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【弥生賞(G2)回顧~その先へ】血統篇

【弥生賞の結果】
レースは、好位でレースを進めたタスティエーラ(3人気)が、直線で先頭に立って押し切り、内を突いたトップナイフ(1人気)に1馬身差をつけ優勝。さらにクビ差の3着にタイ・ワンダイレクト(2人気)が入り、本命決着!!

傾向面からみると、前走「G1」組は出走馬10頭中2頭内=前走ホープフルS5着以内まで絞ると1頭(2着トップナイフ)。ただ、出走数「2~5」戦の馬は、2着トップナイフ(7戦)以外の9頭が該当。今年もディープインパクト産駒不在も、母父ディープインパクト1頭。(3着ワンダイレクト)

血統面からみると、今年もディープインパクト産駒不在で転換期を迎えている。ディープインパクト産駒以外で勝利した馬で、目に留まるのはMachiavellianの血脈。(15年サトノクラウン、12年コスモオオゾラ、10年ヴィクトワールピサ、09年ロジユニヴァース)今年の出走馬10頭中1頭が該当。(父母母父Vettori/タスティエーラ=1着)ちなみに、母父ディープインパクトは出走馬10頭中1頭。(3着ワンダイレクト)

【血統傾向からわかる事柄】
①種牡馬価値が重要なレース!? (今後の種牡馬戦線を占う重要な1戦)
・ディープインパクト産駒不在の年に勝ったのはドゥラメンテ産駒 
         (昨年ドゥラメンテ産駒が中央G1を6勝して大躍進!!)
・ディープ産駒、ハーツ産駒以外の好走馬はG1級の馬 
         (種牡馬のポテンシャルがかなり重要になってくる!?)

②母系は重たい血統の方がプラス!? 
(小頭数&スローペースで決着タイムが遅くなることで、
              高速決着では分が悪い血統が浮上している)
・ドイツ牝馬 (ドイツは欧州のなかでも特に重たい条件
             →ハーツクライとの配合で穴馬の好走を輩出)
・Sadler7s Wells : 欧州のタフな条件では必須血統
・Sharpen Up : 欧州短距離、他の中山重賞でも◎

近5年1着〜3着の父、母父の系統
2023年
1着父サトノクラウン(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
2着父デクラレーションオブウォー
      (ノーザンダンサー系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ハービンジャー(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日

2022年
1着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
2着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米
3着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ハンプトン系/欧

2021年
1着父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2着父キングマン(ノーザンダンサー系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧

2020年
1着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/米
2着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧

2019年
1着父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2着父ハーツクライ(サンデー系/日)×母父スターリング系/欧
3着父ヴィクトワールピサ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧

【血 統 背 景】

タスティエーラ(牡3、美浦・堀宜行)は、父サトノクラウン×母パルティトゥーラ(母父マンハッタンカフェ)。父は15年弥生賞の勝ち馬で、現3歳世代が初年度産駒となる注目の新種牡馬。13年カミノタサハラ、16年マカヒキ、17年カデナ、19年メイショウテンゲン等を引き合いに出せば、本馬は2代母の父にフレンチデピュティの血を引いている。今年はディープインパクト産駒不在で転換期を迎えているだけに、新たな勢力の筆頭??

2番人気に支持された前走の共同通信杯は、好スタートを決めてスッと前に取りついたが、出遅れたタッチウッドが途中から先頭に立つと、ポジションを下げて5番手を追走。中盤のペースが緩んだこともあって上位2頭とは位置取りの差が出たが、直線では外からじわじわと脚を伸ばし、2着タッチウッドとクビ+ハナ差の4着に入った。

弥生賞は、序盤600m35.9、前半1000m通過1:01.0の落ち着いた流れになり、目立って動く馬もいない淡々とした大人なレースになった。後半1000mは59.4、最後600m35.0。そのラップ構成は12.3-12.1-11.6-11.5-11.9。好位から抜け出した同馬は文句なし。休み明けを1度使った上積みが、クラシック路線に駒を進めた!?

トップナイフ(牡3、栗東・昆貢)は、父デクラレーションオブウォー×母ビーウインド(母父スピニングワールド)。ステラウインドやスマートルビーの半弟で、牝祖ワンスウェドからはテイエムオペラオー、チャンネルフォー、メイショウソラーレなどが出る。父デクラレーションオブウォーは芝8Fと10Fの欧G1に勝ち、仏2000ギニー馬もメルボルンC馬も北米ダートG1馬も出すオールラウンドな種牡馬。本馬はブラッシンググルーム4×4をもつ逃げ差し自在の中距離馬で、凄い斬れ味こそないが地力も確か。中山内回りはピッタリ!!

2走前の京都2歳Sは、中団のインを追走。4コーナーでゴチャつくシーンはあったが、直線は馬群の内からしぶとく脚を伸ばし、最後は勝ったグリューネグリーンに際どく迫ってアタマ差の2着に敗れた。前走のホープフルSは、同型を制してハナを主張。スローペースに持ち込み、直線はドゥラエレーデとの激しい追い比べ、首の上げ下げでハナ差の2着に敗れた。春のクラシックに向けて、ここは負けられない一戦!?

同馬は、控えてインの3番手で我慢し、内を抜けてきた。記録した上がり600m34.9はホープフルSと変わらず、道中のペースもほぼ同じ。控える競馬を試みるにはちょうどいい流れになり、ある程度手応えをつかみ、やれることはやれたレースで陣営にとって収穫はあっただけに、次走も要注意!?

ワンダイレクト(牡3、栗東・藤岡健一)は、父ハービンジャー×母ワントゥワン(母父ディープインパクト)。祖母ワンカラットは6~7ハロンの重賞を4勝し、母ワントゥワンはマイルの重賞で2着が3回。曽祖母バルドウィナは仏GⅢペネロープ賞の勝ち馬で、産駒には前出シンハライトをハナ差退けて、16年の桜花賞馬に輝いたジュエラーもいる。ディープインパクト×ファルブラヴという配合は桜花賞馬のハープスターと同じ。ワントゥワンの初子となるワンダイレクトだが、父がハービンジャーだけに2000㍍以上が守備範囲。ノームコア、ディアドラ、ペルシアンナイトにベルーフなど中山芝2000㍍重賞連対馬が多く名を連ねるハービンジャー産駒。

12月4日のメイクデビュー中京(芝2000㍍)は、スッと控えて中団のインで折り合いに専念。スローペースだったが、直線に入ってから外へ出し、ラスト400㍍付近で進路を確保すると、一気に先頭を捕らえて快勝。前走の若駒S(リステッド・中京・芝2000㍍)は初戦に続く最内枠スタートから、2、3番手のインを追走し、直線では馬場の中ほどから一度は完全に抜け出すシーン。最後はマイネルラウレアの瞬発力にハナ差屈して2着に敗れたが、内容的には勝ちに等しいもの。同距離のここも好勝負は期待したい!?

同馬(3着)は、1、2着馬とは位置取りと通ったコースの差もあったが、正攻法できっちり皐月賞出走の切符をつかみ最低限の目標はクリアした。ルメール騎手は距離(16~1800㍍)がギリギリだとジャッジしたようだが、この結果で改めて若駒Sで負けたマイネルラウレアの強さを確認。

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