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それ、会社案内に必要ですか?

会社案内といえば、まず社屋の写真があって、「未来へ羽ばたく00産業」のようなキャッチフレーズがあって。社長室で執務する社長の写真があって、「00技術で未来を創造します」みたいなキャッチフレーズがあって。街並みをバックに「当社の理念は00社会への貢献です」みたいなキャッチフレーズがあって。

と、ついつい、そんなページネーションを想像してしまう。

はたして、それでいいのかな。会社案内って、なんのために作るんだろう。会社を案内するためであることは間違いないけれど、定型化されたもので会社のオリジナルな魅力や個性が伝わるのかしら。これまで、たくさんの会社案内をつくってきたけど、いつも思うのは「社屋の写真や社長の顔を出さないで会社の魅力を伝えるものをつくろう」ということだ。

定形化=形骸化というこだ。それは、クリエイティブのいちばんの敵だ。

何も気をてらう必要はない。外連を強くする必要もない。でも、手にした瞬間に、この会社って魅力的だな。仕事のパートナーにしたいな。入社してみたいな。と、思ってもらえるようなものでありたい。まず、最初にお見せするのは「VIVRE」の会社案内だ。もう30年以上も前のものだ。おもにリクルーター向けに使用するものなので、かなり思い切った表現にした。これは、ニューヨークADC賞の銅賞をいただいた。
こういう会社案内を作るときは、まず言うべき項目を決めページネーションを決める。そして各ページのキャッチフレーズをつくる。20ページのものなら、10の面白いキャッチフレーズ をつくることに情熱と時間とチカラを注ぐ。良いキャッチフレーズ の連続になったら、面白くなるのは当然だ。それを元にして表現アイデアを膨らませ、デザインしていく。

言葉オリエンテドなやり方だ。けっしてデザイン先行ではない。いいコピーができれば、いいデザインができる。と、信じている。
会社案内って、どこのもティピカルにつくってあるから、キャッチフレーズを頑張ったら、絶対にアタマひとつ抜けたものがつくれる。そう信じて、会社案内の仕事がきたら、キャッチフレーズを頑張る。

信じるって、大切だと思う。

VIVRE会社案内89

ADは松村さん、撮影はNOBさん。ビジュアルアイデアをAD、カメラマンと何日もディスカッションしながら決めて行った。毎夜、毎夜、ディスカッションしては撮影していった。
この1冊からはじまって、社屋の写真と社長の顔を使わない会社案内をずいぶんたくさんつくってきた。会社案内にも個性を!
「わたしはあなたと違います。」と言う姿勢が見える会社案内にしないと有効に機能するものにはならないと思う。

VIVRE(会社案内)水谷さん表紙

VIVRE(会社案内)水谷さん表2

VIVRE(会社案内)水谷さん1

VIVRE(会社案内)水谷さん3

こちらも同じくVIVREの会社案内。ADは水谷孝次さん、カメラマンは多分ホンマタカシさん。キャッチフレーズ を水谷さんに送ると、どんどんビジュアルアイデアが返ってきた。初めて体感した、ビビッドな仕事だった。

その後、社屋と社長を出さないで、会社の魅力、哲学、ビジョン、他にはないモノゴトで切り取っていく考え方で会社案内をつくってきた。

3例目の、日仏商会さんの会社案内はフリーになってからのものだ。社長からヒアリングして、社長の考え方、競合他社との違いを理解できるまで話してもらいった。その上で予算も鑑みて、言葉だけで表現する方向にした。理美容関係のディーラーさんだけど、あえて商品やサロン、カットモデルを出さないと言う条件でつくらせていただいた。結果、非常に個性的なもの(同社に似合うもの)になった。日仏=トリコロールカラーという表現の枠組みを、他のメディアになっても、このとき以来守り続けている。

日仏商会(日仏商会)

いかがですか。御社も個性的な会社案内を持ちたくなってきたでしょ?
他の昨例はHPにもアップしています。Google検索:田中有史


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