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生々流転を観た


東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密

4月に、「東京国立近代美術館 70周年記念展 重要文化財の秘密」を見ました。
見たかったのは、横山大観の「生々流転」。
私はこの作品がすごく好きで作品集も持っているんですけど、いかんせん40mもある大作なので紙面に載せようとするとどうしてもブツ切りになってしまうんですよね。一度現物を見てみたいなと思っていたところ、冒頭の企画展が開催されるということで、初めてナマの生々流転を見に行きました。(いや、もう4ヶ月前ですけど)

生々流転が一番最初の展示だったのですが、ガラスケースに入れられて展示されており、みんな列をなして右から左に移動しながらの観賞でした。

天から降った雨の一滴が、あつまって渓流 となり川へと成長し、さらに大河になって大海に注ぎ、最後は飛龍となって天に昇るという、流転する水の一生を描いています。全長40メートルにもおよぶ絵巻物に描いた壮大なスケールの物語ですが、決してこれで終わりではありません。龍として天に昇った水は再び一滴の雫に姿を変えて新たな一生を送るのです。水の流れに万物の移り変わりを見る 壮大な自然観、人生観が、水墨画のさまざまな技法を駆使して描かれています。

東京国立近代美術館HP 作品解説より引用

素晴らしかったです。圧倒されました。私の拙い語彙力では言語化することが困難だし、陳腐な言葉で表現してはもったいない気がします。(と先に予防線を張っておきます。)

雨のたった一粒が様々に姿形を変えながら、 生い茂る木々たちや、その場で生を全うする動物たち、営みを育む人々に、時には与え、時には奪い、そして龍となって天に昇る、そしてまた雨の一粒となって…エンドレス。

木々や動物や人々は私であり、様々に姿形を変えながら流れゆく水は、それは誰かだったり、あの日の出来事だったり、時間だったりするのでしょうか。
一度過ぎ去ったそれらが、私のところへまた巡ってくることは物理的にはなくても、愛情や愛着をなくさず、たまに立ち止まってふと思い出す時に、いつでもそれらは私のところへまた巡ってきてくれる、そんなことを思いながら鑑賞しました。

今後「生々流転」をコンセプトに何かクリエイティブなことができたらいいなと考えています。

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