マリスビリー、疑似科学にハマってた説

「なぜ神代は途絶えたのか。
なぜ西暦になってからの人理定礎は安定しないのか。」
終局特異点・冠位時間神殿ソロモンのアバンタイトルにて、ある男の回想に登場したマリスビリー・アニムスフィアの台詞である。
目の前の第三魔法を蹴ってまで、彼は独自のアプローチで根源へ至ることを是とした。
聖杯戦争に自ら参戦してまで大聖杯に求めたものは『巨万の富』。
彼の標榜する”人理の維持”には必要不可欠という、カルデアスを起動させるための燃料費。
なぜそこまでしてカルデアスを起動させたかったのか。
冒頭の台詞は彼のホワイダニットそのものと言っていいだろう。
カルデアスを真に起動させることで可能となる過去観測とレイシフト、それは”西暦以降の人理定礎が安定しない理由”を究明するため。
では、彼が知り得たその理由とは?
なぜ西暦になってからの人理定礎は安定しないのか。
その答えを模索した結果、私はある疑似科学書にたどり着いてしまった。

『衝突する宇宙』イマヌエル・ヴェリコフスキー著。
1950年にアメリカで出版されベストセラーになった、どこに出しても恥ずかしくないトンデモ本である。
聖書や世界各国の神話・伝説に記された天変地異は現実であったとし、その原因を地球へ接近した彗星の影響による自転の変化『ポールシフト』が起きていた、と主張している。

ポールシフト。星の自転に伴う自転軸や地磁気(磁性や磁場)が何らかの影響でズレることを言う。
それ自体は空想の話ではない。
自転軸に関しては地震や地球温暖化の影響でズレているという研究があり、地磁気に至っては地質学の研究によって過去にN極とS極が反転していたと証明されている。
問題は地球に接近した彗星というのが金星であった、という主張だ。

メキシコの古い伝説に『金星は煙を吐いていた』と記してある事、バビロニア人は金星たるイシュタルを『髪のある者』と呼んだ事などから彗星の尾を表している、としたのだ。
バビロニア天文学でのある祈りの一節には土星、木製、火星、水星はあっても金星が欠けており、後代になって「金星は『大きな星たちに加わった大きな星』」と記述されている事も根拠としている。
また、ローマのマルスやバビロニアのネルガルといった火星との関係から、
火星へも金星は衝突おりその結果現在の軌道となった、と結論付けているのだ。
……金星は地球と大きさ・重さともによく似ている。
そんな星が大接近していたとしたら、はたして天変地異どころの話なのだろうか。
当然ながら天文学者や歴史学者からも総ツッコミを受けたトンデモ本であることはご理解いただけたかと思う。

閑話休題。
なぜこんなトンデモ説がFGOと関係してくるのかというと、この彗星が現在の金星となった時期というのが紀元前7~8世紀頃の出来事だという点だ。
そう、マリスビリーが知りたがっていた神代の消失の三段階、衰退・決別・契機の契機が観測された年代である。

ロード・エルメロイⅡ世の冒険5巻にて、エルメロイⅡ世はこう語った。
「たとえば暦づくりもそうだ。あれはひとつの国家事業として最大級の時間魔術と言える。」
もしも、だ。もしもそれまで使用していた暦に新たな惑星が加わったのだとしたら、それまでの暦は使い物にならなくなってしまうのではないだろうか。
”最大級の時間魔術”の破綻、それは神代が消失する契機としても妥当と言えるのではないか。

紀元前8世紀から7世紀にかけて地球への大接近と火星への激突を経て惑星の仲間入りをした金星がもたらした、ポールシフトと暦の破壊。これが型月的に正史だった場合、ポールシフトという語にも意味があるように思えてくる。
無論、地球科学的な意味合いではなく、オカルト・スピリチュアル的な意味でのポールシフトである。

といってもその語自体に大きな隔たりは無い。
前述のような自転軸や地磁気の反転、それに伴う天変地異をいうのだが、注目すべきはポールシフトを枕詞に頻出する『アセンション』という現象?だ。

直訳すると『上昇』。キリストの昇天を指す語でもあるアセンション。スピリチュアルな方々は『次元上昇』という訳し方を好むようである。
なんでもポールシフトによる地球の危機に際し、現状の三次元からより高次元へと意識?魂?が移行することを言うらしい。
……何言ってんだコイツ、と思われても仕方ないとは思うが、これは決してFGOと無縁の話ではない。
なにせ似たような事がすでにシナリオ内で行われていたではないか。そう、キリシュタリア・ヴォーダイムによる『人理の新生』だ。
「この地球に生きる全ての人間は生まれ変わる。」
そう彼が宣言した通り、ダ・ヴィンチの計測によれば”魂の階梯”なるものが向上していた。
「見ているがいい、マリスビリー・アニムスフィア。
貴方が思い描いた机上の空論を、この私が完成させてみせる。」
そう独り言ちたキリシュタリアの計画で、だ。

では、マリスビリーはポールシフトによるアセンションを計画していたか?というと、私は逆なのではないかと考える。
この説を是とするなら、神代の時代にポールシフトが起こった結果、西暦以降の人理定礎が安定しなくなってしまったという事になるからだ。
即ち、アセンションの逆行『ディセンション』こそがマリスビリー・アニムスフィアの真の目的なのだ、と考察した。




与太に与太を重ねた駄考察、いかがであっただろうか。
私は疲れた。動画にするかは一旦保留でnoteに投稿することにした。

奏章開幕まであと1日。それまでの暇つぶしにでもなれば幸いである。

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