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【アーカイブ】Jヴィレッジ グランドオープン記念 10年前のマリーゼ×レッズレディースを振り返る

サッカーのナショナルトレーニングセンターである「Jヴィレッジ」(楢葉・広野町)は天然芝ピッチ2面が利用可能となり、20日に全面再開を迎える。同日朝にはJR常磐線の新駅「Jヴィレッジ駅」が開業する。
新駅は広野〜木戸(楢葉町)間の広野、楢葉の町境に立地。昨年5月に着工し、駅舎やホームに強化発泡スチロールのブロック5,550個を使う工法で工期を短縮して今月完成した。
Jヴィレッジから徒歩2分。ホームと駅舎は約20mの高低差があり、エレベーターやスロープが設けられた。施設や周辺でのイベント開催時に営業する無人の臨時駅。20日は上下線各11本、21日~5月6日にも各5本が停車する。
その20日には、Jヴィレッジグランドオープンフェスが開催され、DA PUMPなどが登場するほか、なでしこリーグ「ジェフユナイテッド市原・千葉レディース×マイナビベガルタ仙台レディース」、サッカーイベントなどが催される。

4月20日(土)Jヴィレッジ駅開業記念「JR東日本マッチデー」開催について #ジェフ千葉 https://jefunited.co.jp/news/2019/03/ladies/155357160012318.html

この試合は、東北エリアでの試合だが、ジェフレディースのホームゲームな点は注意されたい。

さて、Jヴィレッジといえば、かつてTEPCOマリーゼ(正式名称:東京電力女子サッカー部マリーゼ)の本拠地であった。2004年9月にYKK AP東北女子サッカー部フラッパーズが東京電力に移管後、2011年の東日本大震災が起こるまで、Jヴィレッジを本拠地に活動していた。
以下に記すのは、今からちょうど10年前の2009年4月19日、Jヴィレッジで行われた「プレナスなでしこリーグディビジョン1 第2節
東京電力女子サッカー部マリーゼ vs 浦和レッドダイヤモンズレディース」の観戦記を加筆したものである。
当時、さるさる日記に掲載したもので、同日記の廃止に伴いヤプログに移管した際に写真が消えてしまったため、写真が残っていないことはご了解いただきたい。

4月19日。
前夜は神田のネットカフェに宿泊し、東京駅に朝6時40分到着。7時発いわき駅行きの高速バスのチケット(片道3,350円)を買い、一番南側の8番乗り場へ。3社での共同運行路線だが、来たのはJR関東のバスだった。
朝一番ながら、ちょうど窓側の席は全部埋まるほどの乗車率。すぐに寝てしまい、次に目が覚めたのは途中1ヵ所だけある休憩ポイントの友部SAだった。そこから先はかなり頻繁に停留所があって客が少しずつ降り、出発から3時間後終点のいわき駅に着く頃には数人だけになっていた。30分から1時間ごとに出ているので便利だし、安くて快適なのは魅力だ。
いわきから10時49分発の常磐線原ノ町行きに乗り、5つめの広野まで。目的地のJヴィレッジの最寄り駅はもう1つ先の木戸だが、会場へのシャトルバスが広野から出ているのだ。いわきではSuicaが使えるが、切符を購入した(運賃は400円)。
11時12分に広野到着。駅員はいるが、案の定Suicaが使えない駅で、広野までの運賃を現金で払うはめになったおばさん越しに切符を渡して改札を出た。シャトルバスは駅前に停車していて、ひと目でわかる表示も出ていた。電車から降りた人は先のおばさんを除いてほとんどバスに乗り込んだ。
バスは半分くらいの乗車率で、赤いものは身につけていないが、大半がレッズレディースのサポーターのようだ。乗客の1人が「携帯電話が通じない」と友人に話していたが、ちょうどソフトバンクに通信障害が起きていた時だった。10分弱でJヴィレッジに到着。会場の前に着くと、すでに行列ができているのが見えた。
最後尾に並んだが、これは11時半に優先入場できるマリーゼのサポータークラブ会員だけの行列で、一般の人は12時入場だという。たしかに、レッズレディースのサポーターたちは、列から離れたところで寛いでいた。
入場まで時間がありすぎるので、周囲を散策して時間をつぶした。駐車場には、すでに両チームのバスが停車していた。レッズレディースの選手たちも、早朝からバスに乗ってやって来たのか、それとも前日から乗り込んでいたのか。
近くの別のグラウンドでは、子供のチームが練習を終え、片付けをしているところだった。11時40分頃に一般客の行列に並んだが、前のほうにいた老夫婦は早くもお疲れ気味。並んでいたマリーゼ会員の入場はとっくに終わっているし、30分も間を開ける必要は感じられず、一般客の入場は15分後でいいのではないか。
早く入りたい方は会員に! ということかもしれないが、この日は気温が高く陽射しもやや強く感じられただけに、一般客を早めに入れる対応があってもよかった。一見さんは、こういったことが理由でリピーターにならなかったりするからだ。入場を待つ人の様子に気を配り、フレキシブルな対応をすることも必要だと思う。
予定通り、12時に一般客の入場開始となった。マスコットのマリちゃんが出迎え、ボランティアの方から福島民友新聞発行の『マリーゼ通信』をいただいた。表紙はGKの天野実咲選手がボールを蹴る瞬間のいい表情の写真。
菅野将晃新監督、伊賀から移籍してきたMF宮本ともみ選手、そして主将のFW本間真喜子選手へのインタビュー、さらに新加入選手の紹介が掲載されていた。菅野監督は後半のスピードダウン、失点が目立つチームだけに、フィジカル強化に取り組んだという。「元気や勇気、感動を与える試合を見せたい」、「シーズンの最後の最後まで優勝争いに加われる、そういうポジションで戦い続けたい」と熱っぽく語ったそうだ。
菅野監督が昨季まで率いたJ2の湘南は、終盤まで昇格争いに加わったことで、若手が貴重な経験を積んだ。マリーゼも、ディビジョン1の優勝争いに加わることで、選手の経験値をぐんと上げていきたいところだろう。最終ページには選手全員と菅野監督のプロフィールが掲載されていたが、監督のニックネームがかんちゃんとは知らなかった。
席につく前に、まずは売店で『ママ弁』を購入。
Jヴィレッジで試合がある際に時々行われるオリジナル弁当販売企画で、この日は宮本選手プロデュースの弁当が登場(300個限定で700円)。
少し列に並んでから弁当を買い、バックスタンド側の席に腰をおろして、すぐに弁当を開けた。
バランスよくボリューム満点で味も上々! 評判はかなり良かったようだ。
なでしこリーグのメインスポンサーのプレナスが、各チームにオリジナル弁当を考えてもらい、それを売り出したりしてみてはどうだろう。『スポーツ弁当』よりも売れそうだが。

弁当を食べてから席を移動しようかとも思ったが、結構観客の出足が良くて見やすい席は埋まったので、そのままバック側やや浦和寄りで観戦することにした。ピッチでの練習が始まると、菅野監督は、片足をボールに乗せたまま、練習をじっと見つめていた。その後、練習を眺めながら、ベンチで誰かと話をしていた。東京電力のエラい人だろうか。もしそうなら、監督や選手にプレッシャーをかけただけのように思ったが。
レッズレディースは、いつも通りの練習風景。
一度うつ伏せになってからすぐに立ち上がり走る、瞬発力を高める練習は、男子チームが採り入れても良さそうだ。練習が終わった後、マリーゼ副会長の山崎氏が挨拶した(東京電力の常務らしい。監督とベンチで話していた人物とは違う)。
この日はNHK福島で生中継があったからだろう、試合開始は13時4分(実際は同5分)。
練習が終わり、一度下がった選手が改めてピッチに入場してきたのは13時少し前だった。

この日の両チームのスターティングメンバーとサブのメンバーは次の通り。

HOME  東京電力女子サッカー部マリーゼ

GK 1 増田 亜矢子
DF 2 山本 りさ
DF 3 宮崎 有香
DF 4 中村 真実
DF 26 長船 加奈
MF 6 宮本 ともみ
MF 8 上辻 佑実
MF 9 鮫島 彩
MF 27 伊藤 美菜子
FW 11 本間 真喜子
FW 10 丸山 桂里奈
[控え]
GK 16 天野 実咲
MF 7 五十嵐 章恵
MF 21 松長 佳恵
MF 28 嘉数 飛鳥
FW 29 安本 紗和子
菅野 将晃 監督

AWAY  浦和レッドダイヤモンズレディース

GK 1 山郷 のぞみ
DF 2 土橋 優貴
DF 3 矢野 喬子
DF 26 竹山 裕子
DF 12 西田 明美
MF 18 柳田 美幸
MF 13 庭田 亜樹子
MF 17 後藤 三知
MF 15 熊谷 紗希
FW 9 北本 綾子
FW 10 安藤 梢
[控え]
GK 27 池田 咲紀子
DF 22 櫻本 尚子
DF 7 岩倉 三恵
MF 8 高橋 彩子
FW 11 窪田 飛鳥
村松 浩 監督

【審判団】
主審 深野 悦子
副審 鮎貝 志保・上野 葉登子
第4審判員 後藤 小百合

岡山湯郷Belleとの開幕戦に4-2で快勝し、好発進のTEPCOマリーゼ。ホームのサポーターにも進化したチームを見せたいところ。対戦相手の浦和レッズレディースは昨季3位に甘んじたものの、なでしこジャパンの顔となる選手が並び、今季も優勝候補に挙げられる存在。昨季リーグ戦で勝てなかった湯郷Belleを下した強さは本物か? まさにホーム開幕戦は、試金石と目される一戦であった。

13時5分浦和ボールでキックオフ。今節はMFを嘉数→鮫島と、先発を1人入れ替えたマリーゼに対し、浦和は開幕戦と同じ顔ぶれ。
最初に攻め込んだのは浦和。1分、FW安藤が右からクロスを上げたが、シュートまでいけなかった。マリーゼは最終ラインを高く上げて、積極的なプレスで対応。浦和も同様にラインを高く保ち、かなりコンパクト。
5分にマリーゼが中央からフリーキックのチャンス。右からのクロスはクリアされたが、拾ったMF上辻がシュート。しかし、枠の右に外れた。さらにマリーゼがサイドを起点に攻勢をかけ、右からクロスを上げるが流れてしまった。
6分、マリーゼは左からのフリーキック。しかしこれは浦和DFが冷静にクリア。浦和がカウンターを仕掛けたが、ボールが流れてしまった。逆にマリーゼが攻め込むが、ここは浦和DF矢野がうまい対応でゴールキックにした。
最初に大きなチャンスが巡ってきたのはマリーゼ。左サイドを突いた上辻からのボールを受けた鮫島がクロス、さらにFW丸山がクロス。このボールにFW本間が飛び込んだが、わずかに合わなかった。場内はため息に包まれ、マリーゼペースかと思われた矢先の12分、浦和は左クロスを受けた安藤がシュート。これは枠の左に逸れたが、簡単に流れを渡さないという意思が感じられた。
だが、マリーゼがなおも攻勢。13分、右からのクロスが浦和DFに当たって外に出て、メイン側からのコーナーキックに。しかしコーナーキックのボールはGK山郷がキャッチした。
続いて15分、マリーゼは右からのフリーキックを得て、蹴ったボールは手前の壁に当たるがこれを拾ってさらに前へ送る。しかし、直接山郷のところまで届いてしまった。山郷はベテランらしく、堅実なキャッチングと大きく前に出てクリアするなど落ち着いたプレーで、チームに徐々に流れを生み始めた。
17分に浦和はMF熊谷がシュートを打つが、これは大きく左に外れた。18分、マリーゼはメイン側コーナーキックを得るが、これも山郷がパンチングで防いだ。
そして19分。安藤がMF後藤が出したカウンターの縦パスに反応し、ドリブルでDFラインの裏を突破。懸命に1人追いすがったが、振り切ってシュートを放つと、見事にゴールネットを揺さぶった。安藤は、開幕戦に続いてのゴールだ。
ここまでむしろマリーゼが押し気味だったが、浦和が先制。これで浦和は波に乗った。22分、大きな展開からFW北本がシュート、さらにMF庭田がヘディングシュート。さらに24分にはメイン側コーナーキック。ここは北本がシュートを放つが撥ね返された。25分にも北本がシュートもキーパー正面。
28分、マリーゼは丸山が敵陣に持ち込むが、ここも矢野がしっかり対応し、仕事をさせない。32分に浦和は左クロスを上げるが、直接GK増田へ。その直後、マリーゼはバック側コーナーキック。クリアボールからなおもスローインとチャンスが続いたが、マリーゼにファウルがあった。
34分、マリーゼは鮫島が素晴らしいドリブルを見せるが、浦和MF柳田に奪われた。もし、DFがオーバーラップしていれば、サイドから大きなチャンスをつかめたように思ったが・・・。そのお手本を見せたのが36分の浦和。
ボールを持った柳田の横をDF土橋がオーバーラップしてパスを受け、北本につなぎ、北本はシュート。増田が弾いて事なきを得たが、浦和は洗練された攻撃の一端を垣間見せた。37分、マリーゼの右からのクロスは直接山郷へ。
浦和は38分にもビッグチャンス。起点はライン際の柳田。相手のマークをうまく体を入れ替えて交わし、安藤へパス。さらに安藤から受けた北本がシュートを打つが、これは左のポストを直撃。こぼれ球をさらに後藤がシュートも、流れてしまった。
終盤はマリーゼが逆襲。40分、スペースを突いてメイン側コーナーキックを獲得するが、ここも山郷が対応。直後、MF宮本のシュートから今度はバック側コーナーキック。山郷が大きく弾き、これを拾った鮫島が中央から思い切りのいいミドルシュートを放ったが、枠の上。さらに43分にもパスがつながって上辻がシュートに持ち込むが、山郷に弾かれた。浦和が安藤のゴールでリードした状態で、ハーフタイムとなった。

選手交代はなく、後半が始まった。48分、マリーゼはセンターライン付近やや左からのフリーキック。MF伊藤につながりシュートを放つが山郷が弾き、バック側コーナーキックに。コーナーキックからは混戦となり、拾った伊藤がシュートを打つが、大きく浮かしてしまった。52分、マリーゼは上辻がシュートも枠の上。流れの中で、丸山がやや持ちすぎなのが気になった。相手に接近する前にパスを出すという選択もあっていいと思う。
53分、浦和はゴール前の混戦からのこぼれ球を安藤がシュートも枠の上。直後、ゴールキックからマリーゼがつないで本間がいいシュートを打つが、山郷が倒れ込みながらキャッチ。この日は、山郷の読みと動きの良さが光った。
浦和は54分にも安藤がミドルシュートを放つが、右へ逸れた。57分、浦和は右45度のフリーキック。直接狙ったが、今度は右のポストに当たった。59分、浦和はDF竹山の左クロスに安藤が頭で合わせたが、上へ外れた。その直後、マリーゼは浦和のパスミスを突いてDF中村が右からクロスを上げるが、シュートに持ち込めない。62分、浦和は後藤が相手を交わしてシュートに持ち込むが枠の左へ。
どちらに点が入るのか焦れるような展開だったが、63分、浦和が待望の追加点をゲット。安藤がドリブルで持ち込み、北本にグラウンダーのパス。北本がシュートを放つが、これはキーパーが反応。しかし、こぼれ球を詰めていた柳田が押し込んだ。キャプテンを中心に、祝福の輪ができた。失点の直後、地元で生中継していたNHKのカメラが悔しそうな表情の丸山を大写しにし、明暗が分かれた。
65分過ぎに浦和の土橋が倒れたが、すぐに起き上がり、大事には至らなかった。反撃したいマリーゼは68分、左からのクロスに伊藤が頭で合わせたが、枠の右へ。72分、マリーゼはバック側コーナーキックを得て、シュートに持ち込むが相手に当たり外に出てもう一度バック側コーナーキック。
このボールは浦和がクリアからカウンターを狙ったが、前に流れてしまった。
ここで、この日の観客数が発表され、2,271人だった。テレビ中継は多くの県民に観てもらうことができ、知名度を上げるいいきっかけではあるが、観客動員にとっては痛し痒しか。74分、マリーゼは中央付近からフリーキック。宮本のロングパスを受けた上辻がいきなりシュートを打ったがふかしてしまった。フリーで受けたがまだ距離があっただけに、もっといい形が作れたのではないか。76分、浦和のバック側コーナーキックは増田がキャッチ。直後、浦和の熊谷がミドルシュートを打つが枠の外。
79分に、両チームを通じて初の交代。浦和が後藤をDF岩倉に代えた。ここまでまったく動かなかったマリーゼ・菅野監督は、ようやく手元の資料を見て、交代選手の指示を出した。浦和が動くまでは辛抱、と決めていたかのようだった。
3分後、一気に2人交代。上辻を嘉数に、本間をFW安本にスイッチした。すると浦和は庭田をMF高橋に交代。駆け引きが面白い。83分、マリーゼはロングシュートを放つが山郷へ。直後、浦和は中央付近からのフリーキックから代わった高橋がゴール前へ送ると安藤が詰めていったが増田が先にキャッチ。
86分、マリーゼは左クロスから伊藤がシュートも右に逸れた。浦和は敵陣に持ち込むと再三コーナーでボールキープ。2点差あることから、「(クロスを)上げろ」と浦和サポーターから声が飛んだが、ひたすらコーナーでキープ。奪ったマリーゼが最後に右からクロスを上げたが、長すぎた。
結局、2-0で浦和が勝ち、開幕から連勝を飾った。

河北新報によると、今季から指揮を執る菅野将晃監督は「やろうとしたプレーはできたが、大事な場面での精度や技術を上げないといけない」と課題を話したそうだ。NHKのインタビューでは「2強、3強のなかに入っていきたい」とも語っていた。課題とともに、サイド攻撃などやろうとしていたことがある程度できたことに手応えを感じていたようだ。
次の対戦は第9節(6/14・駒場)だが、そこまで上位に食いついて、敵地であっと言わせたい。丸山は自身のブログで「レッズは、攻撃も守備も完璧でしたわ」「あんち(安藤)にやられ、みゆきちゃん(柳田)にやられてまいました」と脱帽。
「あたしは不発、シュートらしいシュートもなかったし。なかなかドリブルでも勝負出来なかった」と悔しい気持ちを表しつつ、「悔しい気持ちはあるけど、得たものも大きかったと思います。負けてこんなふぅに言うのはどうかもだけどさ、でも次こそは勝ちたい。レッズに勝ちたいと強く思いました」と胸の内を明かした。
この日は警戒しすぎて彼女らしい大胆さが影を潜めていたが、持ち味を発揮してゴールを量産してもらいたいものだ。まずは、監督に捧げる約束の2点目を。
浦和は、現時点での力の違いを見せつけた。連係でもいい形を作ったし、安藤や矢野、山郷らがいいプレーを見せた。しかし、ちょっと気になったのは最後の場面。ボールキープしたのは、相手の攻撃を怖がったからだろうか。むしろ攻撃を続けて、「反撃はまったく怖くない」と格の違いを見せつける場面ではなかったか。心理的な弱さを曝け出したような気もするが、杞憂だろうか。
浦和の次の試合は25日、駒場で岡山湯郷Belleと。マリーゼは26日に敵地(三木)で、INACとのゲーム。今週も目が離せない。

あれから10年後。東日本大震災が起き、原発事故があり、Jヴィレッジは事故対策で活動する作業員の拠点になった。しかし、しっかりと除染され、ついにグランドオープンの日を迎える。
丸山桂里奈さんは引退してタレントとなり、忙しい日々を送る。鮫島彩さんは、ボストン、モンペリエでプレーした後帰国して、ベガルタを経てINACでプレー中。
安藤梢さんは2009年から2017年までドイツでプレーした後にレッズレディースに復帰、現在も活躍中だ。柳田美幸さんは2012年に引退、2017年1月にレッズレディースのコーチに就任した。
当時、レッズレディースの監督だった村松浩氏は、2012年までレッズレディースを率いた後、2014年よりJFAナショナルトレセンコーチを務めている。
そして、マリーゼを率いて3シーズン目が始まろうとした矢先に大震災が起こり、チームが休部となってしまった菅野将晃氏。「震災後、1ヵ月は何もする気が起きなかった」状態だったという。
しかし、マリーゼを好成績に導いた手腕を買われ、2012年、ノジマが立ち上げた「ノジマステラ神奈川」の初代監督兼GMに就任。活動初年度には神奈川県3部リーグ優勝、皇后杯本選出場(最終的には3回戦進出)、さらにプレナスチャレンジリーグ参入決定戦を2連勝し、2013年からのチャレンジリーグ昇格を勝ち取った。そして2016年シーズン、なでしこリーグ2部で優勝を果たし、チームを1部昇格に導いた。
2018年シーズンまでノジマステラを率いて退任した菅野氏は、さらに新たなチャレンジに向かう。2019年シーズンから山梨県に発足する女子サッカーチーム「FCふじざくら」初代監督に就任したのだ。菅野氏は就任会見で次のように語った。

「スパイクを脱いでも稼げるチーム」がキャッチコピーのチームで、選手だけでなく社会人としてのキャリアを両立させる「プレイングワーカー」制度を掲げる。4月21日、富士緑の休暇村富士ビレッジで地元へ向けたチームお披露目イベントを予定しているという。
Jヴィレッジと、かつてJヴィレッジでチームを率いた知将が、今週末、ともに新たなスタートを切る。どちらも、熱く注目をしていきたい。


地元網走に帰ってきて5年半経ちました。元競馬専門紙編集部員。サッカーや野球、冬はカーリングなどスポーツ観戦が好き。もちろん、競馬も話題にしています。時事ネタや網走周辺の話題なども取り上げます。よろしければ、サポートもお願いいたします。