遠い昔のお話

「なーにを言ってんだ!角だぞ?あった方がかっこいいだろ!」
「いや亜人じゃあるまいし別にいいだろ...」
「『人間のままで角がある』からこそのロマン分かってないな君は!人間の進化の印だぞこれは!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「...完成、したのか?」
「そんな簡単なわけないだろ?これから第二世代が生まれ、それから第三、第四世代に遺伝していけば...」
「いけば......?」
「しらん!」
「は?」


 
 
 
 
 
 
 
 
 
「素晴らしい、やはり最適化が常に働いている!これで『成長するツノ』の基礎設計が正しいことが証明された!」
「エネルギーの変換効率が若干悪い気が...」
「なーにを言ってんだ!運動せずにダイエットできるぞこれは!」
「そこかよ...」






「初めての『第二世代』、だな。」
「...自分の子供をそう呼ぶのはどうかと思うぞ。」
「おっ、このコブみたいなのか最初期の『ツノ』...か?」
「聞いてないし...」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「よかったね!」
 
 
「...うん、そうね。」
「ぱっとしないな、どうした?」
 
 
 
 
「ううん、なんてもないよ。」
 
 
 
 
 
 
 
 
「今、なんと?」
「武器、ですね。その実験から生まれる...『ツノ』ですか、は、素晴らしい計算能力を所有している。それは科学を更なる段階――――あえて『魔法』と呼びましょう、に進化させる力のある『武器』だと、我々は判断した。」
「そこではないっ」
  
「...ふむ、どうやら君には少し落ち着きが必要なようだ。安心したまえ、彼女は無事だ。『第二世代』もな。」
 
 
 
 
 
 
 
「お願い。」
「聞いて...」
「この子たちを、連れてって。」
「聞いて、」
「どこか遠くへ」
「聞いて!」
「これ、私の『ツノ』。」
「っ」
「...ごめんね」
「あやま......分かった。」






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