見出し画像

年越し狂騒曲

沈黙
13日から、ミャンマーは正月休みに入った。
16日が大晦日で、17日が正月である。本来ならば、街のあちこちにスタンドが設営され、ホースを構えた人々が見境なく水をかけ合い、道を歩いていても方々から問答無用で「水攻め」にあうという祭りが展開される。

しかし昨年に引き続き、今年もその様子はまったく見られない。地方の一部では行われていたようだが、ヤンゴンではそれらしき雰囲気は露とない。
いつもなら閉店を決め込むスーパーも営業し、フードデリバリーも稼働していた。昨年はコロナによる異様な静けさに包まれていたが、今年は何の変哲もない、ひたすらおとなしい連休となった。

この時期に一時帰国するのが通例だが、今年もそれは叶わない。考えてみれば、“通例”と言いながら、3度のミャンマー正月期間で帰国したのは、最初の1度のみである。

「君になら、できる!」
12日、連休前最後の営業日は、Dream Trainにてキャリア教育の初回を実施した。開始の遅延以外はすべて予定通り進み、これまでで類を見ないほどスムーズな「試合運び」となった。

これから踏み出す世界が目まぐるしく変わり、仕事自体も大きく変わっていくこと。その変化に適応していくために、自らをモデルチェンジしていく必要があること。そのためには、教科書的な知識に加えて「情報を編集する力」が大切になること。
藤原和博氏の「よのなか科」を参考に、初回はまず、このメッセージを伝えた。

寄付でいただいたiPadをフル活用し、Padletという教育ツールを用いてグループワークを進めていく。

人前での発言を避けたがる彼ら彼女らも、これなら問題ない。
付箋を使ったり、指名してホワイトボードに書いていく方式よりも時間効率がよく、何より意見が出やすい。その効果は、絶大であった。

「君になら、できる!」
スタディサプリ内の「よのなか科」の授業で、藤原氏は締めくくりに必ずこの言葉を言い放つ。私もそれにあやかり、最後のスライドにミャンマー語でこの言葉を入れた。

一切手を抜かない真剣勝負。反応もよかったし、まずはいい汗をかいて終えることができた。おかげで、次回とその次へのいい弾みになった。

変調
その日の夜、突如熱にうなされた。左の扁桃腺があり得ないほど腫れ、身体中が燃えるように熱くなった。
腹にくるいつもの「あれ」とは明らかに違う感じだ。“マーライオン化”もつらいが、今回のもかなりしんどい。

明くる正月休み初日の13日は、朝から「死んで」いた。口にするものに気をつけ続け、1年以上食あたりから逃れてきたにもかかわらず、違う症状で寝込むことになろうとは…。
失言も暴露も、文○砲もないのにひたすら「炎上」し続ける。滝のような汗をかきつつ、ベッドで苦しみ続けた。

こんな時、人の優しさに救われる。
同僚らが、聴きとった症状から薬を選定してくれたり、それを実際に届けてくれたりと、非常時かつ連休というのに、あらゆる手段で助けてくれる。役得とは言わないが、医療NGOならではの的確で温かなサポートに、ただただ感謝した。

そして、また
そんな支えのおかげで、症状は劇的に改善し、15日は朝からほぼ本調子で動き始めた。

氷水で締めたざるそばが、非常にうまい。図らずも、年越しそばと相成った。
病み上がりかつ休みの緩やかさに、いつもよりゆっくり食事をし、キャリア教育の指導案を練り、そこに大長編の読書と楽器の練習も織り込みながら、穏やかに過ごす。

明日は連休最終日。朝からまたキャリア教育に出る。
初回と同じ内容を別のグループに行うのだが、前回のリアクションを踏まえ、少々変化を加えている。これがどんな反響になるのか、とても楽しみだ。

すっかり元気になった体で、最後の仕上げにかかる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?