地域社会学Ⅴ 地域と開発

※()内は重要語句 ((とは区別される。

(開発)とは人間の潜在的な可能性を追及することである。これを主に政府による公共投資や市場介入により推進していくべきだという思想を(開発主義)という。

地域開発の推進は多くの矛盾を抱えてきた。
①環境問題の露呈((四大公害病(水俣病)など〜福島原発事故))
②地域開発が建設業界などの特定層の利権と結びつき、地域内の不平等や分断の発生→(土建国家)の利益体質((建設業者ばっかり儲かる))→地域住民にあまりメリットのない「ハコモノ」への批判
③外部の力に頼った開発(外発型開発)が主流であったために、開発が進めば進むほど中央への従属が強くなり、地域経済の自立性が失われた

20c末以降の地域開発のあり方の変化
第一に、国土の(脱工業化)が進行→儲かりそうな都市中心部に集中的に資本投下する開発が中心となった。(都市再開発)
一方地方にも(ショッピングモール)等の開発盛んにbutどのような地域空間が望ましいかの価値観対立が表面化した
第二に(人間開発)への支持広まる
but(福祉国家)敵視の(新自由主義)の考え方広まる→弱者に厳しい考えが広まる
第3に地方の様々なアクターが関わる(まちづくり)のコミュニティ活動が外発型開発などの認識とともに相対的に重要に
butこれは地元資本や組織と結びつく可能性があり多様な住民ニーズを組み上げれるのかが謎

反開発主義:複数の流れ

1.環境リスクへの懸念
公害反対運動・迷惑施設の立地問題(NIMBY問題)から自然保護などを重視する運動へ
→(リスク社会)化しているのでは?ここでのリスクとは未来にかけて起こりうる危険である。経済発展のための開発が生活環境な悪化をもたらす(再帰性)を問題化している。

2.土建国家の利権体質に対する批判
(内発的発展)論:住民が主体的に関わる中で地域のリソースを生かし地域内に付加価値がつく仕組みを作るべきとする考え方

3.財政的制約に対する懸念
地域を開発するのは「バラマキ」だとする議論の勃興
(新自由主義)の影響:市場競争を重視する考え方。地方格差の是正を重視する(福祉国家)的考えを批判。

新しい開発主義((ポスト工業化社会における地域開発))

1.「空間ケインズ主義」から「都市圏立地政策」へ
大都市中心部の巨大再開発プロジェクト
→ジェントリフィケーションが活発に

2.民間資本主導による(ショッピングモール化)推進
(日米構造協議)の後、国内の幹線道路建設のための公共投資増額。合わせて(大規模小売店舗法)の規制緩和で地方のロードサイドに大型小売店急増

3.政府主導の開発プロジェクト推進
(ショック・ドクトリン):国や行政が危機を煽り復興のための大規模再開発を正当化する手法

・阪神淡路大震災後。(創造的復興)の名の下ポートアイランドの開発が急速に進行。→2014年、(国家戦略特区)の拠点となった。

・東日本大震災後、(復興特区)において次々とイオンモールが立地。

(地方創生)政策: 人口減少な危機を強調し、それを解決する試みを競わせ、その取り組みに対しお金を支給💴

ポスト工業化時代の都市再開発をめぐる争点

産業構造の転換(リストラクチャリング)に対応するため、都心再開発をする結果、より洗練された空間ができる。そしてそこで働く人々の階層が変化する。
一般に、比較的高階層の人々のために新しい都市空間が作られ、地域の人々の階層が移動することを(ジェントリフィケーション)という。

ジェントリフィケーションと(都心回帰=再都心化)

日本の都心人口は業務用ビル建設により減少、しかし、都心の大規模再開発により住宅供給が増える→比較的高階層のファミリーが都心の中心業務地区やその周辺にする傾向を強める。

ジェントリフィケーションと低階層の人々の排除
インナーシティに住む低所得者や高齢者、ホームレス等が住宅市場から排除される→強制的(立ち退き)

貧困地区の荒廃化問題の発生→(スラムクリアランス)の動きが起こる
ex.(釜ヶ崎)→(あいりん)地区へ呼称変換
西成区特区構想によるジェントリフィケーション

ジェントリフィケーションに伴う分極化で都市の犯罪リスクに対する不安が高まり、(監視社会化)が進行→(ゲーティドコミュニティ)の形成

都市開発のプロセスの民主化
(都市の権利):もっと民衆中心でやるべきだという考え
ex.京都市の景観条例と京都大学立看板問題→誰が美しい景観を決めるのか

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