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男子はね、子供なの

「おとなになったと思った」
「欲しい物がなにか、わからなくなって」

「去年のクリスマスには、欲しい物があったの」
「今年の誕生日は分からなくて、服を買ってもらった」

「友達は図書券にしたみたい」

「でも、カメラがほしい」

「お母さんがいいカメラを持っていて、たまに使わせてもらうの」
「私は小さいのでいい」

12歳を迎えた小6の女子生徒が、こう語ってくれた。

別の女子生徒は、こう言った。

「男子はね、子供なの」

「分かるよ」
「僕もそうだったからね」

・・・・・・・・・

昭和62年。中一の僕は子供だった。

好きだった女子から、こう言われた。

「ねぇ、私ってなに?」

「は? 人間?」

何度も同じ質問をしてくれた。嬉しかったけれど答えに困った。
なぜ女子は、答えられない質問を繰り返すのだろう。

「ねぇ、私ってなに?」

「ホモ・サピエンス」

「・・・・・・」

毎日聞いてくれる。
僕は笑ってくれるだろうと、百科事典を暗記していった。

「ねぇ、私ってなに?」

「動物界セキツイ動物門、哺乳綱、」
「霊長目ヒト科、ヒト属ヒト」

「・・・・・・」
「バ、バ、、」
「バカじゃないの!」

割合と本気でキレられた。

それでも明くる日、同じ質問をされる。

「私ってなに?」

「・・・」
「分からないって」
「マジでさ、、」

「いい加減、、、」
「なんて答えたらいいか教えてくれよ」

業を煮やしてそう言うと、凄まじい目で睨まれた。
本気で嫌われたと思ったくらいである。

別の日、

「ねぇ」

とだけ言われることがあった。

前の席の大好きなAさんが、後ろを向いて言う。

「ねぇ」

「は?」

5分後、また言う。

「ねぇ」

「は?」

2分後。

「ねぇ」

「は?」

その1分後。

「はぁ~」
「『ねぇ』って言ったら、なんて言うの?」

「『は?』って言う」

「バカかよ、お前!」

キレられた。

僕は、隣の席の横井に聞いた。

「ねぇ」

横井は言った。

「は?」

間違ってない。

「合ってるな」

「は?」

「だからさ、、」
「ねぇって言ったら、『は?』って言うよな」

「そ〜だな」

援軍を得た僕は、Aさんに声をかけた。

「おい!」
「横井も言ってるでな」

わけも分からずキレられ、ムッとしているのだ。

「え?」

「『ねぇ』って言ったら、」
「『は?』だって」

「・・・」
「・・・」
「あのね、」
「バカじゃないの!」

これは、逆ギレだろうか。

・・・・・・・・・
・・・・・・

ある日、こうキレられたこともある。

「お前、なんにもしねぇな」

「は?」

毎日言われる。

「お前、なんにもしねぇな」

部活も勉強も学級委員も、しっかりやってるのに。プライドが傷つく。

「もういい」

とAさんは言う。

僕は、モテて有名だった鈴木に相談した。

「なぁ、俺、なんにもしてないって言われるんだよ」
「なんでだろう?」

「なんで俺に聞くんだ」

リア充の鈴木には、あまり話しかけたことがなかったのだ。

「誰に言われるんだ?」

「Aさん」
「あんま言わないでな」

「言わねぇよ」

「で、どういう意味だよ」

「分からん」

「おい、本当に分かんないのか?」

「本当だ」

「マジで教えてくれ!」

「だから、分かんないって」

「本当に困ってるんだ」
「頼む!」

大好きなAさんの期待に答えるために、必死だった。

仕事熱心なはずの自分が、「なんにもし(てい)ない」と言われることが悔しかったこともある。妙な違和感はあったが。

そして、最後の手段を使うことにした。

「これで帰りの会を終わりますが、なにか困ったことなどありませんか?」

一日の最後の、短いクラス会。

「はい!」

「では松井さん」

「ありがとうございます」
「僕は部活も勉強も学級委員も、しっかりこなしているつもりでいます」

「ですが最近、」
「『なんにもしない』と言う人がいます」

「僕はみんなから、なんにもしていないと思われているのでしょうか?」

このとき、誰もなにも答えてくれなかった。

ただAさんだけ、

「超恥ずかしいら、てめぇ」

と、ヒソヒソ声でキレてきた。

・・・・・・・・

ここまで読んでいただいた女性諸氏は、なんとも呆れ顔でいらっしゃることだろう。

しかし、

「私ってなに?」
「ねぇ」
「お前、なんにもしねぇな」

男はこの質問に、40歳で初めて答えられるようになることを、篤と覚えていただきたい。

親友Bが40で結婚した直後、奴の初恋のCさんの前で、どちらが女心が分かるか論争したことがある。

「松井はまったくモテなくて、困っちゃうよ」
「婚活に行っても、カップルが成立するのは俺だけ」

「なんか申し訳なくてさ」
「あ、でも、」
「女心がまったく分からない松井が悪いんだぜ」

Cさんの前でイキりまくっている。
そもそも奴はいつも「松井さん」と、俺をさん付けで呼ぶのだ。

そこで奴に聞いてやった。

「お前さ、奥さんから『私ってなに?』って聞かれたら、」
「どう答える?」

「は?」
「人間?」

「だろうな」

「当たり前のことを聞くな!」
「だからお前はダメなんだよ」

この状況でイキれるのはさすがだ。

「それじゃ、」
「『ねぇ』」
「って言われたら、どうする?」

「Cさん分かりますよね、松井のこの頓珍漢さ」
「まったく、ダメ男の見本市のような恥晒しですよ」

「じゃぁ、なんて応えるんだよ」

「『ねぇ』だろ?」
「『なに?』って」

Cさんはクスクス笑っている。

「じゃあさ、B」
「『お前、なんにもしねぇな』」
「って言われたら、どうする?」

「ふざけんな」
「同居してから、ご飯炊いてるの俺だよ!」

やはりこの親友にして、この松井ありである。

しかし、どうだろうか。
あなたの彼氏は、果たしていくつ答えられるだろうか。

・私ってなに?
・ねぇ。
・お前、なんにもしねぇな。

中一の時、僕の周りの女子は、こんな話をしてくれていたらしい。

「ちょっと前まで、泥だらけで遊んでた人だから、」
「急にそんなことを言っても、分かんないと思う」

ごめんね、男ってヤツは、、、
本当に分かんないんだよ。

中一の女子のことだって、、未だに。。。

お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

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起業家はトラウマに陥りやすい人種です。

ですが、トラウマから立ち上がるとき、自らがせねばならない仕事に目覚め、それを種に起業します。

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