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【紫苑ステークス(G2)回顧~その先へ】血統篇

【紫苑Sの結果】
レースは、後方から直線で馬群を縫って伸びたモリアーナ(4人気)が、好位から先に抜けたヒップホップソウル(2人気)を差し切り、1/2馬身差をつけ優勝した。さらに1.1/4馬身差の3着にシランケド(9人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、まずは「前走オークス出走馬」は[4-4-4-20]複勝率37.5%で現在3連勝中を検証、今年は同6着ヒップホップソウル、同13着エミューの2頭内ヒップホップソウルが2着入線。また、「関西馬」に注目すると、今年は5頭内シランケドが3着入線。最後に「8枠」が[4-2-2-10]複勝率44.4%の好成績を検証すると、今年は9着(エミュー)が最高着順。

血統面で、「欧州指向の血が有効!?」に注目すると、出走馬17頭中父欧州型7頭内2頭(1着モリアーナ、3着シランケド)、母父欧州型4頭内1頭(2着ヒップホップソウル)が該当。

トラックバイアスからみると、Bコース初日。重馬場でスタートしたが、午後からは稍重へと変わった。走破時計は水準からマイナス1秒程度で、馬場状態の影響はほとんどなく、レコードタイムが出るなど、速い時計の求められる馬場であった。全レースで4角通過3番手以内の馬が馬券圏内に入っており、ハイペースとなった紫苑ステークスでは差し馬が台頭したが、基本的には先行馬有利であり、後方一気で好走するのは難しかった。結果だけを見ると外枠の馬が多く来ていたが、そのほとんどが先行してラチ沿いを確保した馬であり、いかに内を通るかが肝となる馬場であった。

【血 統 傾 向】
欧州指向の血が有効!?
父が欧州型。
父ディープインパクトで母父が欧州型かノーザンダンサー系(大系統)。

2023年
1着モリアーナ
父エピファネイア(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2着ヒップホップソウル
父キタサンブラック(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着シランケド
父デクラレーションオブウォー(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
2022年
1着スタニングローズ
父キングカメハメハ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2着サウンドビバーチェ
父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着ライラック
父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2021年
1着ファインルージュ
父キズナ(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米
2着スルーセブンシーズ
父ドリームジャーニー(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着ミスフィガロ
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧
2020年
1着マルターズディオサ
父キズナ(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/米
2着パラスアテナ
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
3着シーズンズギフト
父エピファネイア(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2019年
1着パッシングスルー
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2着フェアリーポルカ
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
3着カレンブーケドール
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米

【血 統 背 景】

モリアーナ(牝3、美浦・武藤義則)は、父エピファネイア×母ガルデルスリール(母父ダイワメジャー)。バシレウスライオンやダノンフェニックスの甥で、母ガルデルスリールはJRA2勝(芝1600~1800)。ウインドインハーヘアと同じバークレアに辿り着く牝系だ。母父ダイワメジャーはショウナンナデシコ、グランブリッジ、ナミュールなど最近走っている。母系がダイワメジャーにチーフズクラウンだからパワー型で、距離的にはマイルよりも中距離向きの血統。父エピファネイアは菊花賞とジャパンCに勝ちエフフォーリアやデアリングタクトなどを輩出。ハビタット5×5の影響も強いしなやかマイラーで、性能はここでも屈指だが、内2000で器用に立ち回れるタイプ。

後方待機策の同馬が全てをさらって勝利。元々同馬は、血統から距離はマイルよりも中距離向きだっただけに当レースで開花した。父エピファネイアは菊花賞を勝ち、4歳でジャパンCを制した経緯から秋に頂点が訪れるリズムと、3歳秋に一段あがる成長曲線は同馬にも重なってくるだけに、次走(秋華賞)も期待したい1頭!!

ヒップホップソウル(牝3、美浦・木村哲也)は、父キタサンブラック×母ダンスファンタジア(母父ファルブラヴ)。ダノンファストの半妹で、カイザーバルやシャドウダンサーの姪で、バジオウのイトコ。母ダンスファンタジアはフェアリーS勝ち馬。母母ダンスインザムードはダンスインザダークやダンスパートナーの全妹で桜花賞馬。父キタサンブラックは年度代表馬でイクイノックスやソールオリエンスを出し成功。母はフェアリーキングが強く機動力に富むマイラーだったが、本馬は母父がファルブラヴなので中距離向きの血統構成。斬れるタイプではないので中山のような小回りコースは向く。道悪になれば更に良いし、距離も2000㍍は歓迎。曽祖母ダンシングキイにさかのぼる名牝系の出身。祖母ダンスインザムードはGⅠ2勝を挙げ、母ダンスファンタジアはフェアリーSを優勝。父にキタサンブラックを配した血統背景は一級品。本馬も、ひと夏を越えてさらなる活躍を期待したい!?

同馬は、好位から自力で勝ちにいって2着。父キタサンブラックも菊花賞馬で、3歳秋から4歳にかけてスケールアップした晩成型だけに、次走(秋華賞)も期待したい1頭!!

シランケド(牝3、栗東・牧浦充徳)は、父デクラレーションオブウォー×母フェアブルーム(母父ディープインパクト)。祖母のビーフェアーはブラジルでディアナ大賞などGIを3勝挙げた名牝。近親にもブラジルで活躍したヴァージニーのいる血統。父のデクラレーションオブウォーはダンジグ系大種牡馬ウォーフロントの後継で、トップナイフやセットアップなどの父。身のこなしが割と柔らかいのでベストは大箱コースも、小回りは対応出来る。良馬場でやりたい!?

デクラレーションオブウォー産駒は使いながら良化していき、間隔が詰まっても走れる。中山は札幌、新潟に次いで勝率が高い。同馬も休み明け3戦目、中2週の中山替わりと好走する条件がそろっていたが、出遅れ癖があり、後方からの競馬だけに次走(秋華賞)も展開次第??


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