正解と正義
全員が納得する正解はこの世にないんだろうな、とふと思う時がある。本を読んで新しい感性に触れた時、気が合う友達の言動に違和感が生じた時、今まで面白いと思っていたものを馬鹿臭く感じた時。
満場一致の一つの答えなんてない。ただひとりひとりが持つ、確信をもてないなりにたどり着いた、少しの妥協と強がりが含まれたそれぞれの正義があるだけだ。
どんなことにも完璧な根拠はない。
けれど共通の目的を持った人々が集まり、力を合わせ、励ましあい、時には齲蝕しそうなほど甘いものに頼りながら、二本の脚で一生懸命立っている。
夜が更けるほど人肌が恋しくなるのは、人間は生涯孤独だからだ。
それでも朝日を待つ。日の温かさにわずかな希望を抱く。
私たちは生涯孤独だ。だがそれは、他の人肌のぬくもりを知っているがゆえの贅沢な悩みでもある。