見出し画像

きさらぎ賞を振り返る

2月3日は、京都競馬場できさらぎ賞が行われ、3番人気だったダノンチェイサーが2番手から抜け出して快勝、重賞初制覇でクラシック戦線に名乗りを上げた。2、3着に伏兵馬が入り、8頭立てながら3連単141,960円と波乱になったレースを振り返る。

1番人気はデムーロのヴァンドギャルド

◇第59回きさらぎ賞(京都・芝外1800m・雨・良・8頭)
1週前登録の段階で11頭しかおらず、少頭数は避けられない状況だったが、結局出てきたのは8頭と、クラシック前哨戦としては少々寂しい一戦となった。1番人気に推されたのは③ヴァンドギャルド(デムーロ・藤原英)。前走のホープフルSでは最後の直線で2度寄られる不利があり、力を出し切れたとは言い難い内容だったことと、デムーロ=藤原英といえばネオヴァンドーム、トーセンラーで優勝したようにきさらぎ賞に強いタッグというイメージもあった。東スポ杯3着馬の実績が信頼されたようだ。

2億5000万円馬が初重賞制覇!

ポンと好スタートを切った⑥ランスオブプラーナが先頭に立ち、④ダノンチェイサーが2番手につける。その後ろに③ヴァンドギャルド、②エングレーバーがつけて、さらに⑦アガラスらが続き、①タガノディアマンテは最後方に構えた。ランスオブプラーナは徐々に差を広げ、800の標識のあたりでは3~4馬身開いた。その差は直線の入口でも変わらない。
しかし、ダノンチェイサーがギアを上げるとあっという間に差が詰まり、残り100mのあたりでかわすと最後は余裕の手ごたえで2馬身突き抜けた。池江泰寿調教師はこのレース4勝目、川田騎手は初勝利。勝ちタイムは1分49秒0で、タイム的には過去4度の優勝の中では最も遅いタイムで、3年前のサトノダイヤモンドに比べると2秒1も遅い。ただ、少頭数の単騎逃げでゆったりした流れになったし、ダノン自身「折り合いが課題」としていたように、逃げ馬を追いかけず辛抱し、最後は追うのをやめる余裕もあったので時計的にはまだ詰まると思う。
おそらく、早い段階で「後ろにはかわされない、前だけを目標に」と川田騎手が考えたような騎乗ぶりで、馬の能力を引き出した好騎乗だった。今後は4月14日の皐月賞直行の可能性が高いということだが、1800mで結果が出たし賞金的にも安泰になったのでクラシックに駒を進めることになるだろう。父ディープインパクト、母の父ロックオブジブラルタルという良血で、一昨年の1歳セレクトセールで2億5000万円で取引され話題になった。モトを取るにはまだまだ稼いでくれないといけない馬だ。

伏兵馬が価値ある好走

2着には6番人気だったタガノディアマンテ(岩田・鮫島)が飛び込んだ。スタートは出遅れではなくゆっくり出て、馬群より少し離して折り合いに専念。大外一気で最速の上がり34秒4で6頭をごぼう抜きした。馬自身の成長が感じられ、脚質も自在性があるだけに今後が楽しみな存在だ。
逃げ粘って3着の7番人気ランスオブプラーナ(松山・本田)も収穫は大きい。状態は良かったものの、2ハロン延長した距離が微妙に思われたが、正攻法に徹してこの距離でも粘れたのは先に繋がる。ただ、まだ1勝馬なのでどこかで賞金を加算しないとクラシックは出走もおぼつかない。
1番人気のヴァンドギャルドは4着。道中は勝ち馬の直後につけたが直線で伸び切れなかった。遅いペースにイラつくなど幼いところを見せたようだが、うまく折り合いをつけられた勝ち馬との差が出た形か。
私の◎だったアガラスは7着。「ムキになって走っていた」そうだが、敗因を求めれば初の輸送競馬でテンションが上がりすぎていたのかもしれない。関東圏のレースなら見直せそうだ。

地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。