【特別記事】キャラクターショーの仕事をするということ【7/7 NEW!】
こんにちは!アクションチーム隼のあしざわです。
アクションチーム隼では、ただいま新メンバーを絶賛募集中なのですが
実は、応募や問い合わせをしてきてくださった方々の8割ぐらいが「ヒーローショーのことをよく知らない」「キャラクターショーを見たことも無い」とのことで…(><)
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ちょうど良いタイミングなので、「ヒーローショー」「キャラクターショー」のお仕事をする、ということはどういうことか?…色々な角度からご説明させて頂こうと思います。
キャラクターショーにご興味がある方も、そうでない方も、ぜひぜひご覧ください!
①キャラクターショーって何?
僕が言っている「キャラクターショー」「ヒーローショー」とは、
遊園地やデパートの屋上などで「特撮番組」や「アニメ番組」のキャラクターの着ぐるみを着て、お芝居やアクション、ダンスをする「ライブショー」のことです。
キャラクターショーの中でも、仮面ライダーやスーパー戦隊シリーズといった「特撮ヒーロー」のショーは、特に「ヒーローショー」と呼称します。
ちなみに、世の中には様々なキャラクターが存在しますが、アクションチーム隼は「東映」のキャラクターのショーのみ行っています。
②目的は何?
キャラクターショーの目的は(ショーを開催する企業・団体の)「集客」や「販売促進」といった、要するに「宣伝活動」がメインです。
集客や販売促進が必要な場所といえば…
・遊園地や動物園・水族館といった「テーマパーク」など。
・お祭りや企業の展示会・物産展などの「イベント会場」。
・デパートやスーパー、住宅展示場や量販店などの「お客様を集めて商品を販売したい」企業。
…等々です。キャラクターショーはこのような場所↑で行います。
(あくまで一般的に知られているような現場だけ書きました。実際には、もっと色々な…皆さんが聞いたらビックリするような(笑)本当に様々な場所でショーは行われます。また逆に、実は「ショー公演が禁止されてる」業種・場所もあるのですが、こちらは割愛させて頂きます。)
あまり知られていないかもしれませんが、「特別な、いくつかの現場」を除いて、基本的には「コンサートや演劇の公演」のように「お金をとって有料でショーを観せる」ことはしません。
遊園地のような「入場料が必要な会場」でのショーでも、「遊園地に入るのは有料」だけど「ショーを見るのは無料」というパターンが多いはずです。
③ショーってどんな感じでやるの?
キャラクターショーは基本的に「1日2回(たいてい午前1回・午後1回)、1回30分」公演です。
ショーの具体的な内容は、僕のnoteの他の記事をご参考頂きたいのですが
【キャラクターショーの内容】
ここでは、「実際、ショーの仕事は、どんな感じでやるのか?」という話をしたいと思います。
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④キャラクターショーの一日
1)まず早朝、都内の集合場所に集合します。キャラクターショーの朝は早いです。「朝6時半に新宿集合」とかが多いです。(メンバー募集の条件が「東京近郊在住」なのは、このためです。)
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2)全員集合したら、集合場所からワゴン車で現場まで行きます。通常、本番の3時間前には現場に入ります。※1
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3)現場に到着したら、みんなで手分けしてショーの準備を始めます。現場にもよりますが…【衣装を運搬袋から出して確認しながら並べる】【音響機材をセットする】【トランポリンやマットをセットする】【サイン会用の机をセットする】…などなどです。※2
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4)猛スピードで↑準備をしたら、ショーのリハーサルを始めます。事前にリハーサルをしてくる現場もあれば、当日朝に「全部」1から決めることもあります。【立ち回り】【芝居】【効果音などの段取り】本番が完璧にできるように、全てを確実に合わせていきます。※3
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5)本番30分前になると、会場にBGMを流し、司会のお姉さんのアナウンスが入ります。出演者は着替えを始めます。自力では着れない衣装も多々あるので、皆で互いに手伝って着替えます。
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6)本番1回目!
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7)本番終了後、ヒーローとの握手会・サイン会・写真撮影会などが(現場によって様々ですが)大抵あります。自分の出番が終わった人は、着替えてスタッフとして、進行を手伝います。
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8)握手会(サイン会・撮影会)が終了したら休憩。昼食。(飲み物や昼食は支給されます)※4
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9)休憩が終わったら再度リハーサル。そして2回目の本番30分前になったら再度会場にBGMを流し、司会のお姉さんのアナウンス。出演者は着替え。
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10)本番2回目!
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11)2回目の本番終了後も、ヒーローとの握手会・サイン会・写真撮影会などが大抵あります。自分の出番が終わった人は、着替えてスタッフとして、進行を手伝います。
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12)全てが終了したら、手分けして片付けを始めます。【衣装を(破損していないか?チェックしてから)運搬袋にしまう】【音響機材をしまう※5】【トランポリンやマットを片付ける】【出した机なども全て片付け、ゴミを拾う】…などなど。
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13)片付けが全て終了したら、衣装を車に積み、帰路につきます。
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14)衣装を返却します。
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15)朝の集合場所に戻り、解散。終了です!
※1…ほとんどの現場は「集合場所から皆でワゴン車に乗って(衣装も車に積んで)現場に行く」のですが、たまに電車で現場に入る事もあります。
※2…ウチの現場でいえば、「音響機材を自分たちでセットする(スピーカーや音楽プレーヤー、アンプやマイクを倉庫から出してきて、音が出るように接続・セッティングする)」のは特定の1現場だけです。
基本的にはウチの現場は、クライアントやイベント代理店に音響のセッティングや着替えテントの設置などはお任せしています。
※3…立ち回りや芝居の段取りを当日朝に全部つける現場は、新人さんにとっては試練の現場で、皆さん一様に顔が引きつりますが(苦笑)毎回必ず事前リハーサルが出来るわけでは勿論無いので…スピーディーに立ち回りや芝居の段取りを覚えることは、アクションマンの重要なスキルの1つになります。
※4…以前は朝食も支給していたのですが…東映の規定が変わり、ショーの現場も、テレビの撮影の現場も全て、現在は昼食のみの支給となっております…。
※5…音響機材の取り扱いは「コードを八の字に巻く」とか、ちょっと専門的な豆知識が必要になったりします。そんな事も1からお教えいたします!
⑤ヒーローショーのアクションをやるメリット
さて、ヒーローショーの一番の見せ場といえば、もちろん「アクション」シーンだと思います。
アクションチーム隼に入った新メンバーの方には、「ヒーローショーのアクション」を学んで頂きます。
ヒーローショーのアクションをおぼえると何が出来るか??
もちろんヒーローショーが出来ます(笑)
そして実は、それだけでは無くて…
今回「新メンバー募集」を始めて、多くの応募者(主に役者やタレント志望の方々)から「アクションのスキルが欲しい」「アクションの経験を積みたい」といった声を多々伺いました。
基本的には、ウチに来て頂く目的は「ヒーローショー出演」がメインなわけでして、お教えするスキルは「ヒーローショーに出演するスキル」なわけなのです。
ただ
「じゃあ、これからアクション女優やアクションできるタレントになりたい私は、ヒーローショーの経験なんて無駄?」かというと…
(これはあくまで僕自身の経験と考えですが)
ヒーローショーのアクションは「様々なアクションの土台」になるような、もの凄く汎用性のある優れたモノです。
なので、ヒーローショー以外で「アクション」を使った活動でも、ヒーローショーアクションのスキルは、もの凄く(芸能活動をやる上での)武器になります。
…と僕は思います。僕は、ですよ(笑)
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ヒーローショーアクションの具体的な技術の話は、これからnoteの別記事でどんどんご紹介していこうと思っているので、ここでは書きません。
ここでは「ヒーローショーのアクションが、なんで武器になるの?」…という話を、これから始める新人さんに向けてお伝えしたいと思います。
⑥ボディアクションの土台?
●とにかく大きく!
僕が習ってきて、そして今僕が皆さんに教えてるヒーローショーアクションの基本は、「とにかく大きく動く」です。
「変に力まずに、肩の力を抜いて」
「ちゃんと予備動作をして(大きく振りかぶって)」
「身体全部を使って」
「大きく踏み込んで」
「体重移動を使って」
ステージから、(何十メートルも先の)客席の一番後ろまで見えるように、1つ1つの動作を大きく動くのが、ヒーローショーのアクションの基本のド基本です。
「自分の身体を指先までコントロールして」「大きく振る」「大きく身体を使う」のは、実はとてもとても難しく、練習が必要な技術です。(ダンスや水泳・野球など、様々なジャンルでも「そう」だと思います)
そして「身体を大きく」使えると、そこから細々した動きを覚えてゆく事は、(先に細々した動きを覚えてから、大きい動きを練習するより)はるかに容易なのです。(と僕は思っています)
そういった意味で、僕は「ヒーローアクションは、ボディアクション※1の土台」だと思っています。
※1…ボディアクションとは、要するに「身体を使って行うアクション」全般の事です。カースタント(カーアクション)=車を運転するスタント、の対義語的な感じです。
⑦徹底的に観客の目を意識!
ヒーローショーのアクションの肝(大事なところ)は、実は「パンチやキックなど1つ1 つの技の細かい技術」では無くて、「徹底して観客の目を意識した技術論」です。(と僕は思っています)
「どうすれば『当たっている』ように見えるか?」
「どうすれば客席すべてに迫力が伝わるか?」
「どうすれば『ヒーローが強そう』に見えるか?」
…そんな「課題」を、「個々の技量に丸投げ」するのでは無く、ちゃんと系統立てて「技術理論」として確立しています。ヒーローショーのアクションは。
少なくとも僕は、師匠や先輩方から、そんな技術的な理論を教え込まれました。
「パンチやキックの『かぶせ』方」
「大きいステージと小さいステージでの立ち回りの付け方の違い」
「意味のあるリアクション(やられ方)」
…などなど、です。
そしてその理論は実は、ステージショーだけでは無く「映像作品のアクション」でも活用できる、汎用性のある理論だったりするのです。
「観客の目」を意識するか、「カメラ」を意識するか、という事なのですが。※1
…
という訳で、「ヒーローショーのアクション(の技術論)」は、ヒーローショーだけでなく、ボディアクション全般。舞台公演・テレビや映画などのアクションシーンでも活用出来る、と僕は思っております。
※1…映像に関しては、カメラが寄ったり引いたりアオったり俯瞰で撮ったり移動したり…と、「ステージを観てる観客の目線」と違って、「画角が絶えず変わって」いくのですが、
プレーヤーは、演出家に指示された「画角(こんな感じで撮ってるから)」を「観客の目」と捉えて対応していけば、ヒーローアクションの技術論は充分活用出来ると思います。
※注意!ここからはちょっと専門的な話になります。未経験者の方は、まだ読まなくても大丈夫、かもです。
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⑧ヒーローアクションとかリアルアクションとか香港アクションとか、そういう区分は、本当は無い。
最近はあまり言わないのかな?昔はよく
「ヒーローアクションをやってると変なクセがつく」
「ショーのアクションやってても、現代アクションは出来ない」
(現代アクションてカテゴリーが難しいんですが(^_^;)まぁ普通のドラマとか映画のアクションの事だと思います)
…みたいな話をされたことが多々ありました。
……………
こんな事を書くと多方面の皆さまから怒られてしまいそうですが(^o^;)
ヒーローアクションとか現代アクションとかリアルアクションとか香港アクションとか、そういう区分は、本当は無いのです。
えー、文言を付け加えると「プレーヤーにとっては」ヒーローアクションとか、現代アクションとか、リアルアクションとか、香港アクションとか、格闘技アクションとか、街中のケンカアクションとか…とにかく「アクションの区分みたいなものは、実はあまり意味を為さないものなのです。
…と僕は思います。僕は(笑)
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殺陣師・アクションコーディネーターは、常にあらゆる(アクション・格闘の)最新情報にアンテナを張って、格闘技の技だのCQCの技だのトリッキングの技だのを自分の知識の中にどんどん取り入れて、
クライアント(監督・演出家)にどんなアクションシーンを求められても設計できるように、アクションの幅をどんどん広く深くしてゆくのが仕事だと思います。
しかしアクションプレーヤー、特にヒーローショー以外の※1アクションプレーヤーの仕事は、殺陣師とかアクションコーディネーターが設計したアクションを「その通り」「そのまんま」やることが仕事です。
※1…ヒーローショーは、出演者が各々自分で「手をつける(アクションの段取りをつける)」ことが多いからです。
殺陣師やコーディネーターが考えに考えて設計したアクションを、プレーヤーが自分流にアレンジしてやるのは、アクション業界では通常、タブー中のタブーです。
つまりアクションプレーヤーに求められてるスキルは、
「おれはヒーローアクション・プレーヤーだ」
「僕はリアルアクション・プレーヤーだ」
「私は香港アクション・プレーヤーだ」
では無くて
殺陣師やコーディネーターがどんな手(アクションの振り付け)をつけても、それをこなせる万能的な能力なのです。
平場で、引きの画の長回しで、チンピラ同士の大ゲンカの手だろうと
1カット1手で、寄ったり引いたりアオったり上から撮ったりするようなアクションだろうと
空手とか柔道とか、実在する格闘技の使い手…みたいな設定の役のアクションだったとしても
殺陣師・コーディネーターに指示された事を、指示された通りにトレースして演じられる能力。それを求められるのがアクションプレーヤーの仕事です。
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で!
ここで話を戻しますと。
ヒーローショーアクションの(立ち回りの)基本のド基本は、前の章でも書いた通り
大きく動くです。
身体を自分の思った通りに、大きく使えるスキルは…「パシパシパンパン攻撃の応酬をするような細かい動き」「格闘技術なんか関係なく、感情だけでやり合うケンカ」…どんな動きであっても、必ず!か・な・ら・ず!基礎的な土台として、必ず役立ちます。
もちろんやる役によって、専門的なスキルの習得は必要になると思います。
その場でパっと「やれ!」と言われてもすぐ対応できないような独特なスキルは、事前に練習しておいた方がいいと思います。
例えば…プロレスラーの役をやるなら、やっぱり事前にプロレスの独特の技などの練習はしておいた方がいいと思います。
まあでもそれはヒーローショーアクションでも一緒で、例えば「ルパンエックス」を配役されたアクションマンは、きっとトリッキングを練習しようと思うでしょう。
僕が言ってるのは、どんな役であろうと、どんなシチュエーションであろうと、それがアクションシーン(戦う芝居=立ち回り)であるならば、アクションの基礎スキルは必ず必要になります。
そして、その基礎スキルは、「ヒーローショーのアクション」が最適である。と僕は思っているのです。
最後に…冒頭で言った「ヒーローショーをやってると変なクセがつく」的な話の説明なんですが…
例えば「立ち回りの途中にチョイチョイ、必ず大げさに構える。見得を切る」「パンチする時のグーの握りが、なぜか小指だけ握り込まない(?)」などなど…
見た方が「ん?」と思うような独特の動きは、「ヒーローショーアクションのクセ」では無くて、「その人、個人のクセ」です。
少なくともアクションチーム隼では、「その役に必要な動き」以外の、何か違和感があるような独特な動きは、指導しておりません。
⑨最後におまけ
最後に…ここまで書いた事は、あくまでアクションチーム隼のあしざわが、自分の経験を元に自分で考えてる事です。
僕の書いた事が「正解か」「不正解か」は、読んでくださった皆様がご自身で判断して、情報の取捨選択をなさってください。
僕は、15歳でキャラクターショーを始め、事務所の師匠や先輩方から「ヒーローショーのアクション」だけを、ずっと教わりました。
高校卒業後「アクションのプロ」になるべく、様々な現場に飛び込んで、様々なアクションをやって来ました。
ヒーローショーを山ほどやりました。そしてヒーローショー以外でも、
テレビや映画で、時代劇の忍者・侍・岡っ引き・騎馬武者。現代アクションのやられ役。香港映画でヤクザ。
アクションチーム隼を主宰してからは、アイドルやタレントの皆さんにアクションの指導。映画やテレビでアクションコーディネート、アクション監督。
…………………
僕が徹底的に学んだ基本の技術は「ヒーローショーのアクション」だけです。
もちろん、その時その時の現場で必要な「専門的な応用技術」は、別途学んで来ました。
でも僕のアクション(立ち回り)のベースは、間違いなくヒーローショーのスキルです。
でも、日光江戸村で忍者やっても、NHKの大河ドラマで有名な役者さんとタイマンで戦っても、香港映画で程小東監督のアクションのカラミをやっても、ジャニーズのタレントさんにアクション指導しても、
自分の技術が通用しなかった事は全く無く(通用しなかったらアクションの仕事クビです苦笑)、2020現在で、36年間ほどアクションの仕事をし続けています。
なので僕は
ヒーローショーのアクションは「様々なアクションの土台」になるような、もの凄く汎用性のある優れたモノです。
なので、ヒーローショー以外で「アクション」を使った活動でも、ヒーローショーアクションのスキルは、もの凄く(芸能活動をやる上での)武器になります。
…と、自分の経験を踏まえて、そう思っておりますm(uu)m
あくまで僕は、です(笑)
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今回は随分長くなってしまいました!(汗)
以上「【特別記事】キャラクターショーの仕事をするということ」でした!
最後までご覧くださりありがとうございました!ではまた。
【アクションチーム隼 代表 あしざわ】
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あしざわTwitter https://twitter.com/asikin99
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