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【小倉記念(G3)回顧~その先へ】血統篇

【小倉記念の結果】
レースは、好位から脚を伸ばしたエヒト(3人気)が、逃げたテーオーシリウス(5人気)に2.1/2馬身差をつけ優勝。さらに1馬身差の3着にゴールドエクリプス(2人気)が入り、中波乱決着!?

傾向面からみると、「3勝クラスからの格上挑戦馬」に該当アップデートは12着。次に「小倉で勝利経験あり」に該当する3頭(マリアエレーナ、アップデート、エヒト)からエヒトが1着。最後に「前走から斤量増馬」が[2-2-2-5]複勝率54.5%のハイアベレージに該当したカテドラルが11着。

血統面で、「トニービンの血が古くから爆発するレース」に注目すると、出走馬16頭中6頭内1頭(エヒト)が1着。また、「欧州指向の血」に注目にすると、父欧州型が出走馬16頭中9頭内2頭(エヒト、ゴールドエクリプス)が1,3着。さらに、母父欧州型が出走馬16頭中4頭内2頭(テーオーシリウス、ゴールドエクリプス)が2,3着。ちなみに、父×母父が共に欧州型は出走馬16頭中1頭(3着ゴールドエクリプス)のみだった。

トラックバイアスからみると、開幕週に小倉記念が行われるようになったのは2020年以降、今回が4回目。2020年以降、過去3回の小倉記念では最初のコーナーを4番手以内で通過した馬が1頭も3着内に好走しておらず、3着内に好走した9頭は全て上がりが3位以内。末脚のしっかりしたタイプが狙い目!?

【血 統 傾 向】
欧州指向の末脚が伸びる血!?
グレイソヴリン系、プリンスリーギフトの血を持つ馬。
他には、ディクタス(ファイントップ系)、ハービンジャーの血も注目。

2023年
1着エヒト
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着テーオーシリウス
父ジャスタウェイ(サンデー系/日)×母父ロベルト系/欧
3着ゴールドエクリプス
父ドゥラメンテ(ミスプロ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/欧
2022年
1着マリアエレーナ
父クロフネ(ノーザンダンサー系/米)×母父サンデー系/日
2着ヒンドゥタイムズ
父ハービンジャー(ノーザンダンサー系/欧)×母父サンデー系/日
3着ジェラルディーナ
父モーリス(ロベルト系/欧)×母父サンデー系/日
2021年
1着モズナガレボシ
父グランプリボス(ナスルーラ系/欧)×母父ノーザンダンサー系/米
2着ヒュミドール
父オルフェーブル(サンデー系/日)×母父ナスルーラ系/欧
3着スーパーフェザー
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2020年
1着アールスター
父ロードカナロア(ミスプロ系/欧)×母父ファイントップ系/欧
2着サトノガーネット
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/欧
3着アウトライアーズ
父ヴィクトワールピサ(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
2019年
1着メールドグラース
父ルーラーシップ(ミスプロ系/欧)×母父サンデー系/日
2着カデナ
父ディープインパクト(サンデー系/日)×母父ノーザンダンサー系/米
3着ノーブルマーズ
父ジャングルポケット(ナスルーラ系/欧)×母父ロベルト系/米

【血 統 背 景】

エヒト(牡6、栗東・森秀行)は、父ルーラーシップ×母ヒーラ(母父ディープインパクト)。ドリームビリーバーやオーロールの半兄で、母ヒーラはJRA3勝。牝祖グランシングはアランベール賞(仏G3・芝1000m)勝ち馬で、子孫にボールライトニングやデグラーティアなどが出る。ルーラーシップ×ディープインパクトはキセキ、ドルチェモア、ビッグリボンなど活躍馬が多い。母系の奥のデインヒル、サドラーからも斬れるというよりはコーナーからジワりと上がっていく小回り向き。

同馬は、今年の2月サウジアラビアのレッドシーターフH(G3・芝3000㍍)で海外初挑戦を果たすも、結果は7着。帰国初戦となった前走の七夕賞も不完全燃焼の8着も、スタートも悪く、ペースも落ち着いた分良さが活きなかった。巻き返しは十分可能!?

同馬はスタートひと息ではあったが、テーオーシリウスが逃げてできたスペースを利用し、巧みにリカバリーして好位のインを奪取。瞬発力を問わない流れと先行有利な馬場。これが同馬エヒトと噛み合った。外をまくって上がり3ハロン34.4で抜け出し優勝。同馬は、典型的なルーラーシップ産駒のロングスパート型だけに、特定の流れであれば強い。引っ張る馬がいる小回りの中距離戦が、今後もそういった設定ならベスト!!

テーオーシリウス(牡5、栗東・奥村豊)は、父ジャスタウェイ×母ハロースカーレット(母父シンボリクリスエス)。曾祖母がスカーレットローズなので近親にサカラートやヴァーミリアンなどが出る名牝系で、タイセイアベニールのイトコ。父のジャスタウェイはハーツクライの後継で、ドバイDFや天皇賞・秋、安田記念を制した名馬で、ダノンザキッドやヴェロックスなどの父。母父シンボリクリスエスはロベルト系で、レイデオロやソングライン、オーソリティなどの母父。距離は少し長い印象も、小倉のスピード決着は合う。開幕週も悪くないし楽に行ければスンナリ残る可能性も十分??

同馬は、全4勝のうち芝で挙げた3勝は全て逃げ切りでマーク。前走の函館記念(16着)は外枠(7枠14番)から主導権を奪えず、自分のリズムで運べなかった。マイペースに持ち込むことができれば、一変も可能

2着の同馬は、単騎で行ければ、後半早めにスパートをかけ、持続力勝負に持ち込める型をもったタイプ。むしろ大敗後こそ買いという逃げ馬の典型パターンだっただけに、今後は要注意!?

ゴールドエクリプス(牝4、栗東・大久保龍志)は、父ドゥラメンテ×母ゴールドグローリー(母父ハービンジャー)。ゴールドハイヤー、ゴールドバランサーの兄弟で、祖母のハチマンダイボサツはJRA5勝。父ドゥラメンテは皐月賞、ダービーの2冠馬で、タイトルホルダーやスターズオンアース、リバティアイランドなど活躍馬を多く輩出。キングマンボ系×母父ハービンジャーはべラジオオペラと同じ。父が欧州型でトニービンを持つ種牡馬。欧州型でトニービンを持つ種牡馬は古くから小倉記念に高い適性を示す。ドゥラメンテ産駒の同馬は、母父もハービンジャー。同種牡馬の産駒は当レースで3頭が連対。加えて当レースで注目の格上挑戦馬。

2走前・紫野特別(2勝)が4角3番手通過から、上がり最速タイ33秒2で差し切り。レース全体のラスト2ハロンが10秒8-11秒2と優秀で、ラスト1ハロンは京都改修後で2番目に速かった。格上挑戦の前走・マーメイドS(GⅢ)は4角で大外を回りながら、上がり4位を使って0秒6差の4着と善戦。直線に急坂のある阪神、中山が【0-0-0-4】に対して、直線が平坦の小倉、京都が【3-1-0-0】の好成績だけに期待したい!?

同馬は、差し馬が台頭しにくい馬場に泣いた3着。真夏の長距離輸送を挟みながらも馬体重プラス8㌔と充実、重賞で安定した成績を残し、今後はハンデ差がなくても走れるか注目したい1頭。


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