日本カーリング選手権 序盤を振り返る
第37回全農日本カーリング選手権大会が、軽井沢アイスパークで進行している。今年は初めてワイルドカード枠が設けられ、大会直前に全国5つのブロックで準優勝だったチームが集結し、1日でトーナメントを行ったのも話題になった。ワイルドカード枠の争いも含めて序盤を振り返る。
🥌熱かったワイルドカード枠争い
ワイルドカード枠を争う出場決定戦は2月7日に行われた。対戦は前年度のブロック順位で決められ、まず順位の4位と5位にあたるチームが1回戦を行い、勝者はブロック最上位からの出場チームと2回戦を行う。一方、同2位と3位も2回戦を行い、それぞれの勝者が出場決定戦に進んだ。
男女の出場決定戦の結果は次の通り。
☆男子
長野県CA(長野県・中部)
0000 202X=4
0031 030X=7
北海道大学(北海道)
★女子
チーム東京(東京都・関東)
0101 310X=6
1020 002X=5
御代田CC(長野県・中部)
※試合は8エンド制でミニマム6エンド
本大会出場に備えて宿泊先を予約しておいて、敗退したらキャンセルしなきゃならず出場チームの負担になるのでは? と思う人もいるかもだが、そこはご心配なく。主催者側であらかじめワイルドカード枠出場チーム用に軽井沢町内の2つのペンションを押さえてあると開催要項に記載がある。
翌8日に開会式が行われ、さらに9日からラウンドロビン(予選)がスタートした。まず、女子から振り返ってみよう。
🥌女子はLOCO SOLARE、中部電力が無敗
★競技1
チーム広島(広島県)
00000 01XXX=1
21131 20XXX=10
LOCO SOLARE(北海道)
北海道銀行(北海道)
01021 10100=6
00100 01012=5
富士急(山梨県)
中部電力(長野県)
00212 12XXX=8
01000 00XXX=1
青森CA(青森県)
チーム軽井沢(長野県)
10001 001XX=3
05210 110XX=10
チーム東京(東京都)
★競技3
北海道銀行(北海道)
01102 0301X=8
10010 1010X=4
青森CA(青森県)
札幌協会(北海道)
00010 2020X=5
00003 0203X=8
チーム軽井沢(長野県)
LOCO SOLARE(北海道)
41004 4XXXX=13
00200 0XXXX=2
チーム東京(東京都)
チーム広島(広島県)
01000 0XXXX=1
40251 1XXXX=13
富士急(山梨県)
★競技5
青森CA(青森県)
20003 10102=9
00120 01030=7
チーム東京(東京都)
中部電力(長野県)
03204 05XXX=14
10010 10XXX=3
チーム広島(広島県)
札幌協会(北海道)
00000 2020X=4
01103 0101X=7
富士急(山梨県)
LOCO SOLARE(北海道)
20300 102XX=8
01000 010XX=2
チーム軽井沢(長野県)
★競技7
チーム軽井沢(長野県)
10210 0100X=5
03001 1021X=8
中部電力(長野県)
青森CA(青森県)
01000 100XX=2
30032 001XX=9
LOCO SOLARE(北海道)
チーム東京(東京都)
21002 0020X=7
00110 1001X=4
チーム広島(広島県)
札幌協会(北海道)
01001 010XX=3
00330 102XX=9
北海道銀行(北海道)
★競技9
LOCO SOLARE(北海道)
02010 10301=8
10002 01020=6
札幌協会(北海道)
富士急(山梨県)
30520 1XXXX=11
01001 0XXXX=2
チーム東京(東京都)
北海道銀行(北海道)
00000 1XXXX=1
11312 0XXXX=8
中部電力(長野県)
青森CA(青森県)
01021 31XXX=8
00100 00XXX=1
チーム広島(広島県)
◎3日目(競技9)終了時点
5-0 LOCO SOLARE
4-0 中部電力
3-1 北海道銀行
3-1 富士急
2-3 チーム東京
2-3 青森CA
1-3 チーム軽井沢
0-4 札幌協会
0-5 チーム広島
世界ランキング4位のLOCO SOLAREが快調に5連勝と首位を走る。ただ、明日から富士急、北海道銀行そして中部電力と強豪との3連戦が控えるだけにまったく気は抜けない。好材料は、今日は女子が競技11だけで、たまたまそこがLOCOの手空きの順番で丸々休養日となること。もちろんナイトプラクティスで翌日のストーンチェックは行うだろうけど、休息をしっかり取れるのは大きい。吉田夕梨花選手のウィックの技術が今大会も冴え渡り、札幌協会戦のように藤澤五月選手がスルーするミスをおかしても、次の投球でしっかりカバーできたように修正力が高いのも崩れない要因だ。
中部電力はすでに手空きがあったぶん、LOCOより勝ち星は少ないが、こちらも4連勝中。今シーズンは目立った成績が少ないが、両角友佑コーチの元、ピーキングをしっかり意識してやってきた印象で、世界選手権出場がかかる11月のパシフィックアジアカーリング選手権と、この日本選手権にはトップコンディションで臨んできている。以前から「先攻に回った時の強さ」を中部電力の特長にあげているが、それが遺憾なく発揮されたのが北海道銀行戦だった。リードの石郷岡葉純選手からどんどんハウスに放り込み、気がつけば中電の石だらけで道銀の吉村沙也香選手が苦しむ場面が繰り返された。残りはチーム東京、札幌協会、富士急、そしてLOCOと4試合だ。
北海道銀行は、3連勝同士の対決となった中部電力戦で前述の通り完敗を喫して初黒星。結果的に吉村選手のショット成功率が悪くなったが、スキップがギャンブルショットをしなければならなくなった作戦自体の問題に思える。本来有利なはずの後攻で受け身に回ってしまった点は改めていかないとならない。初戦で富士急に競り勝ったようにチームの仕上がりそのものはよさそうななだけに、昨日の完敗から気持ちを切り替えて戦いたい。残りはチーム広島、チーム東京、LOCO SOLARE、チーム軽井沢の4試合である。
富士急は、初戦の北海道銀行戦を落としたが、その後は3連勝。道銀戦も敗れはしたが、相手がより素晴らしい内容だったからと試合後にスキップの小穴桃里選手が話したと伝わっているように悪かったところは少なかった。その後はスキを見せることなく3連勝を飾っており、今季の一連の好調ムードをこの大会にも持ち込んでいる。この後はチーム軽井沢、LOCO SOLARE、中部電力、青森CAと続くが、ポイントは13日のLOCO、中電の2連戦だろう。ショットの正確性ではこの2チームとは互角なだけに、手の内を知り尽くした相手にどのような戦術で立ち向かうか注目したい。
ワイルドカード枠から本大会に進出したチーム東京は、ここまで2勝3敗。青森CAに競り負けたのが痛く、4強の一角が崩れない限り準決勝進出は厳しいが、ペースをつかめば強いチームだけに残りの中部電力、北海道銀行、札幌協会で存在感を見せてほしい。
青森CAも2勝3敗。緊張感が抜けないうちにいきなり強豪との2連戦でつまずいたが、その後2勝を挙げている。今シーズンから組んだチームで、コミュニケーションが改善すればまだ強くなりそう。残りは札幌協会、チーム軽井沢、富士急戦。
チーム軽井沢はここまで1勝3敗。2戦目の札幌協会戦で初勝利を挙げた。敗れた中部電力戦も、途中スチールしてリードする場面もあり、成績以上に良い戦いができているように思える。残りは富士急、チーム広島、青森CA、北海道銀行の4戦。
札幌協会は、ここまで0勝4敗と未勝利だが、昨夜のLOCO SOLARE戦は会場を沸かせた。思い切りが良く、楽しそうに伸び伸びとプレーしている。残りの青森CA、中部電力、チーム東京、チーム広島の4試合でさらにいい経験を積んでほしい。
チーム広島も0勝5敗とまだ勝ち星はないが、北海道の大学で力をつけた24歳トリオが奮闘している。モットーの「一投一投全力」で、残りの北海道銀行、チーム軽井沢、札幌協会戦の3試合で、2018年の1勝を超える成績に持っていきたい。
🥌男子はコンサドーレが4連勝で単独首位
☆競技2
コンサドーレ(北海道銀行)
00202 00201=7
11010 02010=6
TM軽井沢(長野県)
岡山CA(岡山県)
02103 0011X=8
20010 2000X=5
北海道大学(北海道)
チーム東京(東京都)
10001 0010X=3
02100 1101X=6
名寄市役所(北海道)
チームTANI(東京都)
00100 20100=4
00021 01012=7
SC軽井沢クラブ(長野県)
☆競技4
岡山CA(岡山県)
01020 20000=5
10103 00104=10
名寄市役所(北海道)
宮城CA(宮城県)
01011 01010=5
10200 10201=7
チームTANI(東京都)
TM軽井沢(長野県)
02001 00030=6
10200 01001=5
SC軽井沢クラブ(長野県)
コンサドーレ(北海道)
12200 0101X=7
00001 0010X=2
北海道大学(北海道)
☆競技6
名寄市役所(北海道)
01000 10XXX=2
00132 02XXX=8
SC軽井沢クラブ(長野県)
チーム東京(東京都)
00020 01XXX=3
20103 20XXX=8
コンサドーレ(北海道)
宮城CA(宮城県)
00000 23020=7
10021 00101=6
北海道大学(北海道)
TM軽井沢(長野県)
03031 4XXXX=11
00100 0XXXX=1
チームTANI(東京都)
☆競技8
チームTANI(東京都)
20030 20101=9
02001 02010=6
チーム東京(東京都)
名寄市役所(北海道)
00002 000XX=2
01210 314XX=12
TM軽井沢(長野県)
SC軽井沢クラブ(長野県)
02002 0XXXX=4
20230 3XXXX=10
コンサドーレ(北海道)
宮城CA(宮城県)
00000 000XX=0
10011 111XX=6
岡山CA(岡山県)
◎3日目(競技8)終了時点
4-0 コンサドーレ
3-1 TM軽井沢
2-1 岡山CA
2-2 チームTANI
2-2 名寄市役所
2-2 SC軽井沢クラブ
1-2 宮城CA
0-3 チーム東京
0-3 北海道大学
コンサドーレが4連勝と頭抜けた安定感を見せている。いきなり優勝候補対決となったTM軽井沢戦は、序盤でスチールを許したものの、後攻でしっかり2点を獲得する安定した試合展開で逆転勝ち。4戦目のSC軽井沢戦は、4エンドに3点スチールするなど圧巻の戦いぶりで6エンドまででコンシード勝ちを演じた。国内では負けられないという強い意志が感じられ、ここまでは盤石。一時期体調不良だった阿部晋也選手もリードで堅実なプレーを見せている。残りの名寄市役所、岡山CA、チームTANI、宮城CAの4試合でさらに勝ち星を上積みしたい。
TM軽井沢は、初戦のコンサドーレ戦を惜敗したものの、その後は3連勝してペースを取り戻してきた。両角兄弟にとってはかつてのチームメイトの山口剛史選手がスキップを務めるSC軽井沢クラブ戦は9エンドに3点奪って逆転勝ち。ここ一番での集中力の高さは相変わらず素晴らしい。今後は宮城CA、北海道大学、岡山CA、チーム東京と続く。日程的には今日と明日が1試合ずつなのは恵まれたといえる。特に女子の中部電力コーチを掛け持ちの両角友佑選手にとっては、疲れがたまる頃だけに余裕を持って戦えるのはプラス材料だ。
岡山CAは、ここまで2勝1敗と健闘している。西日本のチームで格下に見られがちだが、3年前の大会でも3勝しており地力はなかなかのものを持っている。宮城CA戦では5エンド連続でスチールを奪うなど、戦術も確かなものがあり、チーム東京、コンサドーレ、SC軽井沢クラブ、TM軽井沢、チームTANIの5戦で1つでも多く勝って、念願の予選突破を果たしたい。
チームTANIはここまで2勝2敗。東京同士の戦いになったチーム東京戦では、4エンドで3点のビッグエンドを作って勢いに乗るなど、ツボにハマると強さを発揮する。残りは北海道大学、名寄市役所、コンサドーレ、岡山CAの4試合。対北海道3連戦が予選突破への大きな関門となる。
名寄市役所も2勝2敗。初戦で前回準優勝のチーム東京を破って流れを掴んだ。軽井沢の両チームには大敗を喫したものの状態そのものは好調と思われ、今後の戦い方次第で予選突破も見えてくる。コンサドーレ、宮城CA、チームTANI、北海道大学の4試合でどこまで上積みができるか。
SC軽井沢クラブも2勝2敗。TM軽井沢戦では9エンドに3点奪われ、コンサドーレ戦では4エンドに3点スチールされていて、強豪相手にビッグエンドを作られて苦戦しているのは気になるが、もともとのポテンシャルは高いチーム。残る北海道大学、チーム東京、岡山CA、宮城CAの4試合を全部勝つくらいの勢いで戦って予選突破し波に乗りたいところだ。
宮城CAはここまで1勝2敗。北海道大学戦では前半5エンドまで無得点ながら7エンドの3点スチールなどで後半大逆転。素晴らしいヒットロールが決まっていたそうで、技術も確か。残りはTM軽井沢.名寄市役所、チーム東京、SC軽井沢クラブ.コンサドーレと強豪との戦いが多いが、粘り強い戦いぶりで大物食いを狙ってほしい。
チーム東京が意外にも0勝3敗と苦戦している。今大会の曲がるアイスに苦労し、持ち味の石があまりたまらない戦い方を完遂できていない。相手に複数点を奪われがちなのもショットが微妙にズレて決まっていないから。今後は岡山CA、SC軽井沢クラブ.宮城CA、北海道銀行、TM軽井沢とまだ5試合あり、曲がるアイスにアジャストして立て直していきたい。
北海道大学も0勝3敗とここまで勝ち星がない。要所でスチールを許してしまっているのが苦戦の原因だが、やはり曲がるアイスに迷いがあるのかショットにバラつきがあるようだ。残りのSC軽井沢クラブ、チームTANI、TM軽井沢、チーム東京、名寄市役所の5試合で本来の力を見せたい。
地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。