数学科のゼミについて

【最終更新日 5/24/2024】

数学科ではゼミという勉強会をやります。メンバーの一人が黒板(ホワイトボード)の前に立ち、板書しながら、あるいはスライドを映しながら勉強してきたことを説明することを指します。

ゼミについての自分の考えを、つらつらと書いておこうと思います。あくまで現時点での考えなので、今後主張が$${\pi}$$ラジアンひっくり返るかもしれません。また自戒・反省の意味もあるので、不快になられた方がいましたら、ご了承ください。


数学的な主張をハッキリする

数学的な主張(ステートメント)というのは、命題や定理の内容や、定義、証明の方針、理論のモチベーションといった発言内容です。ゼミでの発言では、数学的な主張(ステートメント)が大事です。自分が100%理解していないステートメントをむやみに言わないことが大切です。

また意図が伝わらない、中途半端な主張を発言するべきではありません。他のゼミ生に迷惑がかかります。「一応」「たぶん」「確か」といった文言も排除しましょう。リハーサル・準備の段階で、十分に下調べ・考察しておきましょう。また「題意」という言葉は曖昧なので使わないようにしましょう。

最悪なのは、(意図していなかったとしても)ウソの主張をしてしまうことです。成り立たない命題や数式を、あいまいな論理や記憶を頼りに、うっかり発言・板書しないようにしましょう。飲水に一滴でも泥水が混ざると飲みづらくなるように、主張にウソが混ざると聞きづらくなります。担当教員や他のゼミ生からの質問も鋭くなります。ウソを言った自分に嫌悪感を抱きます。

自分の主張できることを主張する

上の内容と被りますが、自分が正しいと考える主張だけをしましょう。自分の理解してる主張だけ発言して、理解してない主張はしない。

相手の主張が正しくないと思ったら、反例や論理の矛盾点をしっかり把握したうえで反論する。人格攻撃になる(と思われる)のは避けましょう。


ゼミに理想を求めすぎない

「ゼミをこのように進めたい」「ゼミを利用してこれを勉強したい」といった、自分の理想を求めすぎないほうがいいと思います。ゼミが思うように進まなかったり、自分のやりたいようにできなかったときに、理想との乖離からネガティブな感情を抱いてしまうからです。

もちろん、自分で主催するゼミであれば、ある程度の理想やビジョンを抱くのは構いません。しかし、大学のゼミや他人の主催するゼミにそういった理想を抱きすぎると、かえってやりづらくなる可能性があります。

自分のコントロールができることのみに集中しましょう。周りの人間のやる気の無さや、才能の差に振り回されない精神性もまた大切です。


リハーサルをする

リハーサルをして、時間を守れるように時間を測りましょう。

自分の声を聞いて、不明な点を洗い出しましょう。「一応」「たぶん」「確か」となった箇所は徹底的に調べて、あいまいな点を排除しておきましょう。

「時間が余ったらここを話そう」といった甘い考えは捨てましょう。そこで終了すべきかどうかの判断が鈍ります。発表の最後に「これで終わりです」とハッキリ言わなければなりません。

余計な演出はいらない

ゼミの緊張感を緩和するためにジョークをいれる人もいます。少しなら構いませんが、ジョークをたくさん入れすぎるのも良くないです。


自分の癖を見つける

ゼミというのは、自分の癖を発見できる機会だと思います。

たとえば、ゼミの準備をどのように進めるかがわかってくると思います。ゼミの前日や当日に慌てて準備するタイプかもしれません。直前に準備して乗り切れるタイプの人間ならば良いですが、発表がズタボロになるようであれば直しましょう。

またゼミの内容についても色々発見があると思います。自分の場合は、定理の仮定・条件を強くしすぎる癖があり、必要のない条件を加えて指摘されたりしました(e.g. 加群で成り立つことをベクトル空間にしたり…)。仮定や条件が強いほど、説明しやすくなって安心してしまうのです。条件をどこまで緩められるか、仮定が必要かどうかしっかり吟味するように心がけています。

説明の解像度を調節できるようにする

「厳密に話して下さい」と言われたら厳密に話せるように、「概略だけ教えて下さい」と言われたら概略を話せるように、説明に対していくつかの解像度を用意しておきましょう。具体例をいくつか用意するのも大切です。
ゼミでは、表面的な説明をしておいて、要求された場合のみ厳密な説明に切り替えるくらいまで理解しておきましょう。

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