独白 ツナガルダイガクと私

この記事は、 ツナガルダイガク Advent Calendar 2019( https://adventar.org/calendars/4658 )の7日目の記事です。

序文

 12月7日、マジカルミライ応援上映。その座席で、幕張で出会うことができた、凄い同年代たちの事を思い出した。
 今年のマジカルミライが、こんなにも特別になるとは、思いもしなかった。それは、ひとえに彼らという存在を、目の当たりにしたからだろう。

ツナガルダイガクと私

 2019年、2月の事だった。入っていた部活をリタイアし、実家でごろごろしていた時だった。大学には多種多様なサークルがある。もしかしたら、自分が知らないだけで、自分が通う大学にもボカロサークルというものが存在しているかもしれない。ふと、そう思った。
 サークルの宣伝は、基本SNSで行われているだろうと考え、twitterで検索をかけた。すると、非公認ではあったが、確かに存在していた。これは何らかの奇蹟に違いない。そう思い、真夜中だというのに、代表に入部したいとDMを送っていた。
 顔も見たことのない人間に、失礼な真似であったとは思っていたが、その日から、私はボカロサークルの一員となった。(帰省から戻ってきて、代表とはまだ顔合わせも済んでいないうちに、予想だにしないリアルでの初対面を果たすのだが、これはまた別の話だ。)
 それから少し時間がたち、6月の事だっただろうか。ツナダイ勉強会というもののアナウンスを聞いた。それまでに、各地の大学のボカロ部、ボカロサークルが、インターネット等で結びついた連合である、『ツナガルダイガク』という存在があることは知っていたし、ものすごく興味があった。しかし、理由は忘れてしまったが、その勉強会には参加しなかった。何か外せない用事があったのだと思うのだが。
 後で、当サークルから参加した人の話を聞いた。正直に言って、私は大学生を侮っていた。同年代の人間が、すごいことをするものだと、心の底から尊敬したし、参加すればよかったと後悔した。
 次の機会こそはが続き、結局、ツナガルダイガクの人達との交流を持てたのは、今年のマジカルミライになってしまった。

マジカルミライでの出来事

 チケットも運よく当選し、幕張への交通手段とホテルをどうしようかと、部屋に遊びに来ていた代表と話していた時だった。
「ツナダイオフ会、来るよね?」
 代表から、そんなことを言われた。正直、その言葉で度肝を抜かれた。
 当時の私は、オフ会というものに、一種の憧れを持っていた。それすらも、彼らは企画し、実現していた。しかも、メインで動いていたのは、私よりも年下だったと聞いたときは、さらに驚愕した。
 実際に、そのオフ会で、彼らの話を聞いてみると、6月に感じた尊敬は、決して間違っていなかったという事が分かった。優秀なクリエイターの卵たちや、すでにクリエイターとして創作活動を行っている方が、そこにいたのだ。
 彼らは勉強を重ね、好きなことを追求していた。
 眩しかった。彼らと出会い、私も何かしたいと、強く感じた。眩しい彼らに、少しでも近付きたいと、強く思った。
 遠い世界だと思っていた創作の世界は、実は案外近い所まで来ていて、手を伸ばせば、自分の世界を広げられることと、自分の見る世界の狭さに気が付いた瞬間だった。
 狭い世界に生きていると感じたのは、オフ会の中だけではない。会場の待機列、企画展、ライブ会場。すべての場において、彼らは何らかの繋がりを持っていた。ツナガルダイガクに関係のない人たちも、又然りだ。
 この、ボーカロイドという界隈にいる時間は長い方だと自負しているが、それだけでは持ち得ない何かを、彼らはすでに持っていた。
 それに気づいた時に覚えた感情に名前を付けるなら、『劣等感』だろう。生憎私はそれで上等だと言って、Hey!Hey!と奮い立つような性格ではない。「ああ、彼らはすごい。本当に。」といって、何もないみじめな自分を見つめるだけだった。
 他大学の、同年代のクリエイターという存在は、大きな刺激だった。それまでなあなあだったDTMを、サークルの先輩に教えてもらいながら、フレーズを思い浮かべるという日々を送るようになったのも、彼らという存在を、目の当たりにしたからだ。好きを、形にできるような人間になりたい。これが、私の目標になった。

大学祭のライブ
 

 マジカルミライ以降、ツナガルダイガクの方々とは、インターネット上で交流を持てていた。
 ある時、DiscordやTwitter内で、バーチャルライブを行うという事を知った、ある大学の大学祭にお邪魔した。自分の大学でもライブを行っているのは知っていたが、話したことのある人間が作ったライブというものに、ものすごく興味があった。
 お邪魔した大学では、当サークルのGremmではなく、ただの自分として見たかった。そのこともあり、自己紹介や名刺を渡すことはしなかった。今思えば、挨拶ぐらいはしたらよかったと思う。
 そのライブは、凄かった。説明されたとしても、難しさを理解できないような、技術も知識もない私でも、本当にすごいと思った。呆気にとられ、コールや声援なんてそっちのけだった。
 よく知る楽曲に合わせ、ボーカロイドたちが、違和感なく、そこに存在し、踊っていた。
 公式ではない、ファンメイドとしての魅力もあった。Crypton様以外のキャラクターを見ることもできたし、マジカルミライでは見ることができないであろう楽曲を見ることができた。
 マジカルミライで感じた劣等感は、その時には感じなかった。純粋で、曇りのない、尊敬の念だけだった。
 ライブ終盤では、どこからか聞こえる声援に合わせ、ペンライトを振った。ファンメイドライブの凄さを、はっきりと見せられた。それも、大学生が作っているのだから、本当に驚きだった。
 終了後は、その大学に通う友人の家にお邪魔させてもらった。彼はライブのようなものにあまり興味がないのだが、お構いなく、そのライブの感想を話していた。(彼には大変申し訳なかった。)
 行きたかったが、場所と金銭的都合で行けなかった大学も多くある。しかし、Twitterで見ている限り、惜しみなく持てる技術を発揮し、ファンメイドライブを成功させていて、この人達が集結すれば、マジカルミライにも劣らない、大きなライブが作れそうだと、勝手に一人でわくわくした。
 同時に、少し恐怖のようなものを感じた。彼らのそれは、彼らの弛むことない努力の結晶であるという事を認識した。いったい彼らは、どれだけの熱量と、どれだけの血を注いだのか。想像して、それらを自分に当てはめることに、自分勝手に慄いていた。 

終わりに

 ツナガルダイガク。知名度がどこまであるのか、私は知らない。私は、関わるまで知らなかった。しかし、そこは優秀な人間の巣窟だ。
 私のような一般人が、ここにいていいのか。何をしたら、彼らに追いつけるだろうか。いまだに、そんなことを考え込むことがある。まだ、私を包み込む「劣等感」は、ぬぐい切れずに心の中に存在するようだ。
 ただ、彼らからもらった推進力で、私もクリエイターという存在になろうと思う。
 
 手始めに、自分好みのエナジードリンクでも見つけてみようと思う。