中国のティードリンク系チェーンが急成長。大型調達や上場が続出
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中国のティードリンク系チェーンが急成長。大型調達や上場が続出

2021年6月30日、中国のティードリンク系飲料のチェーン店「奈雪の茶(なゆきのちゃ)」を運営する、奈雪的茶控股が香港取引所(HKEX)に上場しました。ティードリンク系飲料チェーンとして初めての上場となり、上場初日の初値は18.86香港ドルで、終値は17.12香港ドルで時価総額が293.63億香港ドル(約4185億円)となりました。

奈雪の茶は、2015年に中国深圳で設立されました。目論見書によると2018年〜2020年における収益はそれぞれ、10億8700万元(2018年)、25億200万元(2019年)、30億5700万元(2020年)。損失は5658万元(2018年)、1174万元(2019年)、そして2020年に6217万元(約10.5億円)の純利益で黒字化しました。 *人民元

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同じく中国のティードリンク系チェーンとして注目されている「HEYTEA(喜茶)」も新たに資金調達を行いました。2021年6月29日の報道によると、今回の資金調達により同社の評価額は600億元(約1兆200億円)に達し、中国の新興ティードリンク業界における最高記録を更新したと言われています。

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さらに、注目すべき新興コーヒーブランドとして、高品質コーヒーを販売する「Manner Coffee(マナーコーヒー)」があります。
2021年6月までのわずか半年で資金調達を四回行い、株主にはドラゴンボールキャピタルやTikTokの運営会社であるバイトダンスなど、大手VCや大手企業が入っています。
2015年に設立され、現在上海を中心に136軒の店舗を持っているMannerのバリュエーション80億元を店舗数で割ってみると、投資側の評価額は1店舗あたり5,882万元(約10億円)、スターバックスの約三倍の額になります(参考資料)。

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Manner一号店

なぜ、中国のドリンク市場はここまで勢いが増しているのでしょうか?その背景を考察してみました。

1、若い世代が消費の主流になってきている

中国の流行語で「90後(ジョーリンホー)」という言葉があります。1990年代に生まれた中国国民を指す言葉です。2020年には、「90後」の人口が3億人にのぼり、消費人口の主流となりました。中国EC大手の京東が2020年9月に開示したデータでは、同サイトの利用者の中でも20歳ー29歳、つまり1991年ー2000年の間に生まれた利用者が最も多いことを明らかにしました。

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中国のIT歴史を振り返ると、90後の消費者は小学校時代から携帯電話を触り、2000年前後に流行りだしたQQ、Baiduなどの波に最初から乗っていました。インターネットで育った世代と言っても過言ではないでしょう。

京東の調査によると、90後の九割が社会人ですが、そのうち六割がまだ家庭を持っていないそうです。そのため経済的な余裕があり、強い購買力を有する年齢層となっています。

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消費の特徴を見ると、90後は高品質なものを追求し、レビューに敏感で、さらにコスパを重視するといった傾向が見られます。そして注目すべきなのは、90後は新しいブランドを積極的にトライする人が多いということです。例え知らないブランドでも、自身の価値観と合っていれば購入するような、新興ブランドに有利な環境となっています。

2、ネットワークインフラの完備

電子マネーとソーシャルメディアをはじめとしたネットワークインフラが整ったことで、中国の消費環境は、企業にとっても消費者にとっても非常に便利になりました。 

企業としては、今までより速く正確に、ユーザーへアプローチすることができます。例えば一回の生放送で、過去一年分、もしくは数年分の商品を完売させることができます。
また、中国には「ミニプログラム(小程序)」という、Wechatやアリペイなど国民的アプリ内で利用できるダウンロード不要のアプリがあります。開発コストが低く、ユーザーの利便性が高い点から、2017年の開発以来、利用者数は爆発的に成長、2020年にはDAUが5.5億人に達しました。さらに驚くべきことに、Wechat内のミニプログラムのみで2019年度の消費金額(GMV)が8000億元(約13兆6000億円)を超えました。

このように、中国ではほとんどすべてのソーシャルメディアでショッピングをすることができます。ユーザーにとっては、ショッピングチャネルが広がり、商品情報も簡単に手に入るため、買い物がこれまでになく容易となりました。
2021年2月に中国CNNICが発表した報告では、中国国内でオンラインショッピングをする人口は2020年12月時点で7.82億人で、そのうちスマートフォンで買い物するユーザーは7.81億人となっていることを示しています。

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3、資本支援の注力

インターネットインフラが整ってきた環境の中で、これまでテクノロジー・メディア・通信というTMT分野に多く注がれた資金は今D2Cや小売業へ流れつつあります。投資家たちが目をつけたのは、小売業のデータを使ったハイブリッドマーケティング力です。HEYTEA、奈雪の茶、Manner Coffee、新興ブランドたちは必ずと言っていいほど各社の情報システムを持っており、そのデータ分析の結果に基づいてオフライン店舗の開設地を決めています。また、オフライン販売をしながらネットでユーザーと繋がるような仕組みをとっています。
そのため、従来のオフラインのみのミルクティーショップより迅速かつ効率的に拡大することができるため、VCやPEなどからの投資が得られやすくなっています。

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2011年ー2021年6月、お茶系ドリンクチェーンの資金調達回数と開示金額

4、国内サプライチェーン

中国社会には世界で最も豊かな製品サプライチェーンがあり、新規ブランドが短期間で拡大するための最高な環境となっています。 たとえば、ミルクティーの原料となる茶葉やさまざまな副原料まで、中国国内のサプライチェーンに支えられています。

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世界の茶の輸出量ランキング(Source)

独特なネット環境と膨大な人口を有する中国では、変化の波がとてつもない速さとなっています。2021年に入ってからティードリンク産業の盛り上がりとその背景から、その他小売業やD2C分野がこの先どう変化していくのかは、これから注目すべきポイントです。

<参考>

新興コーヒーブランド「Manner Coffee」、1店舗あたりの評価額がスターバックスの3倍 その秘密は(上) https://36kr.jp/131692/
600億估值!又一次,喜茶壓奈雪一頭 https://news.sina.com.tw/article/20210626/39012458.html
今年上半年茶饮品牌融资达15起,新品牌层出不穷 https://36kr.com/p/1292177611276681
奈雪的茶上市首日大跌13%,市值240亿,但600亿估值的喜茶笑得出吗
https://finance.sina.com.cn/tech/2021-07-01/doc-ikqciyzk2915379.shtml
走,帶星巴克杯子去Manner打咖啡 http://www.mdeditor.tw/pl/gKO7/zh-tw
開一間讓星巴克流量少3成!Manner咖啡如何從街邊小店,長成估值逾300億的黑金新勢力?
https://www.bnext.com.tw/article/63229/manner-coffee
港股上市首日開盤破發 奈雪的茶一度跌11% https://udn.com/news/story/7333/5567479
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