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【高松宮記念(G1)回顧~その先へ】血統篇

【高松宮記念の結果】
レースは、好位集団でレースを進めたファストフォース(12人気)が、直線で馬場の真ん中から抜け出し、その外から追い込んだナムラクレア(2人気)に1馬身差をつけ優勝。さらに1/2馬身差の3着にトゥラヴェスーラ(13人気)が入り、今年も大波乱決着??

傾向面からみると、「1番人気は苦戦傾向」は今年の1人気馬メイケイエール(12着)で継続。一方で、「2・3番人気が活躍中」の2人気馬ナムラクレアが連対(2着)したので継続。「穴馬の激走に要注意」は、今年も波乱決着??なので継続。

血統面からみると、「父と母父がともに非サンデー系の馬が良い」から出走馬18頭中7頭内から優勝したファストフォースが該当。さらに、「Storm Catの血を引く馬が2019~2021年に3連覇している」なかで、「父系にStorm Catの血を引く馬」に絞ると出走馬18頭中5頭内から優勝したファストフォースが該当。ただ、2着馬ナムラクレアは母父がStorm Cat(出走馬18頭中1頭)。3着馬トゥラヴェスーラは、昨年4着の実績も父ドリームジャーニーから今年のような不良馬場に向いていた。

【血 統 傾 向】
①短距離◎のスピード志向の強い血統を狙え!?
馬券内15頭中8頭が父も母父も非サンデー系
*短距離向きのスピードが強化されていれば問題ない。特に注目の短距離志向◎のスピード血統(ロードカナロア産駒、父ミスプロ系、Danzig、Buckpasser)

②スタミナに関する血統も補完されていると◎
過去5年でマイルG1勝ち馬の好走も目立つ!!
「スプリンターズSはザ・スプリンターな馬を、高松宮記念は1400、1600㍍もこなせる馬を狙え!?」最後の直線も長いので、Roberto や Nijinsky を持ち、スタミナも補完されている方が安心できる。

2023年
1着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ナスルーラー系/欧
2着父ミッキーアイル(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着父ドリームジャーニー(サンデー系/日)×母父ナスルーラー系/欧

2022年
1着父ゴールドアリュール(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
2着父Point of Entry(ロベルト系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
3着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ナスルーラー系/欧

2021年
1着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父ダイワメジャー(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ステイゴールド(サンデー系/日)×母父ミスプロ系/欧

2020年
1着父Speightstown(ミスプロ系/米)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ナスルーラー系/米
3着父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日

2019年
1着父Scat Daddy(ノーザンダンサー系/米)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父アドマイヤムーン(ミスプロ系/米)×母父ナスルーラー系/米
3着父ジャングルポケット(ナスルーラー系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米

【血 統 背 景】

ファストフォース(牡7、栗東・西村真幸)は、父ロードカナロア×母ラッシュライフ(母父サクラバクシンオー)。アデイインザライフの半弟で、タガノデンジャラスやバアゼルリバーの甥で、メイショウナルトやエピカリスも近親。母ラッシュライフはファンタジーSと函館2歳Sで2着。ロードカナロア×サクラバクシンオーはキルロードやペプチドバンブーと同じ。祖母・フレンドレイはデインヒル産駒。ノーザンダンサー3×4、バックパサー4×4、さらにはフラワーボウルとチャイナロックを通じる「ハイペリオン(Hyperion)+サンインロー(Son in Law)」の脈絡もあり、屈強さを増幅させる構成。血統どおりのスプリンターで、牝系譲りのパワーも兼備し坂コースもOK。

以前とは違って最近は控える競馬が板についてきた。馬体も以前はトモの張りだけが非常に目立っていたが、今は前後躯のバランスが良くなっている。その辺りがかみ合って、前走(G3シルクロードS )のような競馬ができれば差はない。

同馬のイメージは、「逃げ馬」。前走(G3シルクロードS )では、4角5番手から差して2着。G1高松宮記念では、外目で折り合いをつけ、リズムを乱さず走らせた手腕も合わせ、人馬の極悪馬場への対応力が嚙み合っての勝利。スピード一辺倒のままならば、このG1勝利はなかったはず!? ただ同馬はこの勝利で芝重・不良【2-1-0-1】の道悪巧者でもあった。

ナムラクレア(牝4、栗東・長谷川浩大)は、父ミッキーアイル×母サンクイーン2(母父Storm Cat)。ナムラムツゴローの3/4妹。3代母クードジェニーはマキャベリアンの全妹の仏2歳女王で、子孫にバゴやファンディーナなど活躍馬多数の名繁殖でもある。父ミッキーアイルはマイルG1を2勝したディープインパクト産駒で、メイケイエール、ララクリスティーヌ、ピンハイなど牝駒がよく走る。スプリンターとしては走りがしなやかなのもメイケイと似ていて、1200~1400の高速決着に自信。シルクロードもさすがの差し切りだった。

2021年阪神ジュベナイルフィリーズ5着、2022年桜花賞3着と世代限定牝馬GⅠでも上位争いを演じたが、ベストは〔4-0-1-1〕の芝1200㍍戦だろう。重賞3勝も当距離でマーク。昨年のスプリンターズSは、内を回った内枠勢の台頭が目立つなか、5枠9番から外へ出す競馬で5着を確保。今年初戦のシルクロードSは、メンバー中最速の上がり3ハロン32秒9(推定)の末脚で差し切りV。前走時から栗東CWコースでの調教も取り入れ、瞬発力に磨きがかかってきた。2度目のスプリントGⅠで待望のタイトルを狙う。

同馬は、ファストフォースの内側からレースを進め、最後は進路を大外へ。シルクロードSで繰り出した上がり32.9はこの馬の真の力であり、これを削がれる馬場は確かに痛かった。良馬場ならチャンスはあるだけに、今後も要注目馬。

トゥラヴェスーラ(牡8、栗東・高橋康之)は、父ドリームジャーニー×母ジャジャマーチャン(母父アドマイヤコジーン)。トオヤリトセイトの全兄でクライスマイルのイトコ。母ジャジャマーチャンはスプリンターズS勝ちアストンマーチャンの全妹にあたる。ステイゴールド×アドマイヤコジーンはウインブライドなどが出て大成功したが、ダイナサッシュ≒アドマイヤマカディのニアリークロスになるのがポイント。ドリジャ産駒らしいピッチのきいた差しで、昨年の高松宮では重馬場のインを捌いてクビ・ハナの4着。ベストは1400、時計のかかる馬場。

この日はひとつ年下の全弟トオヤリトセイトが不良馬場の中山10R春興Sで12番人気3着、重馬場だった阪神メイン六甲Sではザイツィンガーが13番人気3着とドリームジャーニー産駒の高齢馬が立て続けに穴を叩き出していた。ステイゴールド系は極悪馬場のような悪条件に強く、ことさらドリームジャーニー産駒は産駒デビューから道悪が大好き。トゥラヴェスーラ、トオヤリトセイト兄弟はまさにデータ通りの激走だった。


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