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代表を勝ち取るのは道銀か? ロコか?

カーリングにおいて、チームコンディションを1シーズンに何度もピークに持っていくのは難しいことといわれる。
しかし、9月10日(金)から12日(日)にかけて北海道稚内市みどりスポーツパークで開催される「全農 2021 女子カーリング日本代表決定戦」に出場する北海道銀行フォルティウスとLOCO SOLAREは、今大会を勝った場合、さらに12月の北京五輪世界最終予選、そして来年2月の五輪本番にピークを作らなくてはならない。
とはいえ、まずは今大会を勝たないことには先はないわけで、ここに最初のピークを持ってきているのは当然だろう。5連戦で先に3勝したほうが勝ち、というルール。どんな戦いで挑むのか、今から待ち遠しい。
まずは、両チームの紹介から。

北海道勢同士の熱い戦い!

🥌北海道銀行フォルティウス(北海道協会)
 
[第38回 日本カーリング選手権大会 優勝、世界ランキング12位]
Fourth / 吉村 紗也香(ヨシムラ サヤカ)
Third / 小野寺 佳歩(オノデラ カホ)
Second / 近江谷 杏菜(オオミヤ アンナ)
Lead / 船山 弓枝(フナヤマ ユミエ)
Reserve / 田畑 百葉(タバタ モモハ)
Coach / 佐藤 浩(サトウ ヒロシ)

【主な成績】
オリンピック 2014年ソチ 5位
世界選手権 2015年 6位、2021年 11位
パシフィックアジア選手権 2013年 3位、2014年 3位
日本選手権 10回連続出場中 2回優勝(2015年、2021年)
マスターズ 2019年優勝

2011年4月創設。当初はスキップが小笠原歩さん、サードが船山選手、セカンドが小野寺選手、リードが現LOCO SOLAREの吉田知那美選手という陣容だった。その後、同年9月に苫米地美智子選手が加わり5人体制になった。
2014-2015シーズンを前に吉田選手と苫米地選手がチームを離れ、吉村選手と近江谷選手が加入。2018年6月に小笠原選手が退団し、新しいスキップには吉村選手が決まった。
2020年にトライアウトを経て伊藤彩未選手が加入し、さらに今年田畑選手が加わって、日本のチームとしては珍しい6人体制となった。

TM軽井沢のスキップであり、中部電力カーリング部のコーチも務める両角友佑氏は、NHKのサイトで北海道銀行フォルティウスについて「フィジカルの強さ」が大きな特徴、と語っている。日頃からフィジカルトレーニングに力を入れ、2月の日本選手権ではLOCO SOLAREに負けないくらい力強いスイープを見せていた。
そして、昨年10月にメンタルコーチに就任した元北海道日本ハムファイターズの白井一幸氏の存在も大きい。日本選手権まで4ヵ月と時間が少なかっただけに、短期間で強いチームをつくるために「メンタルコーチング」と「チームビルディング」の両方を組み合わせたという。
メンタル強化とともに、目標を共有させ、自信をつけて大会に臨ませ、見事に6年ぶりの日本選手権優勝という成果を出した。そこからさらに7ヵ月経ち、より安定感を増しているかどうか。結成10年目という節目の年に、北京五輪へつながる切符をつかみたい。

🥌LOCO SOLARE(北海道協会)
 
[第37回 日本カーリング選手権大会 優勝、世界ランキング4位]
Fourth / 藤澤 五月(フジサワ サツキ)
Third / 吉田 知那美(ヨシダ チナミ)
Second / 鈴木 夕湖(スズキ ユウミ)
Lead / 吉田 夕梨花(ヨシダ ユリカ)
Reserve / 石崎 琴美(イシザキ コトミ)
Coach / 小野寺 亮二(オノデラ リョウジ)

【主な成績】
オリンピック 2018年平昌 銅メダル
世界選手権 2016年 銀メダル
ワールドカップ  2018-19 第2節 優勝
パシフィックアジア選手権 2015年 優勝、2016年 3位、2017年 準優勝、2018年 準優勝
日本選手権 過去10回出場 2回優勝(2016年、2020年)
アジア冬季大会 2018年 3位

2010年7月、元「チーム青森」で旧常呂町出身の本橋麻里さん(現LOCO SOLARE代表理事)が同町の出身者5名(本橋・馬渕恵・江田茜・鈴木夕湖・吉田夕梨花)により結成。2013年9月に江田さんがチームを離脱。同年10月、アドヴィックス常呂カーリングホールが落成し、チームの活動拠点となった。
2014-2015シーズンより、北海道銀行フォルティウスから、旧常呂町出身の吉田知那美が移籍加入。そのシーズンが終わったところで馬渕さんが引退し、中部電力から北見市出身の藤澤選手が移籍加入した。2018年6月、本橋選手が選手としての一時休養を発表。チームの運営及びセカンドチーム代表責任者に専念(のちに妹分のロコ・ステラに選手として復帰)。2020-2021シーズンより、石崎琴美選手が加入した。
LS北見という名称でも知られていたが、2018年11月の一般法人化により、「LOCO SOLARE(ロコ・ソラーレ)」の名称での全試合出場が規則上可能となったため、チーム登録名称を統一した。

両角友佑氏は、NHKのサイトで「チームの一番の強みは『フロントエンド(リードの吉田夕梨花選手とセカンドの鈴木選手)の安定感』」と語った。2人はデリバリー、そしてスイープで力強くチームを盛り立てている。さらに両角氏は、コミュニケーション力の高さを挙げている。試合中に発した「そだねー」がかつて流行語大賞になったが、選手間での情報共有力が高い。

コロナ禍でスムーズに海外遠征できない状況が続いているが、今年4月にはカナダでのグランドスラム2大会に出場し、それぞれで準々決勝まで進出した。予選ではスコットランドの強豪のチームミュアヘッド、地元カナダの実力者チームジョーンズをはじめ、アメリカ、スイスのチームを破るなど、好内容で自信をつけた。
8月のどうぎんカーリングクラシックでは予選で中部電力に勝つなど3連勝し、決勝で富士急に敗れたものの順調な仕上がりぶりを感じさせた。日本選手権のリベンジを叶えて先に繋げたい。

過去の対戦はロコが大きく勝ち越している

両チームのスキップが吉村選手と藤澤選手になった2018-2019シーズン以降の主な対戦成績を見てみるとーー

2018年12月 Boost National ロコ 8-5 道銀
2019年 2月 日本選手権 ロコ 9-4 道銀
  〃      日本選手権 ロコ 10-8 道銀
2019年 4月 Players' Championship ロコ 7-6 道銀
2019年 8月 どうぎんカーリングクラシック 道銀 8-4 ロコ
2019年11月 Kioti Tractor Tour Challenge ロコ 6-5 道銀
2019年12月 軽井沢国際 ロコ 6-5 道銀
2020年 1月 Meridian Canadian Open ロコ 5-4 道銀
2020年 2月 日本選手権 ロコ 5-4 道銀
2020年11月 みどりスポーツパークオープン記念 ロコ 5-2 道銀
2021年 2月 日本選手権 ロコ 9-8 道銀
  〃      日本選手権 ロコ 9-4 道銀
  〃      日本選手権 道銀 7-6 ロコ

前哨戦という位置づけだった8月のどうぎんカーリングクラシックでは、予選で別々のグループとなった。北海道銀行フォルティウスが予選で敗退し、直接対決はなかったため、直近の対決は日本選手権決勝で、北海道銀行フォルティウスが7-6で競り勝った試合となる。
歓喜に沸く北海道銀行の選手たちと悔し涙を流す藤澤選手の姿が印象的だった。過去の対戦成績で大きくリードしているLOCO SOLAREがリベンジを果たすか、それとも北海道銀行フォルティウスが返り討ちか、興味は尽きない。

NHK BS1と総合テレビで全試合中継

代表決定戦の模様は、全試合NHKのBS1と総合テレビで生中継される。
両チームのスキップが、NHKの取材に意気込みを語っている。

大会日程と、中継予定は次の通り。

・9月10日(金)
 競技1 15:00 〜 18:00 NHK BS1

・9月11日(土)
 競技2 10:00 〜 13:00 NHK BS1(102ch)
 競技3 15:00 〜 18:00 NHK 総合(14:55〜)

・9月12日(日)
 競技4 10:00 〜 13:00 NHK BS1(〜12:50、北海道地区のみ総合テレビでも中継)
 競技5 18:00 〜 21:00 NHK BS1(〜18:50、以降BS102ch。北海道地区のみ総合テレビでも中継)

NHKの中継の解説と実況は以下の方々の予定。

競技1【解説】敦賀信人、市川美余【アナウンサー】飯塚洋介
競技2【解説】敦賀信人、金村萌絵【アナウンサー】西阪太志
競技3【解説】両角友佑、市川美余【アナウンサー】塚本貴之
競技4【解説】両角友佑、金村萌絵【アナウンサー】飯塚洋介
競技5【解説】敦賀信人、市川美余【アナウンサー】塚本貴之

また、‪SC軽井沢クラブ所属の山口剛史選手による裏解説も競技2より行われるそうだ。

トークスキル高い山口選手の解説は評判がいい。YouTubeの「カーリングYAMAチャンネル」は私も登録しているが、選手との対談など面白い企画が多いので、この機会にお勧めしたい。

最大目標は五輪出場権のゲットだ!

冒頭で触れたように、この大会で勝ったチームが12月の北京五輪世界最終予選(会場未定)の出場権を得て、3位以内に入れば北京五輪出場権を獲得できる。両チームには、すでに道を閉ざされた中部電力や富士急をはじめ、日本各地のカーラーの思いも感じながら、持てる力を存分に発揮して代表決定戦に相応しいハイレベルな戦いを期待したい。

残念ながら、稚内市内で開催予定だったパブリックビューイングは、昨今の状況を踏まえて直前に中止が決定された。稚内でのカーリング熱上昇にひと役買う機会だっただけに惜しいが、やむを得ないところだろう。
最後に、素敵なファンアートを紹介して締め括りたい。ステイホームで、いろんな形で、ファンも盛り上がりたい。


地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。