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2022 全国高校生ボディビル選手権観戦レポート

はじめに

8月8日、仙台市にて、2022年度の全国高校生ボディビル選手権が行われました。
観戦してまいりましたので、簡単なレポートをアップします。
つたない部分もあるかと思いますが、順次内容を見直して改定する予定なので、よろしくお願いいたします。
有料記事にしていますが、全文無料公開です。
お気持ちがある方は購入いただけると、大変喜びます。

ボディビルの審査について

JBBFのボディビル審査においては、7種類の規程ポーズで順位をつける比較審査(予選審査)、自分で選んだ60秒間の曲に合わせて自由にポーズをとるフリーポーズで一人ずつ審査をつけるフリーポーズ審査(決勝審査)の2つで審査をします。
出場者数が少ない場合は全員がこの7ポーズの比較審査を受けることができます。しかし、出場者数が多い場合は先に4ポーズの比較審査を行い、その中で下位と見られる選手を除外した上位の選手のみ、7ポーズの比較審査を受けることになります。
この、下位の選手の除外のため、上位と下位の間のぎりぎり、ボーダーラインの選手を比較するのがピックアップ審査となります。
今回は予選比較審査に進むのが12名なので、上位12名に入るかどうかのボーダーラインの選手を比較することとなりました。

ピックアップ審査

ピックアップ審査はまず選手全員で4ポーズを2回取ったあと、該当すると思われる選手をピックアップして行われます。
今回は2回行われ、それぞれ下記のメンバーで行われました。
1回目… 8番高山選手 12番櫻井選手 37番山影選手 7番橋本選手  5番松井選手
2回目… 7番橋本選手 8番高山選手 22番伊澤選手 9番松浦選手 15番今井選手

その後、同点審査があり、
9番松浦選手、12番櫻井選手、15番今井選手、28番橋本選手の4人で行われた後、12番櫻井選手を外した3人でもう一度審査が行われました。

結果、同点審査では12番櫻井選手と9番松浦選手の2名が通過し、
2番小野選手、3番草場選手、14番菱田選手、20番村田選手、22番伊沢選手、26番遠山選手、27番大場選手、33番栖原選手、37番山影選手、38番岩崎選手に上記の2名を追加した12名が予選比較審査に進みました。

比較審査に進めなかった中で気になった選手

惜しくも比較審査に進めなかった選手の中では15番の今井選手が目立っていました。上半身の発達は目を見張るものがあり、フロントポーズの胸のラインがはっきりしているのも強みですし、何よりも背中の筋肉の発達は他の選手よりも一歩抜けているように見えました。もう1絞りするとともに、下半身の筋肉も見せられるようになれば、より評価されるようになるのではないかと思います。
28番の橋本選手も、仕上がりの面で高評価を得るのは難しかったと思いますが、筋肉量も多く、審査員に12人に残したいと思わせるものがあったのだと思います。

上位12人

さて、12人の比較審査では、全員が並んで一斉に規定7ポーズを取ったあと、少人数ずつの比較審査を行います。
この時、上位の選手たちが先に呼ばれるのが慣例です。
まず最初に呼ばれた(ファーストコールと呼ばれます)のは、3番草場選手、33番栖原選手、38番岩崎選手の3名でした。
次に呼ばれた(セカンドコールと呼ばれます)のは2番小野選手、20番村田選手、26番遠山選手、27番大場選手、37番山影選手の5名でした。
最後、3番目に呼ばれた(サードコールと呼ばれます)のは9番松浦選手、12番櫻井選手、14番菱田選手、22番伊澤選手の4名でした。

その後、12人全員、ゼッケン番号順に、曲に合わせた1分間のフリーポーズ審査(決勝審査)を行いました。
大会によっては、比較審査で上位に残った選手しかフリーポーズを取れない場合もありますが、今回は12人全員がフリーポーズを取ることができました。
音響トラブルで自分の音楽で取れなかった選手も、できる限りのポージングを取っていたと思います。
12名での比較審査とフリーポーズ審査の結果を合算し、順位が決定します。

順位発表・表彰式

表彰式では全選手が一斉にポーズを取りながら、下位の選手から順番に呼ばれて整列します。
いわゆるポーズダウンです。

10位~12位

まず12位で呼ばれたのは12番の櫻井選手でした。
ピックアップ・同点審査で何回も呼ばれた櫻井選手ですが、胸や体幹部の厚みには光るものがあり、特にサイドチェストでは目立っていました。

11位で呼ばれたのは松浦選手でした。彼もピックアップ・同点審査で何回も呼ばれていましたが、同点審査で先を越された櫻井選手を逆転し、11位に入りました。
上位と比べると細く見えますが、全身にしっかりカットが入り、特にアブドミナル&サイは観客の目を引き付けるものがあったと思います。

10位に入ったのは22番の伊沢選手でした。
12位の櫻井選手より絞れており、11位の松浦選手よりも全身にバランスよく筋肉がついていたと思います。
背中の筋肉が特に良いものの、バックダブルバイの際にねじれが出てしまい左の背中がよく見えなくなってしまうなど、ポージングには癖があったと思います。
しかし、ステージ上での覇気のようなもので特に目立っていました。

7~9位

9位は14番の菱田選手でした。昨年は12位に入っていた選手です。高校選手権全体で見ても上位に入る筋肉量がありましたが、もう1絞りが足りず、この順位であったかと思います。
ただ、全てのポーズでスケール感が大きく、目立っていました。
サイドチェストポーズで後ろ足が直立してしまうのはもったいなかったかなと思います。

8位は37番の山影選手でした。ピックアップで呼ばれた際には他と比べて目立っており、上位に入る予感がありました。ポーズも仕上がりもよく、ピックアップで呼ばれた他の選手を引き離して8位に入りました。トップ7と比べると少し筋肉量の面で差があったかもしれません。

7位は2番の小野選手でした。小野選手はラインナップの段階で3番の草場選手と共に目立っていました。臀部を含め、全身にしっかりカットが入っており、特にフロントダブルバイセプスの脚のカットや、サイドポーズで見せる腕・肩の陰影は圧巻でした。

4~6位

6位は20番の村田選手でした。彼も臀部にまでカットが入っており、脚の丸みや背中の広がりによるスケールの大きさで、7位以下を引き離した感があります。フロントダブルバイセプスに少し癖があり、良さを表現できなかったのは惜しい部分だったかもしれません。

5位に入ったのは26番の遠山選手でした。6位に入った村田選手に体の特徴は似ていますが、背中以外すべて一回り大きく、それでいて絞れており、ポーズもしっかりとれていました。持てるものを発揮してこの順位を勝ち取ったという印象でした。

4位に入ったのは27番の大場選手でした。彼は色が白いこともあり、トップ12の中では3番目くらいに甘く見えましたが、それを補って余りある筋肉量でトップ4に食い込みました。

4位の大場選手から6位の村田選手まで、比較審査では優劣がついていますが、フリーポーズは全くの同点でした。甲乙のつけがたい戦いであったことの証左と思えます。
大場選手は相対的に複数人の時に良く見え、遠山選手と村田選手は一人の時に自分をよく見せるのが上手い、ということであったかもしれません。

2~3位

3位に入ったのは3番の草場選手でした。トップ2と比べるとどうしても下半身が細く見えてしまうのがこの順位に甘んじた要因かと思いますが、上半身、特に背中と肩は上位2人を凌ぐものがあったかもしれません。サイドポーズ、特にサイドチェストでは、全身の陰影がはっきりとして、圧巻の迫力でした。
草場選手には3位票しか入っておらず、ご本人としては悔しい結果だったかもしれませんが、4位以下に大きく差をつけての3位として、大いに自信を持ってよいかと思います。

2位に入ったのは38番の岩崎選手でした。肩の丸み、胸の厚さ、背中の広がり、下半身背面の絞りなどは1位の栖原選手を凌ぐものがあったかもしれません、そもそもの筋肉量の差、体の厚みや凸凹の差で2位に甘んじましたが、高めの身長を細いと思わせないスケールの大きな筋肉は圧巻でした。体脂肪率の低さも高校選手権の全選手中トップに近かったのではないかと思います。
審査表では、フリーポーズで1位票が入っています。自分の良いところを表現した、素晴らしいフリーポーズであったと思います。

優勝、栖原選手

そして、1位、優勝したのは33番の栖原選手でした。昨年のハイレベルな高校選手権で6位に入った選手です。ラインナップの段階で、勝利を確信させるものがありました。トップ3は全員そうですが、社会人の大会に出ても通用するような筋肉をしています。特に栖原選手については、細かい身体の部位で見ていくと2位の岩崎選手や3位の草場選手に負けているところもあるかもしれませんが、それをしのぐ体の厚みと凸凹感、何よりも自信にあふれたステージングで文句のない優勝を勝ち取りました。
決勝審査で一人が岩崎選手に流れた以外、審査表上でもほぼ満票での優勝となりました。

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