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【府中牝馬S(G2)回顧~その先へ】血統篇

【府中牝馬Sの結果】
レースは、抑え切れない手応えで逃げたディヴィーナ(1人気舎)が、中団後方から脚を伸ばしたルージュエヴァイユ(4人気)にハナ差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にライラック(10人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、まずは「上がり最速馬」が[6-1-2-2]勝率54.5%、連対率63.6%、複勝率81.8%のハイアベレージも、上がり32.6秒のフィアスプライドが4着入線。次に「4枠」に入った馬が過去10年で6勝も、今年は4枠5番ルージュエヴァイユが2着入線。最後に「岩田康騎手」が[3-0-1-1]勝率60%、複勝率80%と神レベルの成績も、今年は22年の覇者イズジョーノキセキで9着でした。

血統面で、まずは非根幹距離で反主流血統が走りやすいなかで、「父が非サンデー系」に注目すると、出走頭数13頭中6頭内1頭(1着ディヴィーナ)が該当。さらに「母父欧州型」に注目すると、出走頭数13頭中7頭内2頭(2着ルージュエヴァイユ、3着ライラック)が該当。

トラックバイアスからみると、東京競馬場(芝)1800㍍コースは2角ポケットからのスタートでワンターンコース。長いバックストレッチを走るだけにペースは落ち着きやすく、瞬発力勝負になることが多い。

【血 統 傾 向】
非根幹距離で反主流血統が走りやすい!?

父が非サンデー系。その中でも大系統ノーザンダンサー系。
ダンチヒ系の血を持つ馬。
トニービン産駒は東京競馬場との相性がよい!?

過去5年における府中牝馬S 血統表

2023年
1着ディヴィーナ
父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2着ルージュエヴァイユ
父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着ライラック
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2022年
1着イズジョーノキセキ
父エピファネイア(ロベルト系/欧)×母父ミスプロ系/欧
2着ソダシ
父クロフネ(ノーザンダンサー系/米)×母父ミスプロ系/欧
3着アンドヴァラナウト
父キングカメハメハ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2021年
1着シャドウディーヴァ
父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着アンドラステ
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ロベルト系/米
3着マルターズディオサ
父キズナ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2020年
1着サラキア
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着シャドウディーヴァ
父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着サムシングジャスト
父ヴィクトワールピサ(サンデー系/日)×母父サンデー系/米
2019年
1着スカーレットカラー
父ヴィクトワールピサ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着フロンテアクイーン
父メイショウサムソン(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
3着ラッキーライラック
父オルフェーヴル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米

【府中牝馬S 血統背景】

ディヴィーナ(牝5、栗東・友道康夫)は、父モーリス×母ヴィルシーナ(母父ディープインパクト)。ブラヴァスの半妹で、シュヴァルグランやヴィブロスの姪で、母ヴィルシーナはヴィクトリアマイル勝ち馬。マーティンボロやフレールジャックも近親で、牝祖モーンオブソングはラーイの全妹にあたる名門ファミリー。モーリス×ディープインパクトはジェラルディーナやルークズネストと同じ。芝マイル重賞で2着がつづくが、前走が426キロで体型や体質は中距離っぽく見える(母もそんなタイプだった)。

春のヴィクトリアマイル4着をきっかけに本格化してきた印象で、中京記念、関屋記念と連続で2着に好走した。ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル連覇)を母に持つ良血馬。待望の重賞制覇に向けて、視界は良好!?

同馬は、スタートを五分に決めて、迷うことなくハナを奪いにいく。3角では後続を3馬身近く離す大胆な逃走劇。長い東京の直線も粘り強い末脚でしのぎ切り、猛追するルージュエヴァイユに鼻差で競り勝ち優勝。適正距離は16~1800㍍だが、遅咲きの牝系も勝負根性で押し切るだけの能力はある?? G1エリザベス女王杯参戦で、侮れない1頭だけに要注目!?

ルージュエヴァイユ(牝4、、美浦・黒岩陽一)は、父ジャスタウェイ×母ナッシングバットドリームズ(母父Frankel)。デインバランスの半姉。母ナッシングバットドリームズは不出走だが、父が名馬フランケルで母は凱旋門賞馬デインドリームという良血で、デインヒル3×3のクロスをもつ。父ジャスタウェイはハーツクライの代表産駒でダノンザキッド、テオレーマ、マスターフェンサー、ヴェロックスなどの父。血統どおりの重厚で力強いストライドで、エプソムCでは気合いをつけて先行し持続力を存分に活かした。

前走エプソムC(2着)以来約4か月の休み明けだが、帰厩後の美浦Wコースで自己ベストタイムを出しており、地力強化は明白。祖母が凱旋門賞馬デインドリームという筋の通った牝系の出身で、今季のさらなる飛躍に期待したい!?

同馬は、スタートがひと息で後方からの競馬。徐々に位置を上げ、直線大外から伸びたが、大逃げを打った勝ち馬には鼻差届かず2着。本来は今回のように末脚を生かす競馬を身上とするタイプで、東京の瞬発力勝負でこそだが、その分、流れに左右される面もあり要注意馬!?

ライラック(牝4、美浦・相沢郁)は、父オルフェーヴル×母ヴィーヴァブーケ(母父キングカメハメハ)。父オルフェーヴル×母ヴィーヴァブーケ(母の父キングカメハメハ)。半兄にブラックホール、近親にクォークスターやトーセンジョウオーがいる血統で、ダイワメジャーやダイワスカーレット、ヴァーミリアンが出たスカーレツトインクに遡る牝系。オルフェーヴル×キングカメハメハはショウリュウイクゾやタガノディアマンテなどストライドで走るタイプが出やすい。438キロの薄手のオルフェ産駒だから長距離は合う。

驚かされたのが昨年のエリザベス女王杯。牝馬三冠で桜花賞16着、オークス11着、秋華賞10着と苦戦していたのがうそのような直線一気の脚を見せ、2着まで追い上げた。今年に入り日経賞4着、目黒記念9着、宝塚記念17着と苦戦続き。オルフェーヴル産駒らしく、スタミナとパワーに寄ってるため東京1800㍍だと少し忙しいかも?? ただ今回、馬体を立て直して状態は春より良く、牝馬同士なら結果を出したい!?
 
10番人気と人気を落としていた同馬は、道中好位で運び、馬群を割って伸びたが上位2頭にはわずかに及ばず3着まで。昨年のエリザベス女王杯(重馬場)2着など戦歴をみれば、ステイゴールド系特有の時計がかかる舞台で力を発揮するタイプ。オルフェーヴル産駒は秋に強く、ラッキーライラック、マルシュロレーヌが躍動したのは5歳秋であり、4歳同馬の今後に注目!?


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