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私が発達障がいと確定診断されたのは46歳の時でした。歳を重ねてからの診断だからなのか『広汎性発達障がい』という、かなりざっくりとした診断名でした。それでも、やっと自分の事を許せるように成れるかな?と安心したものです。

というのも、若い頃から職場に馴染めない、仕事の指示をこなせない、結果として仕事が続かない、そういった事を繰り返してきたからです。自分をダメな人間と思い、あきらめて生きていました。


自分を障がい者と認識してからは、障害者雇用というものが身近になり、その内容を気にするようになりました。その中に『合理的配慮』というものがあります。どういった事かと言うと「指示は口頭ではなく、必ずメモ書きを渡す」とか「作業の進捗具合を見て、次の指示を出すようにする」など、指示を受ける側(障がい者)が、ミスをしないように配慮をしたりする事を言います。

しかし、この『合理的配慮』が、障がい者雇用に理解の無い一部の人達からは、必要のない手間がかかる。と思われている事実もあります。


障がい者が、いわゆる「健常者」と共に働く場合、健常者に助けてもらわなくては働け無い。障がい者を雇えば、その人に合わせた仕事の組み立てをしなくてはならず、手間がかかる。そんな風に思う人は、少なく無いように思います。

実際に、障がいを持つ方が職場に入ったばかりの時は、生産性が落ちるだろうし、手間のかかる場合が多いと思います。特別な設備を導入する必要が、生じる事もあるかも知れない。

しかし、それって障がい者に限った事だろうか?


新入社員を雇った時、上司や先輩に助けてもらわなければ仕事にならないし、仕事に慣れるまでは生産性が落ちる。手間をかけて教育をする必要もある。新たな設備を導入する必要が生じる事もあると思います。

社会人として新人だった頃の自分自身を思い出せば、障がい者の新入社員が特別な存在じゃ無い事は、誰にでも理解出来ると思います。


私は発達障がいと診断される46歳までは、健常者として働いていた『隠れ障がい者』だった訳で、同じ様な問題を抱えた人達は、自分の障がいに気付くこと無く働き辛さを抱えたまま、健常者として『合理的配慮』を受けること無く、自分の不甲斐なさに絶望していると思います。

また、障がい者手帳は、就職時に公表する義務は無いため、自分が障がい者であることを隠して働いている方もいます。この方達も『合理的配慮』を受ける事なく、苦労をされていると思います。

健常者の方にしても、オーバーワークになる仕事量を任されたり、説明不足で失敗をしてしまう場合があると思います。障がい者雇用で良く言われる『合理的配慮』は障がい者雇用だけの物では無いと思います。

「こうして頂ければ、私は最高のパフォーマンスを提供出来ます。」

皆が、そう言うアピールをする事が当然の事となれば、障がい者を特別な存在として、障がい者雇用◯%なんてバカな制度を作らずに、障がい者もただの求職者の一人として、就職活動が出来るようになるんじゃ無いかと、私は思います。



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