から存在していた問題だ」と言っていました。

富裕層の住む地域とは事情が違う

平穏な生活と、ホームレスによるアジア人襲撃。内容が矛盾するのは、私の友人は富裕層の住む地域に在住しているので、上述のような事件とは無縁でいられるからでしょう。アメリカは所得によって、完全に居住区域がゾーニングされていますから、どこを切り取って報道するかという問題になってくるかと思います。

「富裕層の住む地域では、普段と変わらず穏やかな日々を過ごしています」と報道しても興味を持つ人は少ないですが、「(貧困地域では)ホームレスにアジア人が襲われるという事件が多発しています」と報道すれば、センセーショナルで閲覧数が上がります。

そうなれば記者も仕事をしたことになり、会社も閲覧数が伸びて万々歳ということになります。コロナ禍によって、低所得者層の住む地域では、かなりひどい状況になっていると想像はできますが(貧困層の多い地域ほどコロナ感染率が高いとのデータがあります)、先述の報道の側面を認識したうえで、情報に接することは重要です。

アメリカはひとたび国難があれば、ひとつにまとまる

コロナウイルスパンデミックの対応をみると、日本は過去思考でアメリカは未来志向のように思います。日本では「本日の陽性者は何人」と発表しています。当然アメリカでもCASES(感染者数)とDEATH(死者数)は発表していますが、それに加え、このままいくとどれくらいの人が感染し、どれくらいの死者が出るという予想まで出して、力を合わせて防ごう、乗り切ろうというコメントをしています。

感心したのはニューヨーク州のクオモ知事が、「皆さんから『When is it over?, What happens?』と聞かれますが、No one knows for sure.(誰も正確なことはわからないのです)と答え、さらに、大事なのはFactである。Facts are empowering.(事実は力を与えてくれます)と述べていたことです。

普段アメリカ人は、わがままで能天気、何事もなければパフォーマンスを重視し、利益を第一に追求すると感じます。しかし、911のときがそうでしたが、ひとたび国難があれば、1つにまとまります。そして、その力は絶大。また、多民族国家であるアメリカは、現実に蔓延する差別を直視するため、人権意識が高く、変化にも対応できるポテンシャルを秘めています。

実際、今回の騒動では、国民の命を優先することに短期間で方向転換しました。トランプ大統領だけではありません。ニューヨーク州のクオモ知事のような自治体の首長もそのような方針を打ち出しました(クオモ知事の初期対応への批判はありますが、その後は健闘しています)。

ほかの国でも、ドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相などがリーダーシップを発揮し、国民の生命を守ることを優先させています。動きはスピーディーで、当面の生活費をすぐに現金支給したり、家賃未納で追い出すことを禁止したり、全力を尽くしています。

多くのアメリカ人が困った人を助けようとしている

コロナウイルスパンデミック以前、欧米社会には予防の意味でマスクをつける人は、私の知る限りいませんでした。欧米の常識では、マスクは病人がつけるものなのです。ですから、コロナ蔓延の初期に海外旅行した人は距離を置かれたり、コロナ野郎!と罵声を浴びせられたりしたかもしれません。

コロナが流行し始めた頃、私の友人で日本在住のアメリカ人がマスクをしているのを見て、これはただ事ではない、あのアメリカ人がマスクをつけるなんて!と恐怖を感じました。聞くところによると、いま、アメリカでは多くの人がマスクをしているそうです(これも変化に対応している証左でしょう)。


上の画像をクリックすると、「コロナショック」が波及する経済・社会・政治の動きを多面的にリポートした記事の一覧にジャンプします
コロナウイルスに関連してアメリカのニュースを調べると、アジア人が差別を受けているなど、悪いニュースが目につきます。しかしながら、困難な状況で助け合うニュースもたくさんあります。

あと1枚しかマスクがなくて自分自身をも守らなければならない状況下で、目の前に危険にさらされている人がいたら、躊躇なくマスクをあげることができるのがアメリカ人です。スピード違反をした医者に切符を切った警察官が、助手席のおそらく使いまわしをしているであろうマスクを見て、自分が持っていた予備のマスクを提供したというような美談には事欠きません。

差別するのはほんの一握りの人

差別するのはほんの一握りの人で、良識のあるアメリカ人は困っている人を助けたいという精神にあふれています。アメリカ人のボランティアへの寄付額は日本人の寄付額とは大きな乖離があります。多くのアメリカ人はこの危機をみんなで乗り切ろう、そして困った人がいれば助けようという気持ちなのではないでしょうか。また、アメリカでは教会は弱者救済の大きな役割を果たしています。果たして、日本はどうでしょうか。

最後に伝えたいのは、他人がどう行動しようが関係がない。みんなが外に出ているから大丈夫、自分は大丈夫という正常化バイアスは捨てることです。私たちができることは "Stay the fuck at home" です。

Youtubeで "Beautiful Covid-19 Song Spotted on Youtube. Chris Franklin and Robert Kelly. "STAY THE F*CK AT HOME" と検索してみてください。おじいちゃんが軽快なリズムでスラングを連発して、外に出ないように"Stay the fuck at home"を呼びかけています。


🔴「アジア人はウイルスじゃない!」日本人も被害に 米国で広がる“ヘイト”の連鎖をどう止める?国際 2021.03.05


全米で2800件報告 大規模抗議集会も

アメリカ各地で、アジア系住民が被害にあう暴力や差別的発言が後を絶たない。1月から2月にかけ、カリフォリニア州では91歳の高齢男性が突然後ろから突き飛ばされたほか、ニューヨーク市でも男性が後ろからナイフで刺される事件が発生。サンフランシスコ市ではタイから来た84歳の男性が突然男に突き飛ばされ亡くなる悲劇も起きている。

カリフォリニア州で91歳男性が被害に(Oakland Chinatown Chamber of Commerce/Carl Chan)

カリフォリニア州で91歳男性が被害に(Oakland Chinatown Chamber of Commerce/Carl Chan)
いずれもアジア系住民が被害にあう事件で、被害者らは、特定の人種が憎悪の対象になる「ヘイトクライム」であると訴えている。人権団体(STOP AAPI HATE)のまとめによると、新型コロナウイルスのパンデミックに至った2020年3月から12月までに寄せられたアジア系への暴力や嫌がらせの報告は2808件に上る。「中国ウイルスを持ち込んでくるな」「ウイルス、地獄に落ちろ」など、パンデミックはアジア人のせいだといわんばかりの偏見に満ちた言葉の暴力を投げかけることも多いという。

新型コロナウイルスの感染拡大が中国で深刻だったのは1年前のことで、その後、欧米にも感染の中心地はうつった。なぜ、今もなお、偏見による差別的な暴力が続いているのかが疑問だった。

地元メディアは、退任したトランプ前大統領が「チャイナ・ウイルス」という言葉を、退任直前まで使い続けたことで、アメリカ国内の分断を生み、差別がさらに助長されたのではないかと分析している。

こうした犯罪の増加を受け、ニューヨーク市内で2月27日抗議集会が行われた。

300人以上集まったこの集会では、「私たちはウイルスじゃない」というプラカードが多く見られた。地下鉄車内で2月、突然顔をカッターで切られた男性も参加。この男性は私たちの取材に「誰も助けてくれなかった」と当時の恐怖を語った。

さらに、別の女性も「駅で突然、見知らぬ男にたたかれそうになった。高齢の両親が攻撃されないか心配」と話してくれた。日々の生活で恐怖を共にしている人たちが集まっているという印象だった。

地下鉄で顔を切りつけられた男性。今も傷跡が残る


地下鉄で顔を切りつけられた男性。今も傷跡が残る
“ヘイト”認定の難しさも

少しずつ「アジア人へのヘイトクライム」が認知され、問題の深刻さを共有するようになりつつある一方、新たな課題も出てきている。事件のあと、犯人が逮捕・訴追されても、「ヘイトクライム」かどうかをどのように認定するのか、という問題だ。

2月下旬、30代の男性がニューヨーク市内の路上を歩いていると、突然男に背後から刃物で刺され重体となった。男は逮捕されたが、警察は当初、「ヘイトクライム」などの容疑で捜査していたが、その後検察が「証拠がない」として、罪状からヘイトクライムを取り下げた。司法当局が“ヘイト認定”しなかったことに対し、アジア系の団体は抗議活動を行っている。

加害者が、ヘイトクライムの「意図」を持っていたかの証明は必ずしも簡単ではない。このことも全米起きている現象の全体像、輪郭をあぶり出す際の“壁”となっている。

日本人ピアニストも被害に…地下鉄で襲われた恐怖

日本人が大けがをした事件もある。ジャズピアニストとして13年間ニューヨークで活動してきた、海野雅威 (うんの・ただたか)さんはその被害者のひとりだ。2020年9月、地下鉄の駅で、突然、8人ほどの黒人の若者グループに言いがかりをつけられ、いきなり襲われた。殴られて地面に叩きつけられ、それでも暴行はおさまらなかった。肩の骨が折れるほどの痛みと、「死ぬかもしれない」という恐怖に襲われた。

ジャズピアニスト 海野雅威さん


ジャズピアニスト 海野雅威さん
海野雅威さん:
「アジア人が電車内で殴られるというニュースも聞いていたし、犯罪率も上がっているのは聞いていたので、自分のそれに巻き込まれたのかなと。『アジアン・ガイ』とか『中国野郎』という言葉が聞こえたから、ああ、ヘイトクライムというのは明らかだと思いました」

恐怖のさなか、「ヘイトクライム」と確信したという海野さん。警察はその後駆けつけたが、ヘイトクライムの疑いで捜査するとはその場で明言しなかったという。事件から5カ月経つが、犯人はまだ逮捕されていない。

誰しもが「差別される側」「差別する側」になる可能性

海野さんは手術を受け、現在はリハビリに励んでいる。当初はお箸も持てないほどだったが、今は徐々にピアノを弾けるようになってきた。これまでは一度のステージで3時間ほど演奏するのが当たり前だったのものの、現在は10~15分で疲れてきてしまうそうだ。それでも「全く動けないところからの再スタート」で、努力の結果、少しずつ良くなってきているという。

海野さんは、自身を襲った事件の背景についてこのように話す。

海野雅威さん:
「ストレス発散目的だと思います。もともとアジア人差別、偏見は存在していましたから。コロナにより(ストレスで)爆発したんじゃないかと」

一方で、これまで黒人のアーティストとともに演奏活動をしてきた海野さんは、事件を語ることによって「さらなる対立を生みたくない」と訴える。黒人グループに襲われたことは事実だが、だからといって「BLM=ブラックライブズマター運動」が否定的に受け止められるのは、本来の意図ではないと強調する。その上で、「差別」の根深さと、日本人が忘れてはいけないことを、こう語る。

海野雅威さん:
「ひとりひとりが、日本にいるから(アメリカの事件は)関係ないということはなく、自分のことだという意識、日本人も“差別される立場にある”ということを認識することが重要。また同時に、ひとりひとりが、無意識のうちに“差別する側”になってしまうこともあると思います。日本の中でも、外国人に対する差別が存在しうると思います」

FNNのインタビューに応じる海野さん
FNNのインタビューに応じる海野さん
筆者は、アメリカで取材活動をする中で、2020年夏から「BLM=ブラックライブズマター運動」などのうねりを何度も取材を経験した。怒りや涙、覚悟に接するたび、記者としてどう伝えるべきか悩むことも多かった。海野さんの言葉にあるように、日本人、アジア人も「差別される側」にもあるし、何かのきっかけで「差別する側」になりうるという現実が、今となってより表面化しているのではないか。差別や偏見は、自分自身の心の奥深い底にあるふとした感情から沸き起こることもある。そのことにいま一度、日本人も目を向けるべきだと思う。

【執筆:FNNニューヨーク支局 中川眞理子】

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