第38回 全農 日本カーリング選手権が７日より開幕！

第38回 全農 日本カーリング選手権は、2月7日より14日まで、稚内市のみどりスポーツパークカーリングホールにて開催される。この大会も、コロナ禍の影響により無観客で行われる。
本来ならば横浜市の新横浜スケートセンターで開催される予定だったが、昨年9月25日に稚内市への開催地変更と、無観客での開催となることが発表された。
2006年に西東京市のダイドードリンコアイスアリーナで開催された、パシフィックカーリング選手権(2010年まではパシフィックアジアカーリング選手権はこの名称だった)以来の久しぶりの首都圏での大規模大会となるはずだっただけに大変残念だが、新型コロナウイルスの蔓延が続いている現状では仕方がない。
もうひとつ大きな変更点は、参加チームが男女各7チームとなったこと。これは、参加チームを減らすことで感染拡大リスクをできるだけ抑制するためで、昨年は大会前日に各地区2位チームによって争われていたワイルドカード枠を今回は設けず、またワールドカーリングツアー(WCT)最上位枠も設けないからである。
例年ならば男女各9チームが参加するのが2チーム減ることになった。後述するが、1度に行われる試合は4試合から3試合に減り、大会期間も1日減少している。
2月7日(日)は公式練習のみが行われ、競技は翌8日(月)より始まる。12日(金)午後まで総当たりのラウンドロビンが実施され、さらに同日夜より男子のプレーオフ、13日(土)に女子のプレーオフと男女の準決勝を行い、14日(日)に男女決勝とそれぞれの表彰式が行われて幕を閉じる。

🥌過去5年の日本選手権を振り返ると⋯

ここで過去5年の日本選手権を振り返ってみよう。男子は‪SC軽井沢クラブの1強時代から北海道のチームが台頭する状況に変わり、女子はまさに群雄割拠の時代に突入している。
2016年は青森市のみちぎんドリームスタジアムが会場で、男子はSC軽井沢クラブが優勝して4連覇。チーム東京が準優勝、札幌が3位。女子はLS北見が優勝、前年度までチームフジヤマを名乗っていたチーム富士急が準優勝し、前年度優勝の北海道銀行は3位だった。
2017年は軽井沢町の軽井沢アイスパークで行われ、男子はSC軽井沢クラブが優勝して5連覇を達成、札幌が準優勝でチーム北見が3位に入った。女子は中部電力が3年ぶりに優勝し、LS北見が準優勝、チーム富士急が3位となった。
2018年は名寄市の北海道サンピラーパークで行われ、男子はteamIWAIが優勝し、前年度は札幌を名乗っていたチーム北海道が2年連続で準優勝、軽井沢CCが3位に入った。女子はチーム富士急が悲願の初優勝を果たし、北海道銀行が準優勝、中部電力が3位(この年は平昌五輪代表=SC軽井沢クラブとLS北見=が五輪に専念という形で参加していない)。
2019年は札幌市のどうぎんカーリングスタジアムが会場で、男子はチーム北海道を母体として前年夏に結成したばかりのコンサドーレが一気に頂点に立った。チーム東京が準優勝、札幌国際大学が3位に入った。女子は中部電力が優勝し、前年11月に一般法人化してLS北見から名称を変えたLOCO SOLARE(ロコ・ソラーレ)が準優勝、北海道銀行が3位だった。
2020年は、3年ぶりに長野県の軽井沢アイスパークで開催となった。男子はコンサドーレが連覇を果たした。ラウンドロビンから決勝まで無敗での優勝だった。前年に‪元SC軽井沢クラブの両角兄弟と元team IWAIの2人で結成され、WCT最上位枠で出場を決めたTM軽井沢が準優勝、3位は山口選手を中心に生まれ変わった‪SC軽井沢クラブだった。
女子はLOCO SOLAREが優勝。世界ランキングで4位まで上り詰めた実力をしっかりと発揮した。準優勝は前年優勝の中部電力。ラウンドロビンではLOCO SOLAREを破ったが、決勝ではエキストラエンドで敗れる悔しい結果となった。3位はここ5年で3回目のシルバーメダルとなった北海道銀行。今年こそは決勝に進みたいところだ。
今年の大会は、男子はコンサドーレが3連覇を果たせるかどうか、女子は4強といわれるLOCO SOLARE、中部電力、チーム富士急、北海道銀行の戦いぶりが焦点となりそうだ。
それでは、今年の大会に出場する男女各7チームを紹介しよう。

🥌男子は3連覇を狙うコンサドーレなど7チーム

☆コンサドーレ(北海道／前年度優勝)
【松村 雄太、清水 徹郎、谷田 康真、阿部 晋也、相田 晃輔】
11月の稚内の強化試合は、予選で敗れたTM軽井沢を決勝で4-3で下し優勝。12月の軽井沢での強化試合は、予選を3連勝で通過したが、決勝でジュニア選手権優勝の札幌国際大学に最終エンドで2点奪われ逆転負けを喫して準優勝に終わった。正確なショットと的確な作戦は揺るぎない。潰瘍性大腸炎と闘いながらプレーする阿部選手の活躍を期待。

☆TM Karuizawa(長野県／前年度準優勝)
【両角 友佑、岩井 真幸、宿谷 涼太郎、両角 公佑】
稚内の強化試合は予選を2勝1敗で1位通過したものの、決勝でコンサドーレに惜敗し準優勝どまり。軽井沢ではコンサドーレと札幌国際大学に敗れて決勝進出を逃した。今季の出足はやや物足りないが、‪SC軽井沢クラブとteam IWAIで頂点に立った選手たちが結成したチームだけに手強い。すべてローマ字のチーム名に変えて、心機一転。

☆常呂ジュニア(北海道ブロック)
【前田 拓海、上川 憂竜、前田 拓紀、中原 亜星】
11月の日本ジュニア選手権では、予選を5勝2敗で4位通過。プレーオフで青森CAを下したが、準決勝でチームAOKIに敗れて3位だった。1月の北海道選手権の決勝はジュニアチーム同士の戦いとなり、札幌ジュニアを7-4で破って日本選手権出場を決めた。前田拓海選手と中原選手は、昨年1月のユース五輪のミックスフォーで準優勝の実績もある。

☆チーム岩手(岩手県／東北ブロック)
【苫米地 賢司、松原 永和、佐藤　匡、菊池　充、山口 和人】
普段のチーム名はまべちがわ。東北選手権では、決勝で粘るHot Shot！を最終エンドの2点スチールで突き放して優勝。Hot Shot！には予選で2-8と大敗していただけに、ここ一番での勝負強さを見せつけた。苫米地選手は、妻の美智子選手とのペアでミックスダブルスで活躍している。11歳ながらサードを任されている松原選手も注目。

☆チームTANI(東京都／関東ブロック)
【谷 隆太朗、水上 駿太、岡村 康平、山崎 大樹、石川 卓弥】
普段のチーム名はクラーク東京。関東選手権は新型コロナウイルスの影響で中止となり、前年度の日本選手権の実績(予選5位)を踏まえて代表に選出された。谷隆太朗選手は北海道大学在学中に2018年の冬季ユニバーシアード日本代表選考会に出場した経験がある。水上選手も元北大生で、2015年の第8回日本ミックスダブルス選手権で準優勝。

☆SC軽井沢クラブ(長野県／中部ブロック)
【山口 剛史、栁澤 李空、小泉　聡、大野 福公、金井 大成】
11月の稚内での強化試合は予選で2勝1敗だったがDSCの差で決勝進出を逃し、翌月の軽井沢では予選で3連敗。しかしながら、先月4チームで争われた中部代表選考会では予選を3連勝、決勝ではIgnites長野に7-3で快勝して代表を決めた。かつてチーム長野や富士急で指導した西室雄二氏がコーチ。パワフルなショットに磨きをかけている。

☆岡山CA(岡山県／西日本ブロック)
【吉岡 寛紀、藤中 宏充、福井 裕士、野々村 優介】
普段のチーム名は侍ジャパン。先月、稚内で開催された西日本ブロック代表選考会では予選を連勝、準決勝でチームSISを下し、決勝ではチーム熊本を9-3で破り代表を決めた。日本選手権は昨年に続いての出場となる。4年前、昨年とも3勝5敗で予選通過にあと一歩及ばなかっただけに、さらに勝ち星を上積みして今年こそ予選を突破したい。

🥌女子は昨年VのLOCO SOLAREなど7チーム

★LOCO SOLARE(北海道／前年度優勝)
【藤澤 五月、吉田 知那美、鈴木 夕湖、吉田 夕梨花、石崎 琴美】
11月の稚内での強化試合は、予選を3勝1敗で1位通過し、決勝ではエキストラエンドにもつれ込む熱戦の末、中部電力を5-4で下して優勝。4強が揃った12月の軽井沢でも、予選を3連勝し、決勝では再び中部電力を9-6で破り優勝。ついでにスキンズゲーム形式のエキシビションでコンサドーレにも快勝。ベテラン石崎選手が加わり、充実一途だ。

★中部電力(長野県／前年度準優勝)
【北澤 育恵、松村 千秋、中嶋 星奈、石郷岡 葉純、鈴木 みのり】
11月の稚内の強化試合では、予選でLOCO SOLAREと北海道銀行に1勝1敗ずつで2位通過、決勝ではエキストラエンドで敗れて準優勝。12月の軽井沢でも、2勝1敗で2位通過し、決勝で再びLOCO SOLAREに敗れて準優勝。世界ジュニア選手権4位の実績を持つ期待のルーキー鈴木選手をメンバーに加えて、目指すは頂点だ。

★北海道銀行(北海道ブロック)
【吉村 紗也香、小野寺 佳歩、近江谷 杏菜、船山 弓枝、伊藤 彩未】
稚内の強化試合は予選で中部電力に1勝1敗、LOCO SOLAREには連敗して決勝に進めず。軽井沢の大会も、予選で富士急に勝ったものの1勝2敗で敗退となった。しかし、年明けの北海道選手権では予選を6戦全勝、決勝ではLS北見(ロコ・ステラ)に7-2で快勝。かなり調子をあげてきた。2018年ジュニア日本選手権準優勝の伊藤選手も要注目。

★青森CA(青森県／東北ブロック)
【青田 しのぶ、伊藤　薫、齋藤 菜月、吉田 綾子、山下 知恵理】
普段のチーム名はDelight青森。東北選手権は予選を3連勝で1位通過し、決勝でフィロシーク青森TKを破って優勝。昨年に続いての出場を決めた(昨年の小島樹里選手に代わり今大会は吉田選手が参加)。昨年は予選で4勝4敗で惜しくも5位。その4敗は4強に敗れてのもの。今年は一角を崩して予選突破を目指す。伊藤選手は道銀の彩未選手の母。

★富士急(山梨県／関東ブロック)
【小穴 桃里、小谷 優奈、石垣 真央、小谷 有理沙、苫米地 美智子】
青森の強化試合は同時期に関東でミックスダブルスの大会が開催されていたこともあり出場できず、軽井沢の試合のみ出場。結果は予選で3連敗となり決勝進出はできなかった。チームとしての立ち上がりが遅れたぶん、力を発揮できなかったかもしれない。今大会はベテランの苫米地選手が加わり、さらにパワーアップ。巻き返しを期す。

★SC軽井沢クラブ(長野県／中部ブロック)
【江並 杏実、金井 亜翠香、西室 淳子、両川 萌音】
中部カーリング選手権が中止となったため、代わりに中部代表選考会が1月に実施されたが、女子はほかに申し込みチームがなく代表に決まった。江並、両川の2選手は2018年のジュニア日本選手権で優勝(チームメイトには中部電力の鈴木選手も)、金井選手が加わった2019年も3位に健闘。経験豊富な西室選手とともに大物食いを狙う。

★チーム倉敷(岡山県／西日本ブロック)
【信木　香、髙原 侑里、井戸 由佳利、川田 亜依、川田 良子】
岡山にカーリングの拠点を、と準備委員会が動き始めたのが2015年。それから6年経ち、いよいよ日本選手権に出場するところまでたどり着いた。今大会は、岡山などに遠征して練習を重ねているチーム熊本の川田親子が助っ人で参戦する。亜依選手は九州唯一の小学生カーラーで先々楽しみ。粘り強く戦って、まずは初勝利を目指す。

🥌大会日程・テレビやネットの中継は

大会は、7日は公式練習が行われ、試合は8日から始まる。詳しくは下表の通り(公式サイトより)。

📺テレビ中継はNHKBS1で、サブチャンネルを使いながらの中継が行われる。

2月8日(月)
13：25 〜 女子・予選リーグ　
LOCO SOLARE vs チーム倉敷
18：00 〜 男子・予選リーグ　
コンサドーレ vs SC軽井沢クラブ

2月9日(火)
13：30 〜 男子・予選リーグ　
岡山CA vs TM Karuizawa
18：00 〜 女子・予選リーグ　
中部電力 vs 富士急

2月10日(水)
13：30 〜 女子・予選リーグ　
北海道銀行 vs LOCO SOLARE
18：00 〜 男子・予選リーグ　
TM Karuizawa vs コンサドーレ

2月11日(木)
13：30 〜 男子・予選リーグ　
SC軽井沢クラブ vs チーム岩手
18：00 〜 女子・予選リーグ　
LOCO SOLARE vs 中部電力

2月12日(金)
13：30 〜 女子・予選リーグ
（放送カード未定）
18：00 〜 男子・プレーオフ　
予選1位 vs 予選2位

2月13日(土)
10：00 〜 女子・プレーオフ　
予選1位 vs 予選2位
15：00 〜 女子・準決勝

2月14日(日)
10：00 〜 男子・決勝
15：30 〜 女子・決勝

💻インターネット中継は、実況・解説付きがCurling JapanのYouTubeチャンネルで、また音声無しの中継が稚内カーリング協会のYouTubeチャンネルで実施される予定とのこと。予選から全試合が映像で観られるのは日本選手権では初めてのことで、応援のしがいがある。詳しい内容は、こちらでご確認を。
放送予定 |【公式】第38回 全農 日本カーリング選手権大会 2021
https://japan-curling.jp/broadcast/

🥌まとめ

昨年から続くコロナ禍の影響はカーリングもモロに受け、海外遠征のみならず国内の大会も中止になったものも多く、選手はコンディション調整に大変苦労されていると思うし、また大会関係者の皆さんのご苦労もひとしおと思う。
今年もNHKBS1やYouTubeで放送・配信されるのは嬉しいことだが、それも選手たちの奮闘や関係者の皆さんの努力があってこそ。あらためて開催地の稚内市みどりスポーツパークをはじめ、大会に関わる方々に感謝したい。
平昌五輪を観てカーリングの面白さに触れて競技を始めた選手が今大会に出場しているように、カーリングの裾野は確実に広がっている。その頂点に立つのはどのチームか。すべてのチームの健闘を祈りたい。

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