田舎の方が空気まずくないか?

高校まで北海道の札幌で育ち、大学から上京して、現在上京4年目である。
地元は札幌の中心地で、田舎とは程遠い地方都市であった。
ただ、札幌の中心地のような場所であっても街の空気のあの何となくどんよりとした、退廃的な空気感があった。分かってもらえるだろうか?平日の昼間なんかは歩いてる人の9割が高齢者で、空がどれだけ綺麗に晴れていても灰色の重たい空気が漂っている。あと、北海道特有のあの街の人の輪郭のゆるみっていうのかな?みんな厚着だからかもしれないけど、あの野暮ったさが埋め尽くされている雰囲気、
大通りの地下歩行空間なんかその象徴で、あの、「ザ・地方都市や〜」っていうダサい感じ。
平日昼間なんかに行くとほとんど人が入ってないけどテナントだけはちゃんとやってて照明が明るくてどうやってこのお店維持してるんだろうと疑問に思う商業施設ビルのあの空気感。
あれが重苦しくてもっとエネルギッシュで活発なところに行ってみたいというのが上京した理由の一つだった。上京した、というよりは、脱出したの方が正しいかもしれない。( 主に世代的に君の名はの影響が強かった。)

果たして東京は、札幌と比べるとはるかにエネルギッシュで平日に街を歩いても元気な若者がたくさんいて歩いているだけでワクワクする素晴らしい街だった。札幌で感じた輪郭の緩みというのがなく、皆東京独特の「とがり」のようなものを持っている。この「とがり」をうまく説明できないのだけれど、とにかく上京当時、地方出身のいなかっぺの目にはそう映っていた。

しかし今では、土日の人口密度の高すぎる混み合った東京にもううんざりしているし、基本的に並ばないと入れない飲食店、身の危険を覚えるぐらいキチガイみたいな暑さの夏、3日ぐらいで終わる春と秋、普通に北海道より寒い冬、など、愚痴を漏らせば無限に出てくるのだが、
数少ないメリットとして若い人が多くて、地方都市のあの左肩下がりの空気感ではなく、どことなく東南アジアに似たあの若い右肩上がりのパワー(昔、台湾に行った時に若者の多さと南国独特の心地よい暑さから来る圧倒的なパワーに、高校生ながら感動したことを覚えている。)
を感じる。特に渋谷なんかでは地方都市では摂取できないエスニックでメルティングポットなパワーを貰えることは確かである。

東京での圧迫感や人の多さ、空気の汚さ、昨今ではコロナの影響で
自分のような地方出身者のUターン就職は年々増えているらしい。
現代の田園回帰である。
田園回帰とは、都会の喧騒から距離を置くという一見心のゆとりを確保する素敵な選択のように聞こえるが、実際には、
少子高齢化社会における「田園回帰」は「あの鈍色のジイババ天国への帰還」であることも含んで考えると、Uターンを躊躇ってしまう。

あともう一点、思いついたように書き足すので順序がめちゃくちゃだが、都会の自然や公園はよく整備が行き届いていて、美しい。日比谷公園や新宿御苑、井の頭公園など、どこに行っても、都民の厚い血税によって綺麗に整備が行き届いているし、設備が新しい。
自然の総量で言えば地方都市および田舎には東京では敵いっこないのだが、インドアの人間が散歩に行くレベルでそんな膨大な自然を必要としないし、何より田舎の自然は整備がちゃんといき通っていなくてどこか薄暗い「汚い自然」である場合が多い。こういう点でも都会は目にやさしいんだ。

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