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【ファルコンS(G3)回顧~その先へ】血統篇

【ファルコンSの結果】
レースは、好位でレースを進めたタマモブラックタイ(8人気)が、直線で内を突いて抜け出し、ゴール前で急追したカルロヴェローチェ(1人気)をハナ差振り切って優勝。さらに3馬身差の3着にサウザンサニー(14人気)が入り、大波乱決着??

傾向面からみると、「1番人気」は鬼門のレースで今年2着。「差し・追い込み」が有利のはずが、馬場(重)の影響もあり先行馬2頭での決着。「距離短縮馬」に注目も出走馬14頭中3頭の1頭が2着入線。

血統面からみると、「Danzigの血を引く馬」が出走馬14頭中5頭内該当のなかワンツー決着。さらに、母父ミスプロ系に注目すると出走馬14頭中3頭内該当のなか1頭が3着入線。今年も終わってみれば、直線の急坂でDanzigのパワーがモノを言う結果となったみたいだ!?

【血統傾向】
*昨年においては1着プルパレイ、2着タイセイディバイン、3着オタルエバー、と3着以内に好走した3頭すべてがDanzigの血を引いていた。

*前傾ラップになりやすく、最後の直線で急坂が待ち構えているコース形態からも、Danzigやノーザンテーストといったパワーに長けた血脈!!

2023年
1着父デクラレーションオブウォー(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
2着父シルバーステート(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父タリスマニック(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/欧

2022年
1着父イスラボニータ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
3着父リオンディーズ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧

2021年
1着父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2着父フランケル(ノーザンダンサー系/欧)×母父ミスプロ系/米
3着父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米

2020年
1着父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着父リアルインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米 
3着父ノヴェリスト(スターリング系/欧)×母父サンデー系/日

2019年
1着父ハービンジャー(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
2着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
3着父ノヴェリスト(スターリング系/欧)×母父サンデー系/日

【血 統 背 景】

タマモブラックタイ(牡3、栗東・角田晃一)は、父デクラレーションオブウォー×母タマモイヤリング(母父ブラックタイド)。父デクラレーションオブウォーは芝8Fと10Fの欧G1に勝ち、仏2000ギニー馬やメルボルンC勝ち馬を輩出するオールラウンダー。母父サンデーサイレンス系でHaloのクロス。父デクラレーションオブウォーも、母父ブラックタイドも、ともにパワー寄り(重厚な底力)の中距離血統。代母・タマモダイヤモンド(1200mで7勝)、3代母ダイヤモンドピアス(1200m以下で3勝)、祖母タマモピアス(未勝利だが、半弟は京阪杯勝ちのアースソニック)、母タマモイヤリング(1400mで2勝)と牝系を遡ったところから代々受け継がれてきたのが本馬。本馬は、短いところに距離適性があり、芝1400m以下では、今回の勝利を含めて「3-1-0-0」。

今回が2度目の重賞挑戦となるが、前回の新潟2歳S(9着)は、メイクデビュー小倉(芝1200㍍)で初陣を飾った直後のレース。今回は、1勝クラス・あざみ賞(小倉・芝1200㍍)を勝利し、勢いに乗っての参戦。そのあざみ賞は、道中を先行集団で運び、4コーナーで手応え良く先頭に並びかけると、直線でそのまま押し切った。これまでの3連対は全て稍重馬場でのもので、水分を含んだ馬場状態のほうが、より力を発揮できる可能性が高い!?

トップスタートを切った同馬は、道中控えて4番手をやや遅いペースのなか、リズムよく追走。直線に向くと最内を伸びて一気に先頭へ。対照的に仕掛けが遅れたカルロヴェローチェの猛追をハナ差だけしのぎ切って優勝。馬体重が500㌔を超える大型馬は2頭だけで、どちらもダート戦を経験した馬が1着(8人気)と3着(14人気)。

カルロヴェローチェ(牡3、栗東・須貝尚介)は、父シルバーステート×母スサーナトウショウ(母父ロックオブジブラルタル)。ヴェルテックスやトウショウピストの甥で、母母シーイズトウショウは短距離重賞5勝。シスタートウショウやトウショウオリオンなども近親。父シルバーステートは初年度からウォーターナビレラなどを出し人気種牡馬に。母父ロックオブジブラルタルはデインヒル産駒の名マイラーでミッキーアイルなどの母父。ハイレベルの新馬戦を完勝し、白梅賞も逃げ楽勝。野路菊の敗因が不明だが高性能は疑いない。

昨年6月のメイクデビュー阪神(芝1800㍍)で初勝利。当時の2着チャンスザローゼスがその後アイビーS(リステッド)を制覇。5着ドゥラエレーデがホープフルSをVと、レベルの高い一戦だった。前走の1勝クラス・白梅賞(中京・芝1600㍍ル)では、じわりとハナを奪うと、直線は後続を突き放し、2着に2馬身1/2差をつけて2勝目をゲット。メンバー中最速の上がり3ハロン34秒2をマークする完勝だった。

逃げ馬の後ろにつけ、序盤は少し折り合いを欠きながらの追走。引っかかったのは前走でハナを切ったことの影響か??直線は勝ち馬がやや強引に進路をとったのに対し、後ろに戻って態勢を立て直し残り200㍍から追い出した。ゴール前の脚では明らかに上回っていただけに、重賞を勝てるレベルの1頭!!

サウザンサニー(牡3、美浦・岩戸孝樹)は、父タリスマニック×母メイバンコック(母父ワークフォース)。

父タリスマニックの通算8勝、2着7回と15/23連対と安定した成績。連対できなかった8戦のうち、4戦は欧州のG1競走。ちなみに、父タリスマニックはサンデーサイレンスの血を持たない、Northen Dancerの4×4、Natalmaの5×5×5、Special=Thatchの5×5のクロスを持ち。父タリスマニックの牝系をさかのぼると、同馬の4代母はディープインパクトの祖母バーグクレア。同馬の母ハイクレアは歴史的名牝であり、ヨーロッパでも有数の超名門ファミリーの出身。

父タリスマニック×母父ワークフォースの欧州血統なら、芝の道悪がピッタリ!! 今後も馬場次第で、パワーを備え、走りにくい路面での脚運びを体得しているだけに穴を開ける要注意馬!?


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