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あの日の「Maybe Blue」

どのアーティストにも、生で聴きたいけどなかなか聴けない曲ってあると思う。昔の曲でもうキーが出ないだとか、今の雰囲気に合わないだとか、単純に本人(達)がその曲を気に入ってないだとか。まぁ理由は色々あると思うんだけど、自分の好きな曲がそこに当てはまってしまうことほどツライことはない。でもその分聴けた時の喜びは、何にも代えがたいものだ。

「Maybe Blue」はユニコーンが一度解散する前から相当なレア曲だったようだ。初期の代表曲的な立ち位置の曲だけど演奏されていたのはその当時だけで、ABEDON加入後はフル尺での演奏という形では一度もやっていない?のかな?何分その頃をリアルタイムで知らないので詳しくはわからないのだけど、生で聴いたことのあるファンより聴いたことのないファンの方が圧倒的に多かったんじゃないかと思う。
当時からこれだけレアだったのだから、解散後にファンになった私からすれば「Maybe Blue」は正に“幻の名曲”だった。

ユニコーンが見事再結成を果たした後、まず私の頭によぎったのは『果たして Maybe Blue をやる日は来るのか?』だった。
再結成後初めてのツアー前に行われたシークレットライブの日、私はそのセットリストに狂喜乱舞していた。はずれたのでPCの前で、だけど。でもその中に「Maybe Blue」の文字はなかった。まぁあまのじゃくなおじさんたちのことだしってそこまで期待していたわけでもなかったから、ショックはそこまででもなく。
っていうかまず私にとっての初めての生ユニコーンはどれもこれもが初めて生で聴く曲だったので、満を持して迎えた初ライブは1曲目から大号泣。「Maybe Blue」をやろうがやらまいがショックもくそもなかったのである。

そしてその後、EBI念願の夏フェスやイベント等でも「Maybe Blue」が披露される機会は訪れず『果たして Maybe Blue をやる日は来るのか?』という思いもぼんやりとしてきた再結成から2年後の夏、その時は突然やって来たのだった。

再結成後2枚目のアルバム「Z」を引っ提げてのツアー「ユニコーンがやって来る zzz...」。
隅から隅までネタバレを回収し万全で挑んだ前回のツアーから一転、ちょうどその頃プライベートで色々と変化のあった私はレポを追う余裕がなくネタバレ一切無しの状態でライブ当日を迎えていた。まさかこの、図らずも行ったネタバレ封じが見事功を奏するとは、開演を待つ私は知る由もないのである。
運命の瞬間はわりと序盤で訪れた。よりにもよって(?)現ユニコーンの始まりの曲である「WAO!」の後にそれは選曲されていた。私の耳に、今日この日まで何度も何度も聴いてきたあのイントロの音が響く。会場が割れんばかりの悲鳴と歓声に包まれる。私も絶叫した。したのは覚えているんだけど、今自分の耳が聴いている曲が「Maybe Blue」だって理解するのに相当な時間がかかったんだろう、きっと。この日の「Maybe Blue」の記憶はほとんどないのだ。後に出たDVDの映像でなんとか補完している感じ。
民生がのっしのっしと歩きながら歌っていたのはなんとなく覚えてる。あと「Maybe Blue」の後が「シンデレラアカデミー」で、舞台もちょっと舞監なき戦いツアー(ユニコーンメドレーにMaybe Blueが組み込まれていてシンデレラアカデミーも入っていた)みたいな組み方だったから、なんかあの時のメドレーみたいだなって思ったことだけはめちゃくちゃ覚えてる。
それだけ。
その後も心ここにあらずみたいになってしまったのが今となっては悔やまれる。他にもこれが来るかー!みたいなマニアックな曲がたくさんあったはずなのに……。
このツアーは1本しか参加しなかったので(今となればよくそれで大丈夫だったな!)いまだにあれは夢だったのでは?と思ってしまう。でもちゃんと映像として記録に残っているし、紛れもなく「Maybe Blue」はフル尺で演奏されているのだ。夢じゃなかった。私はこの耳で生音の「Maybe Blue」を聴いて、川西さんが、テッシーが、EBIさんが、ABEDONが「Maybe Blue」を演奏する姿を、民生がハンドマイクで「Maybe Blue」を歌う姿をこの目で観たのだ。

記念すべき再結成後初めてのツアーではやらずに、きっと誰もが「やっぱりやらないよね~」と半ば諦めたこのタイミングで出してきたの本当に本当にずるいな。でもそうだよね、そんなベッタベタなタイミングでなんてやるわけないよね!って聴けた今では思う。
そしてずるいのはタイミングだけじゃなくて、一切のおふざけ無しにド直球で披露したところ。ほぼほぼ原曲のまま大きなアレンジもない、大事なところで曲が変わるようなメドレーでもない、民生も一切客にマイクを向けたりしない。“封印”とまで言われていた曲だから、本人たちだってそりゃあやるのに覚悟がいったんじゃないかと思うんだ。それが、込められたのがあの本気の「Maybe Blue」だったんだろうなぁって思うと今も胸が大火事。
またいつか聴きたいなぁ聴けたらいいなと思う反面、もう聴けなくてもいいかなと思える自分もいる。私が初めて観て、聴いた「Maybe Blue」はそのくらい価値のある「Maybe Blue」だった。

ユニコーンにはまだまだ聴きたい曲がたくさんある。おじさんたちこんなにコンスタントに活動してくれると思ってなかったから新しい曲がどんどん増えて聴きたい曲もどんどん増えちゃって、あーもうなんて贅沢な悩みなんだろう!しあわせ!
次のライブも楽しみにしてます!セトリ変わるかなー?