小学校の頃、意地悪してきた女の子が転校してからなぜかずっと連絡くれる話

北海道の札幌市で生まれ育ったが、
親の都合で幼稚園年中から小学2年までの4年あまりを北海道の江差町という田舎町で過ごした。
ぽつぽつと家が立ち並ぶ、イオンもヨーカドーもマックもコンビニもない人口1万人程度の小さな港町だった。

田舎の小学校は1学年で20人ほどしかなかった。狭いコミュニティだった。
自分はよく、ゆかちゃん(仮称)という女の子に意地悪をされていた。いじめのような多数対1で意地悪されるのではなく、あくまでも1対1で意地悪されていたような記憶がある。消しゴムを隠されたり、物を投げられたり、嫌なことを言われたり色々された覚えがある。
小学1年の時の7歳の僕は、ゆかちゃんは自分勝手でわがままで害を与えてくる存在として認識していたことを覚えてる。
当時、同じアパートに住んでいたえりちゃん(仮称)という子がいて、幼稚園も同じで親同士も親交があり幼馴染のような存在だったが、幼稚園を卒業して同じ小学校に入学した。程なくしてえりちゃんはゆかちゃんと仲良くなってた。俺は帰りのスクールバスからアパートまでえりちゃんと同じ道だったので、小学校に上がってからも一緒に登下校していた。俺とえりちゃんはよく一緒にいるので俺は必然的にゆかちゃんとも接触せざるを得なくなった。
2年生に上がってからもゆかちゃんからの意地悪は続いていたような気がする。俺はその意地悪の意味が分からなくて、相手が女の子なのでやり返すような事もせず、「ゆかちゃんとは距離を置こう」と6歳のクソガキなりに人との距離というものを考えていたことを覚えている。
月日は流れ、2年生の終わりに転勤で札幌に戻ることになった。江差町ともこれでお別れだ。
それ以来、江差町の人と会ったり連絡をとったりすることはほとんど無くなり完全に俺の中で過去となったのだが、正月になると毎年あの意地悪をしてきたゆかちゃんからも年賀状が届いた。
転校してから一年後、3年生の正月に江差町から年賀状を送ってくれた友達は数人いた。でもみんな仲の良かった子たちで、その中に紛れてゆかちゃんが送ってくれるのは意外だし嬉しさと恐怖が入り混じる複雑な感情になった。
結局、4年、5年、6年、中学1年となるごとに江差町から年賀状を送ってくれる友達はぽつぽつと消えていったが、ゆかちゃんだけは毎年律儀に長い手紙を添えて送り続けてくれた。自分に意地悪してきて、嫌われてるんだろうなと思ってた子がなぜ年賀状を送り続けてくれるのか分からなかった。
中学3年ごろに送られてきた年賀状にゆかちゃんのメールアドレスが書かれていて、メールを送ってみた。

高校生になる頃にはお互いにスマホを与えられていたのでLINEを交換した。ラインを交換したところで、別に話すわけでもなく、21歳になる大学3年までほとんどやり取りはしていなかった。
んで、本当につい最近、急にゆかちゃんから連絡が来て、何回かやりとりしたのちに、電話しよ!と言われて電話した。
なにしろ小学生2年以来、10年以上声も顔も知らない相手だったし俺は電話があんまり好きでもないし苦手なので何話していいのかよく分からなかった。多少なりとも俺に好意があってこういうことしてくれてるんだろうと思ってはいたが、けっこう緊張した。

LINE通話がかかってきて、出た。
俺が久しぶりだねーと言っても特に反応がない。そっちから電話しようって言ってきたくせに何も話さないのかな?と思いながら、間が気まずいので適当に言葉を繋いでいったが、俺が頑張って9喋って、向こうが1ぽつっと何かつぶやくみたいなラリーを何度か繰り返した。この人は何のために電話したいだと思いながら、俺もそこまで喋るタイプではないし、10年以上顔を見てない小学2年生の時の同級生と喋ることなんて無いのですぐに沈黙になった。LINEだと、俺の身の上の話を興味ありげにいろいろ聞いてきていたが、電話で似たことを話してもほとんど興味がなさそうだった。なんか、小学校のあの時にゆかちゃんに感じていた嫌悪感を思い出してきていて、ある意味でノスタルジーだった。
沈黙の後やがて、向こうがぽつぽつと話し始めた。ゆかちゃんは専門学校を卒業したのち、もうすでに社会に出て働いていた。「私は今疲れていて、余裕がない」ことや「職場の先輩がうざくて体調悪い」みたいな仕事の愚痴を話し始めた。俺が適当に相槌を打っていると、「ねぇちゃんと聞いてるー?」とみたいな確認をされ、苛立った。
ゆかちゃんは小2の時のあまり変わっていなかった。
俺は自分から通話の終わりどきを切り出すのが苦手なので、そのまま4時間ぐらいずるずる通話した。俺は別に楽しくなかったが、ゆかちゃん的には良かったみたいで、それから最近は毎週、電話しない?と連絡がきて毎回長電話をしている。向こうは韓国ドラマとか恋愛とか関ジャニとか好きな典型的な女の子という感じで、申し訳ないが韓国ドラマも関ジャニも1ミリも興味がないし知らない。それと同じように俺の趣味、考えてることも彼女とはあまりにもかけ離れている。
彼女は北海道から出たことがなかったし、特出した趣味を持っているわけでもなく、休みの日はTikTokを見ているそうだった。東京を漠然と怖い街と捉えていた。
何の話しても「なにそれ?」から始まり、まずその前提を説明しなければならなかった。別に啓蒙したい欲というか講釈垂れたいわけではないのに、自然とそういう形になってしまう。俺が一番苦手な会話のタイプで嫌だった。
相手がずっと話してくれてそれを一方的に聞くのは好きだけど、、、

眠くなってきたので続きは今度かくわ!トゥービーコンティニュード!

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