「鶴を祈る」


紙を折る。
折って開いて鶴になる。
紙を折る。
折って開いて鶴にする。

いくつもいくつも鶴を折る。
小さな小さな鶴を折る。
千を数えて鶴を折る。
数は数えず鶴を折る。
彼らの体は軽く小さく
小さな風で飛んでいく。


紙を折る。
折って開いて鶴になる。
紙を折る。
折って開いた鶴がある。

誰もがいくつも鶴を折る。
大きな大きな鶴がある。
千を目指して鶴を折る。
数を数えて安堵する。
体が大きく飛べないけれど、
積み重なった山の上から、
見るのは空だと信じたい。

そんな翼を乗り捨てて、
歩く勇気があるのだろうか。

重い想いを思いだし、
忘れることはできるだろうか。

飛ばずに飛んだ小さな鶴は、
たたずむばかり、何も知らずに。

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