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2019アドヴィックスカップ女子の部プレビュー

8月4日までどうぎんカーリングスタジアムで開催されていた「どうぎんカーリングクラシック2019」は、女子の部はロコ・ソラーレが準優勝した。2戦目では韓国チームの辞退により急遽出場したジュニアの札幌協会に苦戦気味だったり、ライバルの北海道銀行フォルティウスに敗れるなど万全とは言えない感じではあったが、底力を発揮して決勝に進出したのはさすがの一語。地元開催のアドヴィックスカップはさらにギアを上げて臨んできそうだ。
今年からワールドカーリングツアーに組み込まれ、どうクラの翌週開催となったアドヴィックスカップ。この大会は2014年にスタートし、昨年までは男女の16チームが一緒に戦うオープン大会だった。2014年はロコ・ソラーレが優勝し、コンサドーレの前身の4REALが準優勝。
2015年と2016年はSC軽井沢クラブが連覇し、2015年は4REALが2年連続準優勝、2016年は北海道銀行フォルティウスが準優勝した。2017年は4REALが決勝でロコ・ソラーレに勝ち2014年のリベンジを果たした。昨年は韓国のチームParkが優勝し、チーム名がコンサドーレに変わる直前の4REALが準優勝だった。
今年の大会は、どうクラに引き続き参戦するのが中国の2チームを含め7チーム。しかし、どうクラで同組だったロコ・ソラーレと北海道銀行フォルティウスが別のプールに入り、同様に中部電力と富士急も別になったため、ラウンドロビン(予選)ではどうクラと違うカードが実現したのは興味深い。
優勝賞金はどうクラと同じく100万円。準優勝も同じく50万円だが、3位は20万円から15万円に下がり、4位に5万円が贈られる。賞金総額は同じでも、微妙に配分が違うのは面白い。それでは、9日よりアドヴィックス常呂カーリングホールで開催される大会の参加チームを紹介しよう。
大会のラウンドロビン(予選)は10チームを2つのプールに分けて1回総当たりのリーグ戦を行う。今回は、それぞれのプールの5チームずつを紹介する形にしてみた。なお、チーム名横のランキングは2018-19の賞金ランキングである。

プールCは中部電力、北海道銀行、どうクラ優勝のチームJiangが激突

🥌Nakajima(中部電力)2018-19WCTランキング31位
 ・2019世界選手権4位
 ・2019日本選手権優勝
 ・2018日本選手権3位
先週のどうクラでは富士急とロコ・ステラには勝ったものの、カナダと中国のチームに敗れて2勝2敗で決勝トーナメント進出はならなかった。今シーズンは2度ピークを作らなければならない難しいシーズンといわれ、最初のピークは11月のパシフィックアジア選手権。それだけにスロースタートになるのはやむを得ないところか。しかし、コーチの両角友佑選手が所属するTM軽井沢同様、試合を重ねて歯車が噛み合ってくれば当然上位争いをする力はある。

🥌Jiang(China)
 ・2019どうぎんカーリングクラシック優勝
 ・2019中国選手権優勝
先週のどうぎんカーリングクラシックはラウンドロビンを3勝1敗で2位通過。準決勝でチームMeiとの中国対決を制し、決勝でロコ・ソラーレを7-2で下し優勝。ワールドカップ・グランドファイナルではロコ・ソラーレに連敗したが、そのリベンジを果たした形。リウ・スージャ選手からジャン・イールン(姜懿倫)選手にスキップが代わって初めての中国選手権を優勝して自信をつけて、快進撃を続けている。ショットのミスが少なく、安定した戦いぶりで今大会も優勝を狙う。

🥌Yoshimura(北海道銀行フォルティウス)WCT15位
 ・2019日本選手権3位
 ・2018軽井沢国際準優勝
地元開催だけにかなり気合が入っていたどうクラは、ラウンドロビンでロコ・ソラーレを6-4で倒して3連勝としながら最終戦のチームJiangとの戦いで完敗。3勝1敗ながらDSCの差で決勝トーナメント進出はならなかった。しかし、しっかりと気持ちは切り替えているようで、まずは同じ組になったチームJiangには勝ちたいところ。そして、2月の日本選手権で敗れた中部電力にも、苦手意識を持たないためにも勝っておきたい。難敵を破って先に進みたい。

🥌Hayashi(Loco Stella)
 ・2018NHK杯準優勝
韓国チームの辞退に伴い、急遽出場したどうクラは準備不足もあって4連敗でラウンドロビン敗退。4試合とも相手にビッグエンドを1〜2回作られており、ミスから生まれた傷を最小限に抑えるリカバリーに課題があると感じた。しかしながら、経験を積むごとに成長する年代であり、この2連戦は今後に向けて貴重な大会になるはず。どうクラでは中部電力には2-9と歯が立たなかったが、ホームリンクで地元の声援を受けてどのくらい粘れるか注目したい。

🥌Kawahira(CP帯広)
 ・2019日本選手権7位
 ・2019北海道選手権3位
プールCでは唯一どうクラに参加していないチーム。帯広のカーリング施設カールプレックスおびひろをホームリンクとしているチーム。2月の日本選手権ではサードだった川平操子選手がフォースとなりスキップに昇格、川平選手と新美日和選手以外は入れ替わった。川平選手はホールマネージャーを務めている。新田瑠佳選手は帯広畜産大時代から活躍している選手で、鈴木仁美選手は北見出身の経験者。戦力アップの道産子チームが強豪にひと泡ふかせる。

ロコ・ソラーレ、富士急が軸も伏兵揃ったプールD

🥌Fujisawa(LOCO SOLARE)WCT7位
 ・2019どうぎんカーリングクラシック準優勝
 ・2019日本選手権準優勝
 ・2018ワールドカップ2ndLeg オマハ優勝
 ・2018パシフィックアジア選手権準優勝
 ・2018平昌五輪3位
どうクラは決勝ではチームJiangに敗れたものの、貫禄の準優勝で、地元開催のアドヴィックスカップに弾みをつけた。特筆すべきはDSCの成績で、記録は37.13cmで10チーム中1位だった。選手たちのここ一番の正確なショットは相変わらず素晴らしい。またスイーピングも変わりなくパワフル。どうクラ決勝後のマスコミの取材に対し藤澤五月選手は「シーズンオフに取り組んできたことが間違いじゃないと証明できた大会」と手応えもつかんだ様子で、今大会も期待が高まる。

🥌Mei(China)WCT28位
 ・2019どうぎんカーリングクラシック3位
 ・2019世界選手権6位
 ・2019 World Qualification Event 1位
どうクラの準決勝ではチームJiangとの中国対決で敗れて3位決定戦に回ったが、カナダのチームフルーリーとの試合は堂々とした戦いぶりで7-5で快勝、3位を確保した。3月の世界選手権では4-6で敗れた中部電力にはラウンドロビンで8エンドに1点スチールして7-6と逆転勝ちを演じた。中国はまだ11月のPACC代表を決めておらず、各大会の成績が考慮されるため、チームジャンにどうクラで優勝を攫われたのはかなり痛いようだ。そのため高いモチベーションで臨んできそう。

🥌Koana(チーム富士急)WCT36位
 ・2019日本選手権4位
 ・2019盛岡市アイスリンクメモリアルカップ優勝
どうクラではラウンドロビンで1勝3敗と振るわず、決勝トーナメント進出はならなかった。盛岡市の大会を優勝し、直前には男子チームと練習試合を行うなど順調に調整が進んでいるように思われたのだが。チームから西室淳子選手が離れたが、同時に旦那さんでコーチを務めていた西室雄二氏も辞任した影響が出ているのかもしれない。その西室コーチが1年前の取材で課題として挙げていたのが「対応力」。北見のアイスをしっかり読んで対応して戦えば躍進は可能だ。

🥌Hara(チーム札幌)
 ・2019北海道ジュニア選手権準優勝
 ・2018全日本大学選手権優勝
 ・2018日本ジュニア選手権6位
札幌学院大学の原瑞季選手がスキップを務めるチーム。妹背牛時代から知られていたチームで、現在は札幌学院大学、あるいはチーム札幌として大会を戦っている。札幌学院大学カーリング部は創部が2013年度と歴史は浅いながらすでに数々の大会で成果を上げている。夏井坂真由選手やコンサドーレの谷田康真選手らが卒業生だ。男子の部プレビューで、チームガンラグサンが指導をした話を紹介したが、受けたのはチーム札幌の選手たちだった。成果を大会で発揮したい。

🥌Tanaka(Team Tanaka)
 ・2019盛岡市アイスリンクメモリアルカップ3位
 ・2019Fuji Curl3位
盛岡市の大会では結果的には3位だったが、チーム富士急を3-2で破り、存在感を見せつけた。青森県CA、帯広CA、札幌CAの3つの協会に所属する選手による混成チームだが、実力者揃いで再び大物食いの可能性があるとみる。男女混合のFuji Curlでは、今大会の男子の部に出場する晩成カーリングクラブに勝っており、パワー勝負でも負けない。盛岡市の大会のプレビューではダークホースに挙げたが、ラウンドロビンでは富士急との再戦もあり、今大会もダークホースに推したい。

大会は8月9日から4日間!

2019アドヴィックスカップは、8月9日(金)から8月12日(月・休)まで4日間に渡って開催される。予選、決勝トーナメントを通じて8エンド制なのはどうぎんカーリングクラシックと変わりないが、競技方法を見るかぎりシンキングタイムの計測は大会を通じて無く、タイムアウトも無いようだ。

 ❏女子の大会スケジュール❏

8月9日(金)
16時〜
[C]Nakajima対Jiang、Yoshimura対Hayashi
[D]Fujisawa対Mei、Koana対Hara

8月10日(土)
12時30分〜
[C]Kawahira対Nakajima、Jiang対Yoshimura
[D]Tanaka対Fujisawa、Mei対Koana

19時30分〜
[C]Hayashi対Kawahira、Nakajima対Yoshimura
[D]Hara対Tanaka、Fujisawa対Koana

8月11日(日・祝)
12時30分〜
[C]Kawahira対Jiang、Hayashi対Nakajima
[D]Tanaka対Mei、Hara対Fujisawa

19時30分〜 
[C]Yoshimura対Kawahira、Jiang対Hayashi
[D]Koana対Tanaka、Mei対Hara

8月12日(月・休)
9時〜 準決勝

13時〜 決勝・3位決定戦

15時45分〜 閉会式

❏観覧について❏

・観覧は無料。観覧場所は2階で自由席。スリッパの用意はあるが、数に限りがあるので、上靴等は準備しておいたほうが良い。観覧席数は180席。
・入場は入り口で配布される入場券で。1回の入場券で2試合観覧できるようだ。
【観覧時間】

・入場者が多数の場合、2階観覧席のガラスに結露が発生する恐れがあり、入場を制限することがあるそうだ。
・健康増進法の改正が7月1日から施行されたことに伴い、カーリングホールを所管する北見市教育委員会常呂教育事務所から、常呂自治区内における社会教育施設の敷地内の灰皿を撤去するよう指示があり、8月1日から灰皿を撤去し正面玄関脇にあった喫煙スペースは廃止されている。

過去のアドヴィックスカップはUstreamやYouTubeで配信されていたので、今年も配信があると思うが、今のところ正式な発表は無い。どうぎんカーリングクラシック同様に海外からの視聴者の関心も高そうなだけに、ネット配信を期待したい。

プールCは、どうぎんカーリングクラシックを優勝したチームJiangに中部電力と北海道銀行フォルティウスが挑む展開になりそう。
プールDは、ロコ・ソラーレ中心と思われるが、チーム富士急やダークホースのTeam Tanakaらが絡む形になるとみる。
その他のチームも粒揃いで、ラウンドロビンの順位はDSC勝負に持ち込まれるかもしれない。昨年までの男女混合で和気藹々とした大会の雰囲気からは一変しそうだが、大変面白い大会になることは請け合い。ぜひ、常呂に観戦に来てください!

※中国の2チームとCP帯広に関して情報をいただき、若干加筆・修正しました。プールDは大激戦になりそうです。

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。