勉強について

退屈だ。最高に退屈だ。退屈な日は、身体の代わりに想像力がよく働く。


人間が狂わせたこの世界は、「正しい」を前提に回っている。


もし目の前の椅子が急にガタガタ震え出したらどうなるだろう。

もし目の前にあるノートから急に文字が消えたらどう思うだろう。

もし目の前にいた大事な人が急に消えたらそこに何が見えるだろう。


あまりにも多くのことを今まで忘れてきた。幼稚園の先生の顔も、中学受験の時に覚えた知識も、初めて好きになった女が作ってくれた菓子の味も。


忘れたことは疑うのに、目に見えるものは疑わない。


退屈な日はいつも、人間がぐちゃぐちゃにしたこの世界が他の誰かの手でぐちゃぐちゃにされることを期待してしまう。その時が来れば、言葉も、数式も、河原に転がる石ころと同じになれるんだ。